ジョーカー涼 (講談社文庫 せ 12-3)

著者 :
  • 講談社
3.22
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本棚登録 : 669
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (495ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062648691

作品紹介・あらすじ

陸の孤島・幻影城で続く装飾的不可能殺人事件。あまりにも深い謎と暗示に隠されていた驚愕の真相は。

感想・レビュー・書評

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  • うーーん。

    途中でおよそ想像はついていた。
    あんなに豪快に連続殺人をやっちゃったらもう、収拾つかないんじゃないの?って。

    華々しく殺すのはいいし、意外な犯人も見立てもキライじゃないよ。
    でも、謎に関して(甲冑に入っていた首ね)
    「あれは壁抜けか奇跡」っていわれても、はいそうですかって言えないでしょう‥

    コトバ遊びも悪くない。
    でも、単なるアナグラムだったり唐突すぎる回答?だったり。

    綾辻行人作品にも京極作品にもあるけれども。
    でも、大量の登場人物と殺しとともに、作品が薄くなるってのはちょっと違う気が。
    野心オッケー。でも、こうなるとほぼ、超常現象よね。

    一番の肝が日本語遊びってんじゃぁ、この作品、英語化できないね。
    作家が自分で作品内で言っていたように、芸術には絶対評価はない以上、
    いかにたくさんの人から評価されるかがその作品の質なのだとすれば。
    コトバ遊びだけで成り立たせるこの作品はすでに、
    質を放棄しているってことなのでは?

    なんか残念。
    派手でなくてももっと、じっくりと作品を作ってくれればいいのに。

  • 次々と発生する不可能犯罪に翻弄される捜査陣。ばらまかれたミスリードの中に隠された真実を指摘するのは誰なのか?

    犯人を推理して楽しむミステリと、意外な結末を期待してだまされることを楽しむミステリがありますが、これは絶対に前者にはなり得ない種類のミステリです。じゃあ後者かっていうとそうでもない。意外性要素をこれでもかと繰り出してはいるんですが、あまりに全体のデコラティブが過ぎて、それに目を奪われている間に驚くタイミングを逸しちゃった感じです。言語を駆使して様々な推理を畳みかける手法は、作者の言葉遊びへの執念を感じました
    ただ、「一流の探偵陣」の推理としては屁理屈が多いし、論理的に弱い。後半になって地の分に?やら♪やら頻出したのにも閉口しました
    常人離れした凄腕の探偵が出そろってるはずなのに人がどんどん殺されちゃうし、その横で呑気にあーでもないこーでもないと楽しんでる(ように見える)のも頂けませんでした
    辛口><

  • なーんか超人的要素とか多くてがっかりしました。推理小説にそれ持ってきたらお終いだよね、どんだけカラクリがあってもさ。やっぱり論理にこだわってる作りで、すぱっとさくっとを望む方はげんなりするかもです。色んなトリックを詰め込まれてて正直すごいと思うより先に消化が追いつきませんでした。まあ、キャラが際立ってるところはよかったけど。

  • いまいち

  • 解決部分に入ったらちょっと気を抜くと置いていかれるので必死でくらいついていきました。清で、見たこともないような大きさの風呂敷を広げたと思いましたが、思いがけない細かい畳み方で綺麗に風呂敷は畳まれていきます。かと思ったらまた広げ畳みなおして、これで終わりかと思ったらその風呂敷をさらに小さく畳む。そんな繰り返し。多少気に入らない部分はありましたが破綻はなく感心しました。ラストの??…の部分はまさしくそう思っていたので笑ってしまいましたが「ジョーカー」としての読後は満足です。さて、いよいよ「コズミック水」へ。

  • どう感想を述べていいか…難しい。
    ただ、自分はなかなか嫌いじゃない
    …ってか、初めは推理小説の教科書のように思いながら読んでたけど、あとからこの作品のクセにハマっていく感じw
    賛否両論ある作品だとは思う

    この「ジョーカー」が「コズミック」に
    どう影響しているのか。
    というより、コズミック下巻を読むときに
    イメージが一変あうるのではないかと思う

  • 【170】
    2016.5.22
    読みたくなって、再購入。
    自分の思い出補正が強かったなという印象。
    話は長いけど、こんなに薄っぺらい感じだったか。

  • …終わった。

    なんか「ダブルミーニング、いやフォースミーニングなのだよ」とか盛り上がりをみせている作中に置いてけぼりにされる時間が結構あった。意図的なんだろうけれど、結局のところ「言葉遊び」と「駄洒落」の域を出ない推理に「感嘆の声が上がった」とか「どよめきが広がり」と言われても…。
    別に美しすぎてサングラス装備を義務付けられている探偵がいてもいいし、材料が出揃ったら答えが出ちゃうなんて能力も許すけれど、結局「何が意図されたこと」で、「何が濁流院がわかっていたこと」で、「何が奇跡としておきたのか」っていうのがよくわからない。一つ一つの殺人にしたって、一人の犯人がせっせと氷を運んだの?甲冑に首が入ったのは奇跡なの?なんか気持ちよく読み終えられない。これは、私の読解力が低いからなのか?

