まどろみ消去 (講談社文庫)

著者 : 森博嗣
制作 : 山田 章博 
  • 講談社 (2000年7月14日発売)
3.27
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  • 252レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062649360

作品紹介

大学のミステリィ研究会が「ミステリィツアー」を企画した。参加者は、屋上で踊る三十人のインディアンを目撃する。現場に行ってみると、そこには誰もいなかった。屋上への出入り口に立てられた見張りは、何も見なかったと証言するが…。(「誰もいなくなった」)ほか美しく洗練され、時に冷徹な11の短編集。

まどろみ消去 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 『まあ、あまり、気になさらない方が良いです。僕も貴女も、時間は未来にしか残っていません』

    『確かにそう…、一人だけで良いから、誰か他の人に、自分の生きているところを見てもらいたい、と思うことはありますよ。』

    『僕も、こうして今、奥さんと話をしているのが、小さな楽しみ、幸せですよ。こんなことだけが、毎日毎日の我々の生きる目的なんでしょう、きっとね』

    『いえいえ、本当に、お返事は、いつでも良いのです。そうですね、また、この次ということで… ー そうすれば、ええ、少なくとも、もう一度は、お会いできるでしょうから』

    『とにかく感情的な言葉を使うのはよしなさい。そうやって、自分でしゃべった言葉で、興奮してしまうんだよ。』

    『そうでしょう? 理解できないことだってあるのよ、世の中には…。なんでも、数学みたいにはいかないのよ』

    『もう発狂しそうなくらい不味くって不味くって…。一応、全部食べたけどね。うん? 発狂はしなかったよ。』

    『うん、今思うと、やっぱ運命ってやつ?』

    『どうして、ああいう時間って、すぐに過ぎてしまうんだろう。楽しいときって、神様がビデオを二倍速にしてるんじゃないかって、ときどき思うよね。』

    『もう、助手席にさ、接着剤でくっついちゃったみたいなんだ。あ、これはオーバーかな?』

    『あとあとそれが何の役に立つのか、あるいは何の役にも立たないのか、まるでわからない。けれど、わからない場合には、とりあえず何でも経験しておくのが、この世界の常套手段である。』

    『だんだん、申し合わせたみたいに、みんなで鈍感になって、頑張って単細胞の不感症になって、いろんなことが気にならなくなるのだ。』

    『一日中、たった一つの微分方程式を睨んでいた、あの素敵な時間は、どこにいってしまったのだろう?』

  • S&Mシリーズを面白いと思って読み続けて、刊行順に読もうと思って手に取った本書。正直あまり面白くなかった。自分がこのシリーズを好きなのは、森博嗣がというよりは、犀川先生と、そして間賀田博士が好きだからなんだなあと再認識。

  •  S&Mシリーズ全10巻を読み終えたので、余韻を楽しむ間を惜しんで『まどろみ消去』を読み始めた。『封印再度』『幻惑の死と使途』の間に出版された作品らしい…

     205ページで、ようやく西之園モエ(何故かカタカナ)が登場した!

     『まどろみ消去』を読了しました。西之園モエとカタカナにした理由は、『今はもうない』で西之園嬢と表現していたことと同じような理由か?

     私と森先生の作品との出会いはセレンディピティに溢れている。私は『喜嶋先生の静かな世界』を入手した直後に、以前から積んであった「キシマ先生の静かな世界」が収録されている『まどろみ消去』を読んでいる…『まどろみ消去』の大部分は、文章のトリックでミスリードを楽しませる趣向で、森先生風に言うと「読まなくても良い作品」なのかもしれないが、中には人間が何に惹かれ何に絶望するかを示唆する内容も少なくない。

     文章のトリックでミスリードさせられるミステリーは、大嫌いだったのですけれども、『まどろみ消去』は、まさにそんな短編集でした。でも、森先生にやられると嫌じゃない?

