智恵子飛ぶ (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062649650

感想・レビュー・書評

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  • 帰省中に持ってきた本を読み終えてしまったので、実家にあったこの一冊を勧められるがままになにげなく読み始めたのだけれど、まさかこんなに私にも縁のある話だとは思わなかったな。
    土地柄"智恵子抄"は幼い頃から知っていた。でも、そもそも智恵子がどういう女性で、夫の高村光太郎がどういう男性であったのかはまったく知らなかった。二人が、どういう夫婦であったのか。
    智恵子が「青鞜」創刊号の表紙絵を描いていたなんてびっくりだったし、生家の没落や夫への嫉妬や芸術への苦悩から精神を病んで、壮絶な晩年だったことも初めて知った。智恵子抄は、光太郎の創作の源泉であった智恵子を最後の最後まで彼がみつめつづけて生まれた鮮烈な詩歌だったんだね。
    この時代にして一般的な家庭を築き上げることを選ばずに、智恵子と光太郎はただ二人の世界で一心に芸術を追い求め続けた。唯一無二の男女。
    二人の間にたしかにあったものを、限りなく他者である私たちにほんの少しだけ垣間見せてくれるのが智恵子抄なんだろうな。それが時代を超えて読み継がれるって、ひょっとしてとんでもないことなのでは…?永遠の愛じゃんそんなの。
    私もだれかが書いてくれたつづき抄読んでみたい。

  • (「BOOK」データベースより)
    天才芸術家である高村光太郎の陰で、その秘められた才能を花咲かすことの出来なかった妻・智恵子。天真爛漫な少女時代、平塚らいてうらと親交を深める青春時代、光太郎との運命の出逢い、そして結婚、発病―。一心に生きた知恵子の愛と悲しみを余すことなく描いた、芸術選奨文部大臣賞受賞の傑作長編。

  • このふたりのことを知ったのは寺山修司「さかさま文学史黒髪篇」だった。
    だから高村光太郎にはいい印象を持っていなかった。
    また風貌から幼児的な父のイメージを持っていたらしい。
    だがこの本を読んで知ったのは、むしろ光太郎は父に負い目を感じ続けた息子であって、
    智恵子を抑圧したというよりは智恵子を芸術家の同志として迎え入れた。
    が、完全対等とはならなかったことに悲劇がある。
    制作意欲も、家庭内の位置も、性格も、弱者は強者の割りを食う。淫靡に権力関係が浸透してくる。
    男女として。夫婦として。実家の没落。父母きょうだいの心労。色覚障害?ゆえの芸術活動不首尾。もちろん更年期障害。性格。薬。
    狂気の原因はひとつに帰することはないと思うが、どうにも痛ましかった。

  • 光太郎と智恵子の物語を読む。
    千恵子が、頭がおかしくなったと
    言うことはしっていたが、どのような要因で、
    そうなったのかは、知らなかった。

    少なくとも、芸術家同士が、
    一緒に生活すると言うことは、やはり大変なこと
    だったんだということがわかった。
    ただ、それは、芸術家だから大変だということでない、
    もっと「直截な問題」が横たわっているんだと思う。

    私の生き方を考えると、
    やはり光太郎がひょっとしたら、
    原点かもしれないと思った。
    青年の時に、かなりインパクトのある影響
    を受けていることを知った。

    智恵子の生まれ落ちた背景、
    そして、酒屋としての隆盛、・・・
    長女として、一目置かれていた。
    平塚明子そして、らいてう  青踏社
    田村俊子
    そして一番大きな出会いとしての高村光太郎

    デッサンは上手だが、色がうまく表現できない。
    ふたりの関係は、やはり、光太郎の詩によって、深く理解される。

  • 2012.5.23(水)¥189。
    2012.8.1(水)。

  • 再読。佐藤春夫の『小説智恵子抄』は高村光太郎寄りの視点から描かれていて、センチメンタリズムが鼻につくのだが、こちらは、光太郎の望む様な女でいたい、との思いから壊れていく智恵子像。2人の力が拮抗していれば最も身近にライバルを置く事になるが、不均衡であれば力ある者は無意識のうちに力弱き者を圧してしまう。それが光太郎は最期までわからなかったんだ、と、これは私感。

  • とても吸い込まれる話だった。とてもよかったけど、終盤に近づくにつれ、とても辛かった。
    母に借りたが、出会えてよかった本である。
    扇子をおいていって、という場面が好き。
    吉本隆明の書く、高村光太郎を読んで見たい。

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著者プロフィール

昭和3年生 学習院女子短大卒 日本藝術院会員 作家
著書「玩具」(芥川賞)「智恵子飛ぶ」(芸術選奨文部大臣賞)ほか

「2019年 『季刊文科 79号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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