三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.58
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本棚登録 : 8317
レビュー : 943
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062648806

作品紹介・あらすじ

鮫島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に二泊三日の招待を受けた。彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、その屋敷内にあるはずだが、十年以上探しても見つからない稀覯本『三月は深き紅の淵を』の話。たった一人にたった一晩だけ貸すことが許された本をめぐる珠玉のミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 気になってしかたがない一冊。

    たった一人に一晩だけ貸すことが許された一冊の本。
    その本をめぐって紡がれる四つのストーリー。

    どの話も個々に楽しめたけれど正直、最終章で頭は回転木馬状態。
    でも気になってしかたがない。また本を開く。
    そんな気に何度もさせられる何とも不思議な作品だった。

    たぶん随所に散りばめられた本好きの心を刺激するフレーズに魅せられてしまったからかも。
    そして最初一番理解できないと感じた最終章が読むたびに一番好きになるという不思議さ。
    解説まで大切にしたい大好きな一冊になった。

    • けいたんさん
      こんばんは(^-^)/

      久しぶりに恩田さん読みたくなった〜
      これよさそうだな。シリーズなんかな?
      こんばんは(^-^)/

      久しぶりに恩田さん読みたくなった〜
      これよさそうだな。シリーズなんかな?
      2019/03/28
    • くるたんさん
      けいたん♪おはよ♪

      うん、恩田さんらしい作品だった(* ॑꒳ ॑*)
      私、きちんと理解できてないんだけど、それもまた良し。このスッキリしな...
      けいたん♪おはよ♪

      うん、恩田さんらしい作品だった(* ॑꒳ ॑*)
      私、きちんと理解できてないんだけど、それもまた良し。このスッキリしない読後感もまた魅力だった♪

      これを読むと「麦の海に沈む果実」を読みたくなるよ(* ॑꒳ ॑*)
      で、次が「黄昏の百合の骨」
      この3冊がいわゆる理瀬シリーズみたい(*≧∀≦*)

      2019/03/29
  • とても不思議な物語。
    4つの短編で構成されていて、全て「三月は深き紅の淵に」という幻の本を巡って話は作られている。


    ざっと簡単に説明すると、一章は本だらけの大きな屋敷の中から「三月」の本を探す話、二章は2人の女性が「三月」の作者を突き止めるべく推理を進める話、三章は異母姉妹の美人な女子高生を巡る話でおそらく「三月」が書かれる前の話、そして四章はまさに作者が「三月」を書いている話。これらは、作中に出てくる「三月」と話は全く違うのだか、それぞれどこか似通った話で構成されていると感じた。特に四章は作中に出てくる「三月」の四章とほぼ同じ流れで書かれている。つまり本書自体が作中で出てくる幻の「三月」の本になぞらえているのだろう。

    第一章で、この幻の本についてこう書かれている。
    『なんというか奇妙な印象を受ける小説でね。種類の違う素材のかけらをモザイクにしたような小説。びしっと隙がなくて文句なしの傑作、っていうのじゃないんだ。なんだこれは、と読んでいるうちにずるずると引きずり込まれて、しばらくたっても小説のかけらが頭のどこかに残っているような小説なんだ。』(31ページ)

    本書はまさにこんな小説。本当に読後しばらくたっても頭のどこかでこの作品がもやもやと残っている。物語自体がベールを被ったような作品。一言で感想を言え、と言われても表現出来ない。

    好き嫌いが分かれる作品だと思うが、読後、読者それぞれがいろんな考え方が出来る作品だと思う。これを読んだ人同士でこの本について語り合いたいと思った作品だった。ただ一度読んだだけでは足りないというか、この作品が言いたいこと、大切なことが読み取れていない気がするので、もう一度読んでみようと思う。