     森先生の思考を少しでも多く発見し繋ぎ留めたい読者なら、手に入れて書棚の一等地に置いた方が良いだろう。この作品には、脳細胞の一つとして、繋がる機会を待っている可能性があるから…

  • シリーズ第6弾!と言いたいのですが、
    S&Mシリーズの中間地点です。そう、5冊分の一幕目が終了し、約15分間の休憩です。(つまり短編集です)

    森博嗣の短編・・・なんだか違和感でしたw
    (決して作品が不満なのではなく、もっと続けてください~という読後感)

    いつもの軽快なキャラクターたちの会話やあっと驚くトリックという感じではなく、何処かダークな毒を含んだ短編が沢山ありました。

    最後まで気を抜けない短編って、凄いですよね。

    さて、15分休憩のあとはついに2幕目!
    最後までの5冊、心して挑みたいと思います!!

  • 短編集はあまり好きじゃないけど、びっくりするくらいおもしろかった!森さんは何故こんなにアイディアが出てくるんだろう。ミステリーばかりじゃない、というかミステリーの定義がよく分からないけど、様々なタイプのお話があった。S&Mシリーズのも二つ。小さな宝石がたくさん詰まってるみたい!

    「純白の女」は、多重人格障害なのかな。でも、四季のような、混ざらない純粋さってことだろうか。

    「優しい恋人へ僕から」これ、すごく好き。僕がとてもかわいい。このくらいシンクロ率の高い人、稀にいるよね。最後の一文まで分からなかったけど、気づかなくてよかった。

    「ミステリィ対戦の前夜」は爆笑!遊びすぎでしょう(笑)岡部さんの、変な英語と変な日本語がテンポよすぎ!

    「誰もいなくなった」犀川先生、かっこいいです。

    「何をするためにきたのか」………モンハン?

    「心の法則」全く分からなかった。完全に油断して読んでたけど、確かに最初から言ってること難しかったな。もう一回ちゃんと読まないと。一番ひっかっかった、一番面白いのかも?

    「キシマ先生の静かな生活」なんか、とても泣けた。本当に。研究に没頭できること、好きな学問ができることって、やっぱりとても幸せなことなんだなあ。大学って尊い場所なのね、もっとそれを自覚して勉強しようと思った。


    解説よかったなあ。萌絵の十進法のジェスチャー、あそこも爆笑した。森さんがやりたいのはミステリーそのものではない、というのはなんとなく感じていたけれど、でもミステリーである理由もちゃんと分かった。
    どんな形であれ、日常からほんの少しはみ出すことが世界の謎について考える一歩になるんだ。突発的にはみ出したりするのが、犯罪がらみ、特に死が近い時なんだろうな。そうでなくても、より理系が、より研究者が、そういう思考を常に持っているのね。

  • 帰省の新幹線内で読みおわりました。楽しめたのですがのめり込めなかったような気がしました。森さんの作品を楽しむにはやっぱり500ページ位の一つの話をじっくり読みたいなぁと思いました。なんていうか,もっと重厚感を感じたかったなっていう感想をもちました。

  • 書き下ろし短編集。
    最後のキシマ先生だけ、後に長編に。

    サクサク読めるが「?????」で終わる作品も少なくない。俺の読解力が低いのか。
    自由に楽しそうに書いてる。怒りに震える萌えちゃんがイメージできてワラってしまった。
    石の話は・・・難しい、読み直してもワカラン。分りたいだけにくやしい。

  • 読み易い話だったり、
    イマイチ頭に入ってこない話だったり
    萌絵やS&Mシリーズの登場人物の
    サイドストーリー的なものだったり
    いろいろ詰まった短編集。

