英国庭園の謎 (講談社文庫)

  • 講談社 (2000年6月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (344ページ) / ISBN・EAN: 9784062648912

作品紹介・あらすじ

国名シリーズ、第4弾!

みんなの感想まとめ

人間の心理やトリックを中心に描かれた本格ミステリーが楽しめる作品で、倒叙形式の物語が特に魅力的です。犯人の独りよがりな思考が引き起こす緊張感や、火村の鋭い質問が心を躍らせます。短編ながらも、謎解きの面...

感想・レビュー・書評

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  • 『完璧な遺書』
    「殺すつもりなんかなかった…」という犯人の語りから始まる。
    大好きな倒叙がついに来た!(゚∀゚)

    犯人は周りの気持ちも状況も、勝手に自分に都合よく解釈してしまうタイプ。
    その勘違いぶりが気持ち悪くて、正気を疑うような言動が出てくる。
    倒叙なので、犯人の独りよがりな頭の中の自問自答が面白い。

    語り手である犯人の目を通して、火村の鋭さを体験できるのが最高に面白い。
    火村が核心に触れるような質問をするたびに、思わず心の中で「火村先生さすが!」とガッツポーズ。
    こんな嫌な奴が相手だからこそ、スカッとした。
    でも正直言うと、犯人にはもっと白を切って粘ってほしかった!倒叙好きとしては、あの攻防をもっと長く見ていたくて、読み終わるのが惜しかった。

    『雨天決行』
    クリスティの作品にも印象的なセリフで忘れられなくなるものがあるけど、この作品のあのセリフもずっと覚えているだろうな。

    『竜胆紅一の疑惑』
    「私の命を狙っている人間が家族の中にいる…」とスランプ中の作家が、火村とアリスに相談する。
    作家のただの思い込みなのか、それとも本当に狙われているのか…。
    身近なところで起きる物語はやっぱり面白い。

    暗号や言葉遊びなどが盛りだくさん。
    海外ミステリは言葉のトリックだと置いてけぼりになるけど、日本のミステリだと理解できて楽しめるのが嬉しい。

    そして恒例の『あとがき』。
    ユーモアたっぷりの執筆裏話は、読み終えた後のデザートのようなご褒美みたい。
    「あとがき」を読むと毎回あたたかい気持ちになり、ますます有栖川さんのファンになる。

    次は、表紙の可愛さに惹かれて楽しみにしていた『ペルシャ猫の謎』へ!
    国名シリーズ本当楽しいな。
    Audibleにて。

  • 火村英生と有栖川有栖を主人公とする連作短編集で、どれもトリックを眼目において書かれている。長めの表題作はトリックというより暗号解読という面も強いが、それなりに読みごたえがある。いわゆる謎解きを中心とした本格推理というのかもしれない。ただ、いささか時代遅れという感じもしないではない。人間の心理の盲点をついたものや人間の本性を真ん中に据えた複雑なミステリーのほうが、私としては充実感がある。探偵役の火村英生の個性もちょっと弱いかなあ。それがいいという人もいるかもしれない。それに、トリックが解明されても、決定的な証拠にはなり得ていないのではないかと思う。気楽にトリックを楽しむということで、この作者の小説はもう少し読むかなあ。

  • 初めての有栖川有栖さん〜♪
    大阪出身だそうで、身近な地名がたくさん出てきて楽しかった〜♪私も四天王寺夕陽ヶ丘あたりに住みたい〜(そうですか)

    ここ最近はミステリーはあんまり読んでいなくて、読んでいても叙述もの?なんや、文章で脳みそが騙される系のものばっかりだったので、短編やしちょっと物足りないな〜って最初は思ってたんですけど。そういうのに頼らずに物理(?)の謎解きがあるのが本格ミステリなんやな〜と思うと、短編でお話もおもしろくてそこに謎解き要素も入れるなんて本当にすごいなって。コナン見てるみたいやった。笑 コナン見てても解けへんし。笑

    作中にちょいちょいある悪口がツボで。
    「胃袋よりも少し下のところの欲望が渦巻く街、曽根崎」とか、仲の良い兄妹を見て「近親相姦してそうなくらいベタベタしてる」など、見つけるたびニヤりとしてしまいました。

    あ〜おもしろかった!お風呂入ろ。



  • 火村英夫シリーズで尚且つ国名シリーズ4作目。
    個人的に国名シリーズの中では一番面白かったかも
    全編バラエティ豊かで楽しかった。
    特に「三つの日付」「完璧な遺書」「ジャバウォッキー」がお気に入り。

  • '22年6月29日、Amazon audibleで、聴き終えました。今回が2回目、かな…?

