- Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062659246
感想・レビュー・書評
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20世紀を特徴づけた思想家の業績をとらえなおすシリーズの中の一巻。クーンはアメリカの科学史家で、著書「科学革命の構造」で科学におけるパラダイム概念を提出し、今世紀の科学思想に決定的な転回をはかった。
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地元の図書館で読む。再読です。ただし、どこで読んだのか記憶がない。著者は、東北大学の先生です。名前は知っていますが、それ以上のことは知りません。いい機会なので、読んでみたいと思います。現代思想の冒険者の1冊です。このシリーズは、僕にとって読みやすい本ではありません。何故ならば、知性が足りないからです。その中で、一番興味を持ったのは、川崎(1998)です。他の本は、読んだで終わりです。それに対して、この哲学者の本を数冊読みました。興味深い本でした。この学者の名前は知っていました。「経済学とはなんだろうか」を読んだからです。経済学の世界は、パラダイムシフトしたのでしょうか。あの本をもう一度読んでみたいですね。科学と非科学を分けるものは、何でしょう。正直、よくわかりませんでした。専門家の存在でしょうか。専門家の存在は、何を変えるのでしょう。やはり、原著を読むべきなのでしょうか。そんなことを考えます。多分、読まないでしょう。
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クーンの科学革命の構造をよんだあとであると非常に分かりやすい。
クーンの主張を論理主義や合理主義と比較し、その内容をより明確にしている。 -
著者は、クーンやハンソンの影響の下に形成されたいわゆる「新科学哲学」の、わが国における代表的な研究者の一人である。新科学哲学については精粗さまざまな紹介があるが、その中でも著者は、新科学哲学の認識論的側面について比較的緻密な議論を展開している。
クーンは1959年の講演「本質的緊張」の段階では、専門家集団の「合意」に基づいて科学の営みがおこなわれていると考えていた。そして、合意の内実を、科学者共同体のメンバーが一致して受け入れている諸要素、たとえば「力」「質量」「化合物」などといった基礎的な用語を数え上げることによって特定することを目論んでいた。
ところが、やがてクーンはそうした「合意」が存在していないことに気づく。科学者は、「力」や「化合物」などといった基礎的な用語の定義から彼らの仕事を始めるのではなく、典型的な問題の解放を学ぶことによって具体的な仕事に取り掛かる。このことを著者は、ウィトゲンシュタインの用語を借りて「生活形式の一致」が科学を支えていると説明している。クーンの「パラダイム」の内実は、「生活形式の一致」として理解できるのである。
クーン自身は、「パラダイム」とは「一定の期間、研究者の共同体にモデルとなる問題や解放を与える一般に認められた科学的業績」と定義している。だがクーンは、この「パラダイム」の変革を「世界観」の変革になぞらえて説明していた。ここに彼の「勇み足」があったことを著者は指摘する。こうした説明のために、多くの哲学者がクーンを相対主義者とみなして彼に対する批判を展開した。
だが著者によれば、こうした批判はクーンの真意を汲み取ったものではない。クーンが異なったパラダイムの間の「通訳不可能性」を主張するとき、彼はまったく相互理解が成り立たないという事態を考えていたのではない。彼はただ、パラダイム転換の前後では、相互の基礎的な用語を完全に対応させる翻訳が存在せず、二つのパラダイムの優劣を一意的に決定するような規準が存在しないということを意味していたのである。ただしこのことは、パラダイム転換にはまったく合理性が見られないということを意味しない。むしろ、両者を正確性・無矛盾性・広範囲性・単純性・多産性などの「価値」に基づいて検討することで、パラダイム転換に「柔らかな合理性」が実現されることが求められているのである。 -
「パラダイム」ってなに?という人におすすめ。