三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062648806

作品紹介・あらすじ

鮫島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に二泊三日の招待を受けた。彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、その屋敷内にあるはずだが、十年以上探しても見つからない稀覯本『三月は深き紅の淵を』の話。たった一人にたった一晩だけ貸すことが許された本をめぐる珠玉のミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 読書沼にハマったら、ぜひとも読んで!と、推したい1冊。
    草原に広がる1本1本の草が本だとして、その無量?無限?から、出逢えた1冊。当時の自分へ「見つけてよかったね!読めてよかったね!」って思わず褒めてしまう(笑)

  • 一冊の本を巡る四つの物語。

    不思議さを内包した、独自の世界観に魅了されました。

    それぞれの物語の雰囲気が違うところも、作者の引き出しの多さを感じます。

    ミステリ的趣向が楽しめる中、異彩を放つ最後の「回転木馬」が印象的でした。
    賛否が分かれそうな物語ですが、作者自身が投影されたかのような内容が断片的に挟まれ、風変わりなエッセイと捉えることも出来そうです。

    後に発表される、『麦の海に沈む果実』や『黒と茶の幻想』との繋がりがあるところも見逃せません。

  • 不思議な世界観。読んでいて嫌な感じはしないものの、何となく退屈を感じた。私には合わなかった。

  • 「麦の海にしずむ果実」に出てきた本、”三月は深き紅の淵を”にまつわるエピソード集。でも、読み上げると一つの筋が表れてなるほど!と思わされます。時系列というか、目線がぐちゃぐちゃになってもう一度読み返したくなります。
    一番最初のお金持ちの会長が本好きの若手社員を家に招いて三月は~の本を探させる話が一番面白かったです。
    このシリーズはすこし艶っぽいシーンなどもあり、小学校には向きません。

  • 不思議な小説でした。
    三月は深き紅の淵を、を巡る4つの物語がそれぞれ独立しているようでゆるく繋がっていて、物語が繰り広げられる箱の中にまたそれぞれの世界を持つ箱が複数並んでいて、それを俯瞰して空から眺めているような変な感覚になりました。
    物語を読むにつれて三月が読みたくなるのに、それはどうやっても叶わないというもどかしさに胸が痒くなりました。
    個人的に第一章の「黒と茶の幻想」が一番読んでみたいと思いました。
    この本としては第二章と第三章が好きでした。
    特に第二章の、じわじわ真相に近づいていき、終盤になるにつれて一気に加速するところが読んでいて疾走感があり、先が知りたくて息が浅くなる感覚を久しぶりに感じました。
    初めは同じタイトルの、同じ内容の本を巡る、全く違う世界の話なのかと思っていましたが、ところどころにふらりと登場する帽子を被りコートを羽織った男性の存在がそれぞれの世界を繋げているような不穏な雰囲気を漂わせていました。
    第四章については頭の整理がついていません。
    まったく違う話が縄を編むように交互に語られ、一人称や二人称が交錯するのは混乱しました。
    もともと理瀬シリーズに興味がありこの本を手に取ったので、これからどのようにシリーズが続いていくのか楽しみです。

  • 理瀬シリーズの新刊『夜明けの花園』が出たので、それを読む前に、最初どんなんやったかな〜と思って再読。
    いつもながら全然覚えていなくて、新鮮な感動。
    (いいのか、悪いのか。笑)
    なんでこんなにグイグイ読めるんだろう。
    本好きにはたまらない世界観。

  • 幻の本『三月は…』を巡る4章からなるミステリ。各章は独立しているものの微妙に関連している。第4章は著者の理瀬シリーズの序章であり、作家として姿勢、考え方も垣間見える。
    新聞のインタビュー記事で、恩田さんが四半世紀近く書き続けているゴシックホラーの理瀬シリーズがあることを知り、手に取りました。ホラーは少し苦手ですが、恩田さんの作品なので読み進めます。

  • 同タイトルの本が作中で登場し、尚且つ同じく四遍からなる連作短編集。メ小説好きなら引き込まれる独自の世界観やメタ的構造が光る作品。

  • この小説、本が好きな人なら、みんな好きなんじゃないかと思った。
    個人的には文章がとても心地よかった。

  • 作者不明・小部数自費出版、又貸し、コピー禁止の幻の本「三月は深き紅の淵を」という小説が登場する4篇からなる小説。
    タイトルが同一で、尚且つ本の中の「三月は深き紅の淵を」も4篇からなる構成(らしい)ので、現実の本と本の中の本がごちゃごちゃになって混沌としていく。それを面白いと取るか難しいと取るかで分かれそうなので、少し読書やミステリーに慣れ親しんだ人向けに感じた。掴みかけたけど混乱、を繰り返して最後まで読んだ感覚。最終章で学園帝国モノのお話が登場するが、それがまた今までの章とは少し異質・単独で面白い。するとブクログからのサジェストにより「麦の海に沈む果実」で同舞台の小説が読めるとのこと。次はそちらを読もうと思う。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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