  • 注:この本の内容と『黒と茶の幻想』の結末の方向性に触れています


    ウィキペディアを見ると4作目なんですね。恩田陸の。
    『六番目の小夜子』、『球形の季節』と恩田陸、お得意のパターン(設定といい、結末がどっかいっちゃうといいw)が2作続いて、次に本人曰く「完璧にプロットと作って書いた」という『不安な童話』。
    その後ということで、まぁなんというか。いろいろ鬱屈が溜まっていた時期だったんですかね?(笑)
    登場人物を通して語る、どっかで聞いたよーな、どーでもいい世相批判がうるっせーのなんのって!w
    『三月は深き紅の淵を』という妙にくどいタイトルもそうなんですけど、素人が手慰みで書いている小説じゃないんだからさぁ~w

    いや、読んでいて、やっぱりさすがだよなーと思う所も多々あるんです。
    どうという話じゃないんだけど、何だか妙に読んじゃうところとか。
    その辺りはさすが腐っても恩田陸!って感じ。←ホメていますw
    とはいえ、如何せん全般にテンション低すぎねぇ~か~って感じはするかなぁ~(と言うより、意気込みに筆力が追いついてなかったという方が適当か?)。

    この本は4つの話からなっているんですけど、1つ目『待っている人々』は話自体どーということないのもさりながら、上でも書いたように、登場人物を通して語る、どーでもいい世相批判が多すぎですね。
    著者独自の視点のそれであればまだしも、全て当時他の誰かも言っていたようなことで、読んでいて薄ら寒い(笑)
    ていうか、ウィキペディアを見るとこの『待っている人々』が出たのは1996年ということですけど、現在の世情批判と大して変わらないところが面白いです。
    その時代から4半世紀近くが経って、ITだなんだかんだ言っても、人間も世情も大して変わんないんだなぁ~ということなんでしょうか?w

    ただ、これも上に書きましたけど、どーということない話なんだけど不思議と読ませるんですよね。
    たんに恩田マジックということなのか、ていうか、この話の場合、時代が恩田陸に追いついた(or世の中が恩田陸化した?w)と言った方が適当な気もするんだけど……!?
    その辺り、当時リアルタイムで読んだ人に聞いてみたいです。
    小説としては、ま、★2つというところw


    2つ目の『出雲夜想曲』は結構好き。
    女性二人が夜行列車で延々語る、いかにも恩田陸というインドアな感じ、それはそれでいいんだけど、実際に出雲の着いてからの雰囲気がいいんですよね。読んでいて醸し出される光景が妙に暗くって。
    夜行列車の車内は夜だから当然暗いはずなのに、昼間である出雲での出来事の方にほの暗さを感じるところが面白い(上手い!)です。
    ただ、重箱の隅突っつくようですけど、あの廃屋で歩きタバコをする人はいないと思うけどなぁ…。
    小説としては、★3つ。

    3つ目の『虹と雲と鳥と』は、終盤いきなりバーン!という衝撃とそれに続く迫力ある場面があるから、そこで評価は一気に上がるんですけどねぇー。
    ただ、恩田陸オールスターズとでも言いたくなる登場人物たちに、え?またこの人たち?と、ちょっと食傷気味(笑)
    ていうか、不思議なのは二人の母親って、東京でデザイナーとして活躍していた父親と結婚したはずなのに、なんで離婚した後、どっちの奥さんも同じ長野に住んでいるんだろう?
    あと、二人がぶら下がっていたというのもよくわからないんですよね。
    そんなこと実際に出来るものなのか?第三者が後で見てそういうことがあったとわかるものなのか?
    その辺りはよくわからなかったんですけど、そういうのは重箱の隅だと思うので小説として★3つ。


    4つ目の『回転木馬』は……
    いやはや。もう笑っちゃいました(笑)
    恩田陸の持ち味は結末は読者にゆだねる(結末が書けないとも言うw)ところにあると思うんですけど、まさか四部作の4つ目全て読者にゆだねるという荒業に出ちゃうとは!w
    とはいえ、読んでいて妙に面白いのが可笑しくって。
    いや、小説の部分じゃなくて。書きあぐねて、あーでもない、こーでもないとやっている、エッセイの方。
    あれ読んでいると、「四部作!と、バチっと決めちゃったら逆にダサいっていうのもあるか?」なんて思っちゃったりで。
    いやぁ、憎めねぇ、憎めねぇ(笑)
    あそこまでやるなら、いっそ、「トイレにいってスッキリしてきた」とか「コンビニ行って、ビールと肉まん買ってきた」とか、バカ丸出ししちゃえばもっと楽しめたのになぁ~w

