文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 6802
レビュー : 563
  • Amazon.co.jp ・本 (984ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062649612

感想・レビュー・書評

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  • 朱美という女は、なんて魅力的なのだろう。

    前半は、前作で魅了されてしまった京極堂の出番がなかなかなく、それだけが物足りなく感じたが、それはあくまで個人的な感想。

    自分も、登場人物達も、ある意味、前回の事件で学んだことが覆されてゆくことに戸惑う。
    それゆえ、関口などはかなり混乱してゆくが、更に混乱している元精神科医のおかげで、少し正常な気さえした(笑)

    今回のクライマックスの憑き物落としの会場が、お寺であるせいか、真っ暗な境内でのやりとりは、とてもスリリングでドラマチック。
    漆黒の衣に身をまとった京極堂様のセリフのひとことひとことが、ドキドキという心臓の音とともに体の中にしみ込んでゆく感じ。

    ラストは切ない気持になったが、朱美の言葉に少し救われた。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「体の中にしみ込んでゆく感じ。」
      それが、このシリーズの最大の魅力のような気がします。読み返したいと思いつつ、他にも一杯読みたい本だらけで果...
      「体の中にしみ込んでゆく感じ。」
      それが、このシリーズの最大の魅力のような気がします。読み返したいと思いつつ、他にも一杯読みたい本だらけで果たせずにいるのが、とても残念です。
      そんな訳で、志水アキのマンガでも読もうかと(書店に行ったら、コミックを買うと紙のカバーが貰えるようだったので、そんな気になってます)
      2013/02/02
    • 彩花さん
      確かにそう思います。
      京極堂の憑き物落としのシーンは毎回ドキドキします☆

      私も読みたい本が沢山ありすぎて「時間がもっとほしい~!」って感じ...
      確かにそう思います。
      京極堂の憑き物落としのシーンは毎回ドキドキします☆

      私も読みたい本が沢山ありすぎて「時間がもっとほしい~!」って感じです(汗)
      志水アキさんのコミックは、魍魎の匣を読みました。狂骨の夢も読んでみたいな~
      2013/02/03
  •  人の体の一部が発見されて事件になる。違う事を頼まれていた面々は、話を聞いた京極堂によって、それもこれも繋がりのある事件だと知る。
     魍魎の匣では手足、狂骨の夢では頭蓋骨が見つかる。つまり狂骨の夢は、前作と同じ手法で物語が進んでいく。この本が、あまり面白くないのは情報の開示が下手だからだろう。魍魎の匣では、京極堂が憑き物落としをするまでに、もっと情報を提示していたのだが、今回は薄い。それは、解決への繋がりや、解決自体が無理やりすぎたからではないだろうか。ボロを出さずに整合性を付けるために、情報の提示を広く薄く終わらせて解決へといったのだ。魍魎の匣が上手かったので、手腕の違いを見比べてしまう。謎を複数散らばせて、個人の事件が複雑に絡み合う仕組みは、魍魎の匣と同じだ。違う仕組みだったら、また違った目で見れただろう。
     京極堂が説明をするときに、一呼吸を入れる為か、関口や木場が話を止めて茶々を入れるが、これも上手く聞こえなかった。あまりに中断する回数が多いので、関口が異様なほどの愚鈍に、木場が凶暴な木偶に見えた。それで誤解されるかもしれないが、関口という男は無能なワトソン役ではないと思う。犯人や関係者、または場の空気を身に写して読者に見せる役目になる。京極堂が自身に何も写さずに体外からの知識で解れをとく者ならば、関口は全てを写す鏡なのだ。
     京極堂は相手の理屈の穴を見抜いて憑き物落としをする。理屈がなくて、ただ本能のままに犯罪を犯す狂犬のような奴には、憑き物落としは効かないのだろうか。そして、理屈が完全に固まってしまった者にも、京極堂の弁舌は作用しない。本書に出てくる文覺長者の憑き物は落とせなかった。
     関係者が沢山いるが、あまりキャラクターがたっていない人も多くて理解がしにくいのも、カタルシスの減少につながっていると思う。そこに置いて設定を決定しているだけに見えると必然性が感じられない。
     本作では遠回しにフロイトを否定するようになっている。降旗の朱美に対する推理は全て外れていたわけだし、自分のことに対しても何も見えてはいなかったのだ。それは巻末解説で山田正紀が言っていたように、圧倒的なリアリズムによる解決を示唆している。これは京極堂というキャラクターの特質であり、憑き物落としの方法論を明示するものだ。文化に対しては科学を、科学に対しては文化を持って、その穴を埋めていく。謎の繋ぎ方には疑問を呈したが、曖昧な感覚である夢や幻を現実のものとして明確に解き明かしたのは推理小説らしくて面白かった。

  • とてつもなく長いうえに、お馬鹿さんな私は言葉の意味を検索、漢字の読みを検索、日本史の流れを検索、、、どんだけ時間のかかる本やねん。そやのに止まらない次読みたい感。
    複雑かつ知識力の必要なお話しなので、私にはあまりにレベルが高すぎた。でもおもしろい。すばらしい。
    今回は関口くんと伊佐間くんと榎木津の人間性がよく感じられて彼らを好きになった。そこに木場さんと中禅寺さんが混じった時の化学反応は、青春小説のようでもありほほえましい。・・榎木津は"さん"付けしないのが正統派です。

  • 古本屋にて分冊文庫版の上巻を買ったが、‪中が見つからず結局こちらを購入し、読了。

    合間の榎木津さんに、相変わらずニッコリしてしまう。朱美が民江なのではと疑ってはいたが、流石に真相には辿り着けず……。木場さんの結論を急く気持ちがとてもわかったけど、京極堂のあの感じがやっぱり好きだなぁと思いましたね。

  • 2019年7月4日再読
    要約すると、ありがたいしゃれこうべを愚かな人間が奪い合い勘違いをし幾多の命が失われた。人間の業の深さたるや。信仰心を持っていても救われないこともあるのだと思いました。朱美は最後まで美しかった。

  • 姑獲鳥 魍魎に続いて10年振りくらいの再読。

    前二作より読み終わるまで期間が長かった。
    蘊蓄が難しいんだもの。
    初めて読んだ時はだいぶすっ飛ばしたのか、理解力がそこまでなかったのか。狂骨は前二作以上に内容を覚えてなかった……(笑)
    それだけ今回再読して噛み砕いて読んだら面白かったですが。
    それにしても毎度の事ながら風呂敷広げすぎて「いやいや収集つかないだろ」ってネタを一気にぎゅっと束ねる展開がすごい。
    できればラストの事件解決の時に「※○○ページ」みたいにその場面や伏線を読み直せる注釈欲しい(笑)

  • 前二作は映画→原作の順で入ったので、本当の意味でのシリーズ初体験は本書になるのかもしれない。某登場人物の正体は大凡予想がつくが、そこに至る迄こうも複雑なプロットを経ようとは全く予想もつかなんだ。前作より物語のスケール感は落ち、代わりにミステリー要素は増したものの、それにより冗長さが際立ってしまった印象も。こうなると次作の頁数にゃ心根が怯むってもんです。従来の宗教的要素に加え、精神分析学も大きく絡む本書、狂信的になればなる程【信じる者は救われる】が、果たして其の信仰の頂に自我は欠片でも残存するのだろうか…?

  • このシリーズ全般で一番いいと思うのは、二次大戦終戦直後、という舞台をきっちり描写し、フルに活用している所。特にこの話は、この年代でなければ成り立たない、この年代を舞台にしているからこそ、という、カッチリ感が好き

  • 約20年ぶりの再読。内容は全く覚えてなかった。複数の事件が一つに収束していくのが気持ちいい。宇多川朱美は民江じゃないかという疑いはずっと持っていたし、伊佐間と話すときの朱美と教会での朱美の口調の違いに違和感を持っていたのに、朱美が二人いるとは思いもよらなかった。気持ちよく騙された。

  • 神道・仏教とか日本の民俗学的な知識が豊富な京極夏彦かと思っていたら、今回フロイトやキリスト教の話まで出てきて、
    この人どんだけ知識広いんだ!?と驚いた笑笑

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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