    すごいなぁと思うのが「本筋と違う部分のギミック」ってのが「作者の意図だ」「メタだ」と言われればそれまでなのだけれど、ミステリとして私が求めているものとは違うようにも思う。これから「水」を読めばすっきりするのか…。心配ではある。

  • ミステリ作家が次々に怪死していく幻影城殺人事件は現実の邦ミステリ界をも飲み込み、現実と虚構の境界をぐちゃぐちゃに破壊する。
    名探偵たちが解いても解いても解けない謎。
    アンチ・フーダニット。
    執拗な見立てや密室や言葉遊びの先にある娯楽的な芸術。

    現実と虚構をごちゃ混ぜにした嘘くさい事件の嘘くさい解決。
    そして終わらない物語は禍根を残しコズミックへ。

  • まぁ読もうと思った理由は前作と前々作のレビューだけれど笑。

    SUGEEEEEE!! って思った。ザ・名探偵モノみたいなミステリはほとんど読まない(中学生以来?)自分にとっては、相当すごいものだったと思う。十戒、二十則、三十項の網羅はもとより、トリックも言葉遊びもすごいレベルだったんじゃないのか? それともここまでやるのが普通なの? どう考えても異常なのだと思うけれど。言葉遊びや見立てがこじつけじみていたとしても、それは推理小説家達が犯人と疑われ、推理小説家たちが殺されていく事件であり、ルールさえ外れなければそう見えそう見せられることができるならば、それは正当だろう。推理小説家的犯行やトリックでなければ、そもそもこの方向性のミステリは成り立たないか、ひどくつまらないものにしかならない。
    愛がない俺が言うのもなんだけれど、ミステリへの壮絶な愛を感じる。この作家名と自分の作家人生をすべて懸けたような。でなければ名前の仕組みを使い切るように施したり、登場人物の呼称の回数まで揃えるような作業は、とてもとてもできないだろう。
    ミステリの中でも、名探偵ものについて考えれば、今の時代では難しいのではないだろうか。コナンを死神と笑いながら中高生は読み、今の大人も学生時代はそう言って笑っていたんだと思う。だとすれば、小説で名探偵モノをやろうとすれば、キャラ萌えにならざるをえず、そもそもホームズもワトソンもポアロも、キャラ萌えの部分があったんじゃねーの? そしてさらに言えば、現在以後名探偵モノは京極のような特殊技能持ち以外にはできず、目指す人間も少なくなってしまうんだろう。そしてラノベのようにキャラを重視していけば、トリックは薄れたものになり、面白ければ十戒も二十則も関係ねーよ! ってことになるとすれば……?
    清涼院流水は、美しきルールを持ったままの小説で、わかりやすく新しい扉を開けたんじゃないだろうか? 十戒や二十則というルールをきちんと守ったものが‘本格‘と呼ばれるならば、最後の本格名探偵モノ推理小説の名作を書こうとしたのでは? だからこそ、三十項すべてを網羅しないわけにはいけなかったんじゃないか? と思うのは、本当に好意に満ちた目からの観測だろうか? そう考えれば色々と納得できる文があったように思うけれど。

    次はいよいよ先に書いていた読もうと思った理由、どんなものなのかがわかるんだろう。ハードルは前評判で下がっているけれど笑、違う作品に評価が引きずられないうちに、ジョーカーのレビューを書いておこう笑

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著者プロフィール

一九九六年、『コズミック』で第二回メフィスト賞を受賞し作家デビュー。以後、小説だけでなく、ビジネス書、ノンフィクション、英語学習指南書など著作多数。小説執筆の息抜きとして始めた英語学習にハマり、独自のメソッドでTOEIC(現TOEIC L&R)テスト満点を五回達成。二〇〇九年から二〇一七年まで主宰していた「社会人英語部」では、のべ六五人の部員をTOEICスコア平均九〇〇点台にまで導く。日本人作家の小説を英訳して世界中の電子書店で販売しており、著者、英訳者、編集者として手がけた英語作品は一〇〇を超える。作家としての近著に『感涙ストーリーで一気に覚える英単語3000』(明日香出版社)、『きみと行く 満天の星の彼方へ』(リチェンジ)などがある。

「2020年 『三日坊主でも英語は伸びる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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