ひまわりの祝祭 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062648981

作品紹介・あらすじ

自殺した妻は妊娠を隠していた。何年か経ち彼女にそっくりな女と出会った秋山だが、突然まわりが騒々しくなる。ヤクザ、闇の大物、昔の会社のスポンサー筋などの影がちらつく中、キーワードはゴッホの「ひまわり」だと気づくが……。名作『テロリストのパラソル』をしのぐ、ハードボイルド・ミステリーの傑作長編!

感想・レビュー・書評

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  • 2020年8月23日読了。

    藤原伊織作品。
    「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞と直木賞をダブル受賞して次の作品とのこと。

    しかし、藤原作品としては一番評価は低いかな。
    口語が美しくていいのだが、多すぎて少しわかりづらいかな。

    題名の「ひまわり」がなぜ「ひまわり」なのかがわかるまで、結構なページを必要とする。

    ちょい役だと思われた、妻によく似た女性もきちんと活躍?する。

    でも藤原伊織、もっと書いてほしかったな〜

  • 藤原伊織を読んだのはは「テロリストのパラソル」に続き2作目。ハードボイルドという括りで扱われる彼の作品はそうなのかしら?と疑問に思ってしまう。
    今回のひまわりの祝祭は、静謐で美しい。確かにハードボイルド的な要素があるにはある。ハードボイルドといえば、酒はバーボン、汗臭い男、肉質な美女。マグナム系の銃器。血なまぐさい肉。この本では、バーボンが牛乳、汗臭い登場人物がインテリ系、美女は薄倖の才女。マグナムがライフル。肉がコンビニのドーナッツ、に置き換わっている。
    まるで文学作品を読んでいるようでした。

    ラストシーンは特に美しい。
    最後に女が主人公へ「あなた」と語りかけるところが、すごく気になる。なぜ呼び方が「あなた」、なのか。。暗喩されているのだろうか。。

    もっと彼の読んでみようと思う。

  • 「もし、それが事実なら世界の美術界が震撼する。伝説が修正される。 神話がもうひとつ誕生することになる。 」


    天才画家ゴッホが残した「ひまわり」。数十億円は下らないだろうと言われている作品は隠された「もう1枚」があった。その「ひまわり」をめぐって争いを起こす者、巻き込まれる者、知らず関わっている者。

    「ひまわりをめぐる争い」というとハードボイルドっぽいけど、実は本格ミステリーだった作品。伏線もどんでん返しもあります。

    この作者の作品はストーリーは当然の事ながら、出てくるキャラクターが素敵。主人公格の冴えない中年男にバイリンガルの女の子以外にも、脇役までが魅力的。とにかくかっこいい原田に新聞配達青年の佐藤君。
    この作者は何かしらの小物をうまーく取り入れるのだけど、今回はドーナツの模様(笑)。決して親切に描写を描くタイプの作家さんではないけど、効果的に使う小物のおかげで、不思議とその情景が浮かんでしまう。

    中年男の秋山も「なんでそんなにいろいろ詳しいんじゃい!」と思えるし原田も「お前は出来杉君か!」と思えちゃうところもあるけど、それでもかっこいい!ハードボイルド風味だからと言って派手なドンパチを期待すると肩透かしかも(いや、撃ち合いはあるけどさ)。

    ドンパチだけがハードボイルドではありませんぞ!

  • 藤原伊織いっぱい買ってきたのだ

  • 自殺した妻は妊娠を隠していた。何年か経ち彼女にそっくりな女と出会った秋山だが、突然まわりが騒々しくなる。ヤクザ、闇の大物、昔の会社のスポンサー筋などの影がちらつく中、キーワードはゴッホの「ひまわり」だと気づくが...。名作『テロリストのパラソル』をしのぐ、ハードボイルド・ミステリーの傑作長編。

  • 20240407
    会話文が静かで綺麗だと思う
    重厚ではなく不思議な格好良さ

  • 妻の英子はレイプで妊娠して自殺し、英子に似ている麻里はヘルスで働く。この設定から、「自分の意思」があるかどうかが何よりも重要なのだとわかる。「たかが」という言葉は、加害者からしか出ないともわかる。逆に、何十億、何百億円になるかわからないほどの価値ある物であっても、それになんの興味も持たず、どう処分したとしても、それも権利者の意思だけに基づくものであって、他人がどうこうはできないのが筋であるのが当然だと思う。
    この本の所々で繰り返される、なぜあなたが、なぜそこまで、なぜそれを、などは全部、他人の人生に介入する試みがいかに無駄かが表現されているのかもしれないと思った。
    他人が誰かを「変える」ことはできないのではないかと思う。ただ、他人のおかげで「変わる」ことはできるかもしれない。やはり「自分の意思」が重要だと思う。

  • 美術に造詣が深かったのかなあ…

  • ストーリーが深い。文章力が凄いので所々難しく感じる場所もあったが、話し方や振る舞いも細かく書かれていて、登場人物の性格や特徴が良く分かったのでストーリーにのめり込めた

  • 悪くはないが読了感があまり良くない。
    主人公の妻の自殺が始まるが、実は本筋にはあまり関係ないし。ファン・ゴッホのまぼろしの作品を追うけどそれもなんというかなんで奥さんは黙っていたのかとか、うーむ。

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著者プロフィール

1948年大阪府生まれ。東京大学仏文科卒。85年「ダックスフントのワープ」ですばる文学賞を受賞。95年「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞、同作品で翌年直木賞を受賞。洗練されたハードボイルドの書き手として多くの読者を惹きつけた。2007年5月17日逝去。

「2023年 『ダナエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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