    これも、大好きな本、でしたが…良い感想の思い出と共に、嫌〜な気持ちになったのもまた、思い出しました。

    中では、「雨天決行」「三つの日付」「ジャバウォッキー」が好きでした。

    「雨天決行」…被害者の気持ちを想うと、なんとも悲しい気持ちがします…火村の謎解きに、唸ってしまった。

    「三つの日付」…これも、火村の…って、どんだけ小説の主人公に入れ込んでんねん!凄いのは、有栖川さん!と、この感想を書きながら、自分に呆れてしまった┐(´д`)┌

    「ジャバウォッキー」…本書中は、この作品が一番好きです。火村とアリスを突き動かす、その動機が…とても有栖川さんっぽくて、優しさに溢れているなぁ、と。

    で、「英国庭園の謎」、ですが…暗号の謎解きには、感心しました。でも…人間の、「ねじ曲がった、醜さ」を突き付けられて、ブルーになったのを、よ〜く思い出しました。

    ちなみに、本作も…「ブラジル喋の謎」と同様(「ブラジル喋」の「再読記録」の方に書きました。良かったら、そちらも見てください!)audibleでの「目次」に、各作品のタイトルが記されてませんでした。ここは、不満(┛✧Д✧))┛彡┻━┻でも…

    いやぁ…有栖川ワールド、満喫中!ハマってる&惚れてる!Amazon audibleにも、感謝!

  • とっても読みやすい短編集。
    全部面白かった!
    言葉遊びが巧みで、火村先生のようにはなかなか解けない。

    短編の登場人物達もそれぞれ個性があっていいなぁ。
    特に『ジャバウォッキー』は犯人が独特で強烈。
    『三つの日付』ではアリスの記憶力が羨ましかったけど、『完璧な遺書』ではお茶目な行動に笑った!
    愛されキャラでもっと好きになった。

  • 短編6作品。
    雨天決行:題名からすると雨の日の犯罪をどう暴いていくかといったところかと想像を巡らせ読み始める。まさか運動会や遠足ではあるまい。雨天の意味は全く違った。そうだ、有栖川有栖がいるのだった。

    竜胆紅一の疑惑:作家の名前を題名にしているあたり内容を推測しながら読んでしまう癖がある。竜胆という題名から、秋、青紫色の中に目立つ真紅、有名作家の推しといったイメージを持って読み進めた。紅一というと放火だろうか?しかし、予測は少しずつ外れていた。

    三つの日付:火村、有栖、刑事森下からアリバイ証言を求められた有栖、いつものように同席している火村、この3人が喫茶ナスカで会話していく。3年前の事を思い出すにつれ真実が見えてくる。この形式は新鮮味がある。

    完璧な遺書:犯人視点で書かれている。衝動殺人を隠そうと自分では完璧だと思っていることほど、綻びがある。完璧な事は起こる確率は低いのが世の常だ。将棋と同じで一手ごとにスキが増えるのである。ワープロの単語登録で天才と打てば有栖川有栖と出るようにしていたことがあるの件は笑えた。

    ジャバウォッキー:1本の犯罪予告電話から火村はいたずらではないと考える。電話の内容は支離滅裂だが、そこから居所を推理していく。言葉遊びは嫌いではない。時間制限が緊迫感を高めてくれる作品だ。

    英国庭園の謎:高級スーパー創業者発案の宝探しゲーム中にその創業者が殺される。その宝は自慢の英国庭園のどこかにあるが暗号が難解で、火村と有栖が挑む。

    どの作品も読みごたえがあり楽しめた。

  • 国名シリーズ4作目。
    6編からなる短編集。
    一番お気に入りは「ジャバウォッキー」かな。
    長編で読んでみたい。
    今回はあまり殺人は起きず。
    色々な挑戦が伺えました。

  • 作家アリスシリーズ。

    ・雨天決行と言っていたエッセイストの女性が亡くなった話。
    ・作家の竜胆から相談なのか、妄想なのか、をされる話。
    ・有栖の書いたサインと撮った写真の日付がアリバイとして使われた話。
    ・殺してしまった男が自殺と見せかけるために完璧な遺書を書いたと盲信する話。
    ・かつての事件関係者からの電話と止めるために走り回る2人の話。
    ・英国庭園で起きた殺人事件と途中の宝探しの話。