    というわけで、これは小説じゃないんで★は無し。
    ただ、それは小説としての評価で。エッセイ、それもデビュー後4作目を書いている(まだまだ新人)作家のエッセイとしてなら、★5つでもいいんじゃないでしょうか。
    ていうか、この4つ目の話だけでなく、この本は全体的に恩田陸の創作ノートみたく読めるところがあって、そこがとっても興味深かったです。
    1つ目だったか、2つ目の話だったか、「気に入った本を読んでいると、その行間から自分が書く小説が浮かび上がってくる」みたいなことを登場人物を言う場面がありましたけど、「そうそう。この著者の書き方って、そうだろうね」って、すっごく納得できましたもん。

    さらに、この本の中に出てくる、(2001年に出版される)『黒と茶の幻想』はこの時点でどのくらいまで構想されてたのか、あるいは書かれていたのか。
    登場人物や大体のストーリーはともかく、登場人物いわく「尻切れトンボという感じは否めないね。そんなこと、どうでもいいやって感じの終わり方なんだよ」って、もうこの時点でそういう結末と決めてたってこと!?
    しかも、その後に「とにかく、途中これでもかこれでもかと変な事件を羅列するのにエネルギーを使い切っちまったって感じだね。あれは」と続くって…。
    恩田陸って、どこかの時点で結末(らしい結末)を書くことを放棄したんだろうなーと気はしていましたけど、そうか!この時点だったんですね。
    それはやっぱり、完璧にプロットを作って書いたという、前作『不安な童話』のトラウマなのかなぁ…w
    ま、人間、自分らしくないことはしないに限るってことなのかもいれません(笑)

    それはそれとして、小説の方の最後。
    憂理が理瀬に「別の三月の世界で会えるかもしれない」と言う場面があるんですけど、自分としてはこっちの三月の世界の話の方が断然面白かったです。
    もっとも、それは先に『麦の海に沈む果実』を先に読んでいて、エッセイの合間に出てくる話の断片をつなげてストーリーに出来るからであって。もし、読んでいなかったら何が何やらわからなかったような気がするんですけど、どうなんでしょう?
    その辺り、こっちを先に読んだ人に聞いてみたいです。

    その「別の世界で会える」とか、エッセイの部分が丸々2つ目の話の取材ノート(どうインスピレーションを受けたか?)になっているところとか。この4つ目の話は、いろんな点で著者の創作法が窺えるところが面白いです。
    ただ。最後の最後、「この書き出しは、どうだろう?」とあるんですけど、「森は生きている」と思うけどなぁー(笑)

    全体的には、著者が持っている自らの小説の魅力に、著者の小説を書く力(技?)がまだまだ追いついていない時期の小説なんだろうなという気がしました。
    ただ、4つ目の話の(小説の方の)最後とか、3つ目の話の途中のいきなりの展開とか、ああいうはっちゃけた展開は恩田陸にしては珍しくて面白かったですね。
    この後に書かれた(らしい)『麦の海に沈む果実』のあのなんとも煮え切らなさを思うと、何とももったいないような。
    とはいえ、その煮え切らなさこそが恩田陸の(ファンが抱く)魅力的な部分でもあるのかもしれません。

    恩田陸は、時代が恩田陸に寄り添ってきたのか、恩田陸が時代に寄り添ったのか、どちらかはわからないですけど、妙に「現在」という時代と合っているようなところがあって興味深いです。

