破線のマリス (講談社文庫)

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  • 講談社
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本棚登録 : 1709
レビュー : 182
  • Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062649070

感想・レビュー・書評

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  • 野沢尚のデビュー作でもあり、のちに映画化されたときには脚本も担当している。
    タイトルにある「マリス」とは英語の法律用語で<悪意>という意味である。

    メディア関連の仕事をしていただけあって、主人公を取り巻く環境や状況、描写にはリアリティがあった。
    中盤までは一気に読ませる展開で、どんな結末が待っているのだろうと思っていたら、後半はつじつま合せのような展開で残念な思いをした。
    前半部分が面白かっただけに余計にそう感じたのかもしれないが。
    主人公が怯えていた存在が明らかになったときには「えっ?」となる結末で驚かされた。
    映像は果たしていつも真実を伝えているのだろうか?
    制作側に明確な意図があれば簡単に真実は作られてしまうものだ。
    ドキュメンタリー番組などにも同じことが言える。
    映像が自ら持つインパクトや影響力の大きさを考えると、どう伝えるかも大切だが何を伝えたいか・・・がより大切なのではないだろうか。

    冒頭部分はかなり強いインパクトがあった。
    後半になって失速してしまったかのような展開が残念でならない。
    物語の中の描写が、まるでシナリオのように映像が浮かんでくるものであったことが印象に残った。

  • 江戸川乱歩賞受賞作、1997年の作品。
    「破線」とはテレビ画面を構成している525本の走査線のこと。
    「マリス」とは報道の送り手側の意図的な作為または悪意。
    「破線のマリス」とは、送り手側の情報操作、虚偽報道、やらせ、でっち上げ、といった意味。

    虚実の狭間を縫い刺激的なモンタージュを創り出す、ニュース番組の映像編集者に仕掛けられた罠とは。
    マスコミを善と描いていないところがいい。また、官僚の悲哀や弱さもよく描かれている。
    ミステリーとしてはクエッションだけど、このような展開になるとは予想をしていなかった。
    (図書館)

  • 光は形を変える。

  • 2019.7.26 読了
    第43回江戸川乱歩賞受賞作

    これはミステリーなのか

    最初の読後感がコレ
    江戸川乱歩賞って幅広いなーって同時に感じた

    推理小説、ミステリーもののゴールの一つに犯人が解明することだと思う。なのに結局犯人は、仮説止まり。
    著者野沢先生はもっと強いメッセージを伝えたいのかな
    ある意味衝撃なラスト

    主人公瑤子はテレビの編集屋で
    ある殺人犯の目星は付け、麻生に取材を重ねるが
    結局麻生が犯人ではなく、逆に麻生を殺してしまう
    その上、真犯人は有耶無耶ではっきりせず終わる

    この麻生を通じて
    マスコミの怖さを知ったなー

    せっかく瑤子は二つのF、for whom、for whatと素晴らしい思想を説いてるからこそ、ラストはちょい残念

    しかし強い執念は感じた!!
    作中でもあったが疑えっということ。深いね

    後半からドキドキさせられてしまいます

    良い作品であるね^_^

  • 今と違ってまだテレビが強い影響力を持っていた時代の話というと言い過ぎだけどSNSによる個人の発信がなかったとき、編集されていることに気づかずに情報操作に操られる危険性を書いたミステリー。おもしろかった。

  • 破線のマリス/野沢尚:第43回大賞受賞。1997年
    マリスとはTVの送り手側の作為とか悪意。
    映像技術者の瑤子は、バツイチ。息子は元夫がひきとった。世田谷の助教授殺人事件を、怪しくみえる妻が犯人のように見せる映像を番組で流す。これに関しては妻が自首。自分の感覚に自信を持つ瑤子。
    弁護士が殺され、郵政省の春名から告発ビデオを渡される。取り調べの後の警察署前で2秒の笑顔を見せた麻生が犯人だと思う。瑤子の映像をきっかけに、家族も離れ、仕事も左遷に。謝れと瑤子につきまとう麻生。隠し撮りされたビデオも届き、瑤子の精神は不安定となる。盛り上がりー。
    とうとう麻生を殺してしまうわけだが。盗撮ビデオは違うんだよな。
    悪意ばかりで、読後感はよくないが、スルリとサスペンスはある。推理小説ではないけれど。弁護士殺人の犯人わかんないし。そこはいいのか?

  • 正義も悪意も持つ主人公の描き方はいいが、主人公によって被害を受ける登場人物の扱いがあまりに酷いので、結果として主人公への共感がほとんどできない。しょうがないといえばしょうがないが、ネットも個人情報もストーカーの概念もない時代の作品なので、テーマ的にもサスペンス度も今となってはきつい。

  •  読み始めてすぐに、この本は一度読んだことがあるのではないかと思った。最後までそうじゃないかと思いながら読んでいたのだが、それでも途中で結末を思い出すことはなく、結局これが再読だったのかどうかはわからなかった。でも再読だったとしても損をしたとは思わせないサスペンス。画像での印象操作のことが主題だが、作者がテレビドラマの脚本家だっと聞けば、そのリアルな描写にも納得してしまう。話は映画を見てるようにどんどんとスリリングに展開してゆくし、その顛末も衝撃的で、最後まで面白かった。

  • 報道によって人生が狂わされた男と、彼の人生を狂わせた女の話とでも言えばいいか。
    マスコミ報道の恐ろしさ。
    報道する側は、もしかしたら自身の影響力を過少に評価しているのかもしれない。
    そしてまた、優先すべき順位を誤っているのかもしれない。
    実際に、報道によって人生を狂わされた人もいるかもしれず、小説の中だけでの話ではないように思う。
    ミステリーとしては、犯人は読めたし、途中緊迫の部分が長すぎたように思う。
    報道に対する問題提起という意味では素晴らしいが、途中読むのに少し疲れてしまった。

  • テレビの編集者である主人公の女性は、ある日春名と名乗る郵政省で働く男性からリークのビデオと情報を入手し、この事をテレビに流した。このことで容疑者となった男は左遷、家庭崩壊に陥った。主人公の元へ無罪を主張し、謝れと脅迫を受ける。その脅迫はエスカレートし…

    とにかく変貌して行く主人公の女性が怖かった。専門的な話に切れ変わったときにとにかく眠くなってしょうがなかったが、後半からはスルスルと読めた。

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