  • 臨床犯罪学者・火村と推理小説作家・有栖川が事件に挑む国名シリーズ第4弾。今回は6作品が収録された作品集となっている。一番好きなのは『完璧な遺書』、キャラ的には『ジャバウォッキー』が印象深い。

    『雨天決行』
    雨後の公園、夜の四阿(あずまや)に倒れていたのはエッセイスト・白石七恵だった。巡回していた警官に「赦してあげて」と伝えて亡くなった彼女の身に起きた悲劇。友人が聞いた「雨天決行」の意味とは?!

    ホームズばりの推理力を見せつける火村!この手がかりからそこまでわかるの?!階段を何段も飛び越えていく感覚。推理を聞かされると、なるほどなあって唸るしかない。謎よりも七恵のエッセイの方が魅力的かも。妻に家のことやってもらってる男が「頼らない」って意味の無頼派なんて気取るんじゃねえって話は痛快。これを書いてる女性が「赦してあげて」と最期に言い遺したのがやるせない。

    『竜胆紅一の疑惑』
    スランプに陥った作家・竜胆(りんどう)紅一からの依頼で、家を訪ねた火村たち。家族に命を狙われているのでは?──竜胆を襲う疑惑の渦。電車のホームで背中を押された。家に放火された。これは偶然か、それとも殺意か。

    有栖川と作家同士のシンパシーが描かれたりして、人物描写が面白い作品。ミステリというよりは人間関係のザラッと感を楽しむ雰囲気。
    「豊かさなど、手に入ればたちまち当たり前のものになってしまう」
    竜胆のこの言葉と、発表をためらう作品『綾子への手紙』のネーミングなど、描かれない裏側こそゾッとするものがうごめいているような気がしてならない。

    『三つの日付』
    「三年前の三月二十二日の夜、どこにいらっしゃいましたか?」
    女性を扼殺した事件のアリバイを崩すため、容疑者・錦本と写真に納まっていた有栖川への所在確認がされた。バー『ナスカ』で撮影された写真と、その時に書いたサインの日付は三月二十二日。アリバイは確定しているように見えたが──。

    マスターが一緒にいた作家・赤星楽(あかぼしがく)のファンで、その流れでサインを書くことになる有栖川が切ない。しかし、それがこの事件の糸口になろうとは。よくこんな仕掛けを思いつくなと。俯瞰しなければ見えないナスカの地上絵みたいな話だった。

    『完璧な遺書』
    愛していた女性・忍を話し合いの場で絞殺してしまった冬樹。彼女の死体を自殺に擬装できないかと計画する。冬樹は彼のもとに届いた署名入りの絶縁状を使って、自殺に見せかけようとするが──。

    犯人視点の倒叙もの。自分への絶縁状を利用して遺書を偽造するというのがなんとも皮肉。その完璧に見えた遺書を崩した火村の推理と証拠には驚いた。まさに不意打ちというか、背後から殴られたような感覚。こんなん考慮しとらんよってなった。倒叙ということもあり、犯人のドス黒い思考のうねりも描かれる。こういうドロドロを書くのが上手いなと。

    『ジャバウォッキー』
    有栖川のもとへかかってきた電話。それはかつて火村とともに面会した人物からだった。謎かけのごとく言葉を遊び回すその男につけたあだ名はジャバウォッキー。火村とともに、その会話に秘められた真意を解き明かしていく。

    語る言葉がすべて言葉遊びと暗号になるって雰囲気はイカしてるしイカれてて好き。言葉の端々からジャバウォッキーの企みを看破していく火村と有栖川の連携プレーが熱い!トラベルミステリーの趣も。手に汗握る頭脳戦が楽しめた。

    『英国庭園の謎』
    資産家・緑川隼人が開いた謎解きゲーム。詩の暗号を解けば、英国庭園の中に隠された宝物が見つかるという。しかし、そのゲームの最中に隼人は書斎で殺されていて──。

    殺人事件の捜査と暗号という二段構えの謎が仕掛けられた中編。親戚から元仕事仲間、友人に居候まで、宝探しに招待された人々。なぜ自分が招待されたのかわからないという人も、謎解きとくれば身が入ってしまうのが人間だったりする。そんな稚気に潜む影の意図と、人々から事情聴取していく内に明るみに出てくる人間性の生々しさが対照的。暗号にも驚かされたけど、やっぱり人のネチッと感を描き出すのが有栖川先生の真骨頂か。

  • ⁡国名シリーズ第5弾
    表題作含む6編からなる短編集。
    相変わらず全てにおいて工夫がなされシリーズがマンネリ化することなく楽しめるのがありがたい。
    倒叙ミステリー、密室、アリバイどれも面白くて楽しめました!

