お面屋たまよし 彼岸ノ祭 (YA! ENTERTAINMENT)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 195
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062694704

作品紹介・あらすじ

妖面、なりたいすがたになれるというそのお面は、面作師の中でも、腕のいい者だけが、作れるのだという。妖面は、諸刃の剣。面をはずせなくなれば荒魂化し、人として生きていくことができなくなる。それでもなお、人々は、今日もお面屋を訪れる――。時代ファンタジー第2弾!

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ2作目。
    だいぶ間が空いてしまったので、前のストーリーをうんうん思い出しながら読みました。

    旅をしながら各地の祭りを巡り、お面を売り歩く2人の少年・太良と甘楽。
    この2人は玩具のお面だけを売るお面屋ではありません。
    なりたい人になれるお面・妖面を商う、裏の屋号を持ったお面屋なのです…

    普通ではない境遇で育ち、普通ではない仕事をこなす少年たちは年齢の割に大人びており、危機が迫っても冷静沈着、落ち着いて物事に向きあいます。
    …が、時折どこか諦めたような表情を見せるのが印象的なのです。
    それゆえ、彼らの喜びの感情が表情にあらわれるとき、どこかほっとしている自分がいました。
    ああ、こんな顔もできるんだ…よかった、と。

    なんだか2人の行く道を見守りたい気持ちになります。
    親心というか、姉心というか…。

  • 978-406-269470-4
    C8093¥950E(0)

    お面屋たまよし 彼岸ノ祭 
    (お面屋たまよしのシリーズ第2弾)
    著者:石川宏千花(いしかわ ひろちか)
    画:平沢下戸
    装丁:城所潤(きどころ じゅん)
    2013年5月9日 第1刷発行
    --------------
    カバー袖より
    お面屋は、面を売るのが商売。
    他人の人生に口出しするのは、お面屋のする事じゃない―。
    裏表紙より
    面作師見ならないの太良と甘楽は、山奥の村で四年に一度行われる、浮浪祭に誘いこまれる。しかし、そこには決して知ってはならない秘密があった—。自分以外の誰かになれる特別な面、妖面が紡ぎ出す奇妙な縁を描いた、時代ファンタジー第2弾!

    ----------------------
    目次
    ・青い空と白い蝶
    ・邪面の村
    ・眠れない夜
    ---------
    手にした理由
    1巻がおもしろかったので、このシリーズの続きを知りたくなって手にしました。

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    作品は3つ
    一つ目は、この前のシリーズを読んでいない人も楽しめるように太良と甘楽と妖面についてのイントロダクションを兼ねたお話。
    二つ目の邪面の村がメインの作品。 すっとこどっこいが芯のある人間になる。貧しい村の習わし、迅雷、穏様や竜胆に絡めてある。
    三つめは、太良と甘楽の日常 