  • この本は様々な仕掛けがされていて面白い。幻の本「三月は深き紅の淵を」のことを語る第1章では、幻の本は「実はなかった」第2章では「実在する」第3章では「これから書く」、第4章は「今書いているところ」。時間軸、存在するか否か。中編ひとつひとつとると、一見バラバラなんだけど何処か三月〜とリンクしている。三月と本書の構成が同じというところも不思議な世界観にとらわれる。第4章がわかりにくい、という書評がちらほら。なるほどと思う。でもタイトル「回転木馬」イコールメリーゴーランドと捉えれば、作家と理瀬の世界と視点がが「くるくる回って」も納得いくのではないでしょうか。
    それにしても恩田先生は多読だ!と思わずにいられない。三月の〜は、随所に他作家の作品が登場する。ジャンルを問わず。読書好きにはたまらない本書の設定に加え、「読書家ならこの作品は知ってるよね?」と試されている気がする。そして、自分にとっての「三月の〜」のような何時迄も強烈に思い出せるような本に出会えたら、と心底思う。

  • とても不思議な作品で、1回読んだだけでは理解することができずに再読しました。
    けれど、それでもきっとまだ全部が見えたわけではないなと思います。
    細かい伏線がいくつも張り巡らされていて、何回読んでもきっと新しい伏線に出会えると思います。

    この本は4つの章から成り立っています。
    全ての章で登場人物が違って書き方も違うけれど、共通しているのはある本を取り巻く人々の話だということ。
    その本のタイトルが『三月は深き紅の淵を』で、この本と同じ四部構成になっている幻の本です。
    各章がそれぞれ独立しているわけではなくて、よく読んでいくとその本を巡る物語という以上のさらに深いつながりを各章の間に見出すことができます。
    だから、再読した時の方が面白かったです。

    もう一つ、この本を面白いなと思った部分は、小説を読むことの楽しみをいろいろな人が語っていること。
    第1章は特にそうでした。
    小説が現在置かれている状況について、いい小説とは何か、小説をどうやって楽しんでいるか。
    第2章では編集者が出てくるし、第4章では作家からの視点になっているので、本を作る職業の人がどういう思いで本を作っているのかということもわかります。
    だから、本をあまり読まない人よりも、本が好きな人が楽しめる本だと思います。
    きっと、わかるわかるって共感してしまう部分が多いでしょう。

  • で、結局なんなのよ!?というのが売り。

  • 夜、暖かい家の中で、これから面白い話を聞くのを待っている。恐らく、大昔から世界中で、なされてきた行為。
    やはり、人間というのはフィクションを必要とする動物なんだな。まさに、その一点だけが人間と他の獣を隔てるものなのかもしれない。(本文より)

  • p.55「夜、暖かい家の中で、これから面白い話を聞くのを待っている。恐らく、大昔から世界中でなされてきた行為。やはり、人間というのはフィクションを必要とする動物なんだな。」


    「三月は深き紅の淵を」という謎の本を巡る短編。
    表紙、挿絵が雰囲気あっていい。
    みんなの記憶の断片と口伝えのみで広がる本の存在、それがどこかにあるという謎、たくさんの本が詰まった家、という発想とわくわく感が雰囲気があって良かった。次のも「三月」の作者について意見を交わして故郷をつきとめられるのか、というアプローチが面白かった。
    残りの二編はあまりつながりが感じられないし、もやっとした感じで終わってて残念。

    恩田陸さんの、本や作者について語る部分が的確で批評的で作家の熱い思いみたいなのが感じられる。

  • メビウスの輪のように作品の中の物語と、実際に読んでいる自分のいる世界とが連続しているかのように思えてくる不思議な本。それでいてミステリ要素は失っていないところはさすがです。
    「麦の海に沈む果実」を読んでからこの本を読んだので、特にその印象が強くなりました。
    「麦の海に」はこの本の第4章でさわりの部分が書かれているので、「麦の海に」を読んでから「三月は」を読むと「麦の海に」の不思議な世界にどっぷり浸かれると私は思います。
    幻を現実にした本と映るのか、作者にまんまと騙されたと思うのかは読む人次第なのかもしれません。
    「黒と茶の幻想」もこの作品とリンクしているようなので読んでみようと思います。

  • 著者作品をいくつか読んで思ったが、どの作品も物語は違っても共通で、ノスタルジックな雰囲気がある。

    本作品も例外でない。面白かった、外さない。ミステリーが好きな人には恩田陸は本当におすすめだと思う。

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著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

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