  • 続けて有栖川有栖の火村英生シリーズを読む。
    解説を読んでいて「たしかに」と思ったけど、長編ミステリの名作は数多いが比べて短編は少ない。だから面白く、本格ミステリの様式美を保っている作品はとても貴重なのだと。一冊の文庫に6話も話が入っているのだが、どれも世界観を楽しめて尚且つ読者に犯人を推理する材料が定時でされている本作は、あっという間の時間にとても充実感を得られた感じ。
    休日に一気に読み進めてあとは仕事前のコーヒータイム活用で、4日で読了。

  • どれもいい塩梅。ハズレがなくどれもピリリと面白かった。

    ジャバウォッキーがちょっと変わってて面白かった。

    2020.8.13
    74

  • 短編にも進出
    推理小説を読むときの頭の使い方
    昔よりも謎以外の部分をちゃんと読むようになれたので、おもしろい。

  • 「三つの日付」「完璧な遺書」「ジャバウォッキー」が、いつもの、現場行って謎解きっていうスタンスじゃなくて面白かった。
    「三つの日付」はアリスが疑われているのかと思いきやアリバイ崩しの手伝い。そそっかしいって評されちゃうところが彼らしくていい。犯罪者の視点から見た「完璧な遺書」の火村は怖かった。アリスの存在がどれだけ現場を和ませるかって解ったような。だって「てんさい」の変換には吹いたもの。三十越えの男がすることか?かわいいな!

  • 作家アリスの国名シリーズ四作目。
    相変わらず火村さんは良いですね。好きな探偵の一人です。六作の短編集でしたが、中でも「完璧な遺書」が良かったです。倒敘物で緊迫感がありました。

  • 三つの日付、初登場でお気に入りになったのに速攻死んだ赤星の再登場(?)でテンション上がった。
    ていうか大阪いるから飯食おうぜ!オッケー!はかなり気安いやりとりだと思うんだけど、海のある奈良に死すでアリスって赤星のこと知り合いって言ってたよな…友達判定が厳しすぎんか…
    ラストに結局推理外して最後に決まりの悪そうな声で電話かけてくる火村律儀〜!

    ジャバウォッキーの疾走感はたまんねえなー!!手に汗握る展開だった。
    それにしてもこのあとアリスのブルーバードはどうなったのか…改札口乗越えも含めて後処理めちゃくちゃ大変そうだ…

    表題作の英国庭園は被害者に「か、カスの所業…!」としか言いようがなくて困った。

  • 1番好きな短編はジャバウォッキー。火村につながらなければ有栖川に電話をかけるのは常識笑
    世界と犯人を救うため、電話越しでも全力で奔走する2人が好きです!

  • 短編集。

    どの話も面白かった。
    一番好きなのは最高の遺書。
    英国庭園の謎は自分でも謎解きしてやってみたい気持ちはあったけど気力がなかった。
    面白い謎解きだった。

  • 本書は6篇のミステリーが含まれている。それぞれ全く異なった特徴を持ち、一気に読むことももちろん可能だが、1日に1篇ずつよみ、1週間楽しむ、というのも手である。
     6篇のうち私が特に気に入っているのは「完璧な遺書」「ジャバウォッキー」である。前者はこれ以上長編にしても仕方ないし、ページ数を少なくしても面白くないだろうな、というくらい絶妙なバランスで書き下ろされた印象を受けた。また刑事コロンボ風の話の進み方が新鮮で興味をそそられた。後者は逆で、もっと続きが読みたいという気持ちを起こさせる作品である。
     表題にもなっている「英国庭園の謎」については、私は若干とまどいを感じてしまった。というのも舞台が大阪府の泉北ということで、その地域を知るものとして、内容は別にしてどうしても違和感が拭えなかった。武庫川や芦屋であったらまだ英国庭園がイメージできるが(それはそれであまりに「ありがち」になってしまうが)。
     逆に言うなら関西を知るものにとって本書の作品は場所がイメージしやすくなじみやすいと言えよう。お薦めである。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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