三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.57
  • (854)
  • (1225)
  • (2064)
  • (255)
  • (69)
本棚登録 : 11604
感想 : 1113
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062648806

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • この本は様々な仕掛けがされていて面白い。幻の本「三月は深き紅の淵を」のことを語る第1章では、幻の本は「実はなかった」第2章では「実在する」第3章では「これから書く」、第4章は「今書いているところ」。時間軸、存在するか否か。中編ひとつひとつとると、一見バラバラなんだけど何処か三月〜とリンクしている。三月と本書の構成が同じというところも不思議な世界観にとらわれる。第4章がわかりにくい、という書評がちらほら。なるほどと思う。でもタイトル「回転木馬」イコールメリーゴーランドと捉えれば、作家と理瀬の世界と視点がが「くるくる回って」も納得いくのではないでしょうか。
    それにしても恩田先生は多読だ!と思わずにいられない。三月の〜は、随所に他作家の作品が登場する。ジャンルを問わず。読書好きにはたまらない本書の設定に加え、「読書家ならこの作品は知ってるよね?」と試されている気がする。そして、自分にとっての「三月の〜」のような何時迄も強烈に思い出せるような本に出会えたら、と心底思う。

  • とても不思議な作品で、1回読んだだけでは理解することができずに再読しました。
    けれど、それでもきっとまだ全部が見えたわけではないなと思います。
    細かい伏線がいくつも張り巡らされていて、何回読んでもきっと新しい伏線に出会えると思います。

    この本は4つの章から成り立っています。
    全ての章で登場人物が違って書き方も違うけれど、共通しているのはある本を取り巻く人々の話だということ。
    その本のタイトルが『三月は深き紅の淵を』で、この本と同じ四部構成になっている幻の本です。
    各章がそれぞれ独立しているわけではなくて、よく読んでいくとその本を巡る物語という以上のさらに深いつながりを各章の間に見出すことができます。
    だから、再読した時の方が面白かったです。

    もう一つ、この本を面白いなと思った部分は、小説を読むことの楽しみをいろいろな人が語っていること。
    第1章は特にそうでした。
    小説が現在置かれている状況について、いい小説とは何か、小説をどうやって楽しんでいるか。
    第2章では編集者が出てくるし、第4章では作家からの視点になっているので、本を作る職業の人がどういう思いで本を作っているのかということもわかります。
    だから、本をあまり読まない人よりも、本が好きな人が楽しめる本だと思います。
    きっと、わかるわかるって共感してしまう部分が多いでしょう。

  • で、結局なんなのよ!?というのが売り。

  • なんでこんなに章ごとで雰囲気ガラリと変わっちゃうの??短編集じゃないのに。と思っていた私、まんまとハマっている証拠でした。
    ただ、4章の物語でなぜか読み進められなくなってしまいまして、面白くないわけではないですが星2の評価をつけます。

  • 面白かった。特に2,3,4章
    2のどんでん返し、3の不思議な空間、4の構造の面白くテンポ感が良い所、しかしえぐられる話というのがよかった。

  • 第四章はいらなかったと思ってしまう…。

  • 何度も読んでいる本
    魅力的なお話がいっぱい

  • 難解
    私には荷が重かった。。。

  • 本って楽しい。設定大事!
    それぞれどの章が1番推しか?という意見も、感想を投稿している方でみんな分かれていて楽しい。

  • 恩田陸さんの少し不穏な話がとても好きなので、理瀨シリーズはとてもツボです。
    最近「薔薇のなかの蛇」を読み終えたところなので、久しぶりに読み返してみました。
    驚くことに1章~3章についてはほぼ忘れていて(・・・。)新鮮な気持ちで読むことができました。

    全4章からなるこの話は、全ての章が「三月は深き紅の淵を」というタイトルの小説にまつわる話になっています。
    2章を読み始めたときは混乱しました。テイストが全然違うし、でも「三月~」の話だし・・・と。でも3章でなんとなく意味がわかり、4章ですっきりしました。
    個人的には理瀨がでてくる4章が一番好きです。
    恩田陸さんご本人を思わせる女性の一人旅の様子と、湿度の高い分厚い雲で覆われているような学園の話が交互にやってきて、そのギャップにぎりぎりついていく感じがしました。
    「薔薇のなかの蛇」の理瀨が大人になっていたので、とても感情豊かで幼い理瀨が、とても可愛らしく思えました。
    この終わり方は「麦の海に沈む果実」への期待が高まります!

    また、全体を通していろいろな作家さんや本が出てくるのも面白かったです。
    その中の本、いつか全部読んでみたいです。

全1113件中 71 - 80件を表示

著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

恩田陸の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×