    個人的に好きなのは「彼女の迷宮」と「悩める刑事」。
    叙述トリックのものがいくつかある中で
    この2つがけっこうスッキリしたかな。

    「彼女の迷宮」は最後のドキッとする感じが好き。
    すれ違いから生じた大胆な悪戯心と小さな狂気。

    「悩める刑事」は最後のキレイに収まる感じが好き。
    夫婦同士の言い出せない悩みで軽妙に読者を騙す。

  • 短編集。


    萌絵とかが出てくると愛着感で、テンション上がるんだけど、1つ1つは何だか微妙な感じ。
    え?そっち!
    って感じで意外な結末が多かったかな。
    意外な結末も続くと普通になっちゃうし。

    個人的には、この人は長編で良さが出るんじゃないかと思う。

    同じ短編集なら、地球儀のスライスの方が断然面白い。

  • 純然たるミステリ―と言えるのは「誰もいなくなった」だけであり、ふわふわとした雰囲気の幻想小説のような趣きの作品が多い。大学での研究生活や先生の思い出を綴った作品も含まれている。個人的なお勧めは、「悩める刑事」。「誰もいなくなった」は犀川&西之園コンビが登場、「ミステリィ対戦の前夜」は西之園が登場。

    「虚空の黙祷者」
    五年前に夫が失踪したミドリ。夫は寺の住職殺害の重要参考人。寺を引き継いで、住職となった和史。
    和史はミドリにプロポーズするが、ミドリは保留のまま静岡に引越しする。故郷に帰郷したミドリは和史のプロポーズに応じるが、お互いに隠し事をしていたことが判明する。
    『どんな汚いものも、時間が綺麗にしてくれる』という結末。

    「純白の女」
    田舎の保養地に静養のためにやってきた女。作家の夫は出版社の担当者を殺害。女はその担当者の弟の面倒をみる。その弟が保養地にやってきたので、泊めてやることになるのだが……。
    信頼できない語り手による不条理な真相。

    「彼女の迷宮」
    作家の夫が海外出張中に、勝手にその代筆をした妻。物語は解決不能の迷宮に陥り、妻に真意を問い質す夫。妻は意外な解決方法を示す。

    「真夜中の悲鳴」
    博士論文のために大学に泊まり込みで実験を続ける大学院生のスピカ。測定中にノイズが見つかり、発生源と思われる地下室を調べに行くと、サスペンスフルな展開へ。「石阪効果」なるものは実在しない模様。

    「やさしい恋人」
    スバル氏というペンネームの人物と大阪で会い、名古屋に一緒に戻って下宿に泊まらせる話が、喋り口調で綴られる。最後の1行で読者は勘違いしていたことに気づく。作者の作家としての本音も垣間見える。

    「ミステリィ対戦の前夜」
    西之園モエがミステリィ研究会の合宿に参加し、部長の密室殺人に遭遇する話だが……。
    「読者が探偵で、読者が犯人」という真相。

    「誰もいなくなった」
    ミステリィ研究会主催のミステリィツアーの最中に、閉鎖空間の広場で踊っていた三十人のインディアンが消失するという魅力的な謎が提示される。解決はやや安易だし、そんな短時間で○○することが可能なのかと疑問には感じるが、焚火をしたことには意味があった。

    「何をするためにきたのか」
    主人公フガク、その友人のワタル、教授の予告通りに知り合ったフミエ、フミエの予告通りに現れた坊主のゲンジの4人で空地の地下室を探検する話。
    ふわふわとした幻想的な進行の中で、人生に対する哲学的な思索、問いかけが示されている。

    「悩める刑事」
    仕事が自分に合っていないことを悩む夫。夫が悩んでいることに気づき、自分の仕事が配置転換になったことを告げるのに躊躇する妻。
    なるほど、そういうことだったのか。見事に騙された。

    「心の法則」
    登場人物は、精神科医を目指す「私」こと板橋、「心の法則」という理論を論じるモビカ氏、その姉の三人。「心の法則」によって、「私」が葬り去られるという不条理な話。

    「キシマ先生の静かな生活」
    キシマ先生という、典型的学者肌の変人ではあるが味わいのある人物の思い出が綴られている。

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