文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (984ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062649612

感想・レビュー・書評

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  • 「世の中にはね、不思議なことなど何ひとつないのだよ。そうだね関口君」

    京極堂シリーズの第3弾
    文庫版には、オリジナルであるノベルスに400枚以上の加筆・修正が施されているそうだ。
    著者はこれでもかというくらい贅沢に原稿を使っており、木場修、いさま屋、関口君ら事件に関わった面々が主人公の京極堂こと中禅寺秋彦のもとに集まって、物語が解決へと動き始めるのは600ページを過ぎたあたりからである(!)

    本作のテーマはズバリ「夢」
    夫を4度殺した女、朱美
    精神科医の降旗
    神を信じることができぬ牧師、白丘
    彼らは無意識下に何を抑圧しているのか?
    それぞれが夢と現実(うつつ)の狭間で怪事件に遭遇する。
    海に浮かぶ金色髑髏、二子山での集団自殺事件、何度殺して首を切っても朱美のもとへ戻ってくる復員服姿の男

    著者の精神医学、臨床心理学への造詣の深さがうかがえる作品でもある。
    京極堂は夢の解釈について、フロイトのように「性的な欲動に凡てを還元するのは無理」と云う。
    浅学ではあるが僕もそう思う。

    「死後の世界は生きている者にしかない」
    解説に出てくるが、これは本当に凄い言葉だ。
    こんなことを云えるのは京極堂、もとい京極夏彦しかいないだろう。

    このシリーズの舞台は昭和27年の東京だが、当時「蹴球(フットボール)」は「球を取り合う下品な遊び」であると考えられていたらしい(京極堂談)。

    「世界中の不幸と苦悩を纏めて背負ったような顔をして、そんなもの誰だって背負っているぞ!」
    「人は人を救えないとか嘯いているが、僕は泥鰌だって掬えるぞ」
    など、いつもの榎さん節も炸裂!

  • やっぱりね、京極さんの作品は好き。
    推理小説なのにホラーみたいなとこもあるし、
    歴史小説みたいなとこもあるし、、、、
    かなり頭使うけれど、読み応えあるわりに
    こんな分厚いのに一気に読めちゃう。
    そこが魅力なのよね~。


    まぁ、奇妙な夢から物語は始まるんだけど、
    主要登場人物の登場が250頁までなかったのよ~。
    それがちょっと「え?」って思ったんだけどね、、、

    でもさ~、こんな立川流なんていう宗教初めてきいたけど
    こういうのあって有なのよね。
    私はあまり交接ってのは好きじゃないんだけど
    仏教やキリスト教とかってそういうの神や仏の前で言うのって
    ふしだらって思われてるけど、
    今の自分たちがいるのって言うのは、
    そういうのがあって、それでこの世に命が芽生えるんだから
    そういうことって否定するのって可笑しいと思うのよね。
    だから、立川流っていうのは
    人間の本来の姿を正面から見ているからある意味で
    頷けるとこがあるけど。。。
    でもね、一日に何回も7年間毎日そういう修行する。ってどうよ。
    ま、信仰の自由だからいいんだけどね。。。

  • さすがにこの夢は現実のはずが…

    なめてました。密教なんてものがあるなんて。そして、フロイトの夢分析は勉強になった。
    死のう団事件なんて事件があったことも知らなかったので、勉強になった。

    そしてなんといっても…朱美さんが2人になったときは何がなんだか…となった。相貌失認なんてものがあるなんて…。

    榎木津さんのセリフはいちいちかっこいい!
    「さあ迷える牧師を羊の方が救いに来たぞ!」
    「どうしても人間に救われたくないと云うならこう考えてくれたっていいぞ!僕も神だ」
    「世界中の不幸と苦悩を纏めて背負ったような顔をして、そんなもの誰だって背負っているぞ! ちっとも偉くない。心の暗闇だか何だか知らないが、心に光度や照度があるか。明るい暗いで善し悪しが決まるのは、電灯くらいだ」
    かっこよすぎる!w

    後、朱美さんはいいなぁ。「お前なんか大っ嫌いだッ!」とか素晴らしい。

  • 前評判が芳しくなかったので期待していなかったが、そんなことはなかった。
    久しぶりに京極作品を読んで、やっぱり楽しいなと思ってしまった。世界観に中毒性がある。

    構造としては、シリーズの中でも単純でさらっとした印象だった。
    事件が起こり、その説明をずーっとして、最後の最後に京極堂が登場して一瞬で解決。今回は特に登場即解決で笑った。

    もちろん内容はさらっとしているなんてことはなくて、どろどろの怨念が渦巻いていた…。
    ちょっとオチが読めたかな。

    夜中、読書灯だけで読んでいると、とっても不気味で怖かったです。

  • 大勢の人が出てきて,誰が何者なのかというのが鍵になる話ですが,話を追うのが面倒になるぐらいややこしい.「読む」と決めてたから読めましたが,あまりの面倒さに挫折する人も多いと思いました.映像化の際には誰が誰なのかがばれないよう工夫が必要そうです.楽しめましたが,疲れました.

  • シリーズ三作目。
    精神分析にタントラ密教に民間伝承と好きな要素が満載。
    毎回作者の圧倒的な知識量に感服させられる。
    終盤は人間関係が複雑に入り組んで至極難解。
    立川流の五百年の大願が崩れ去る場面は作品を通して一番の名場面。
    きっと生涯忘れられないね。

  • 内容もさることながら、この分量は読み終えたときの達成感がはんぱない。圧巻の900ページ超。

  • 京極堂シリーズ第3弾。
    「この世に不思議なことなど何もない」という定義のもと、怪奇事件は白日のもとに曝される(いや暗黒か…)。わけだが、今回は今までにも増して複雑に各々人の思いが交差している。最後の方でやっと真実が解ってくるほどで、京極堂のようにはやはりいかない。そういえば、今回は京極堂、関口の登場が遅く、まだかまだかと心待ちにしていた。今じゃ関口がいないと読む気になれない。
    さて、猟奇的事件が起こった。他人の記憶。髑髏。死者の復活。首無し屍。これらがどう繋がるのか?あぁ頭がイカレそう…。
    人間の内側っていうのは大変入り組んだものだと再確認。他人様の頭ん中に迷宮があると想像したら、人だって十二分不思議な生き物だ。
    幻想的現実というかなんというか…。事件の真理への道程は届きそうで届かないティッシュ箱、という感じ。それはもう木場や関口らと同じ心持ちであった(はず!)。
    なんだか今もシックリきてない。
    ただ最後の朱美の台詞は笑った。

  • 長い。次の『鉄鼠の檻』の方がさらに長いけどw
    相変わらず京極のうんちく話が長くて話が進まないです。フロイトやユングについて少し詳しくなれた気はしますけど。

    自分の記憶と、そうじゃない他人の記憶が混じり精神を病んでいく女。奇妙な夢に悩まされる彼女は都合4回も同じ人(夫)を殺して首を切断してしまう。死者が復活するというなんとも奇妙な事件と、さらにいくつかの事件がその周辺で発生し、それはどれも髑髏に関わるものであった。さらに関係者が次々と告白する夢。髑髏が出てくる夢。各事件が徐々に解明されていくに連れてさらに謎が深まっていく・・・。この話が行き着くところはどこなんだろう?

    ひっかかるところはあるけど一応すっきりと完結しているのは良かったです。
    デニュー作があっれですから何でもありっちゃ何でもありですけど、今回は至って正統派でしたw

  • 直接的な表現はないのに、なんだかとてもグロテスクに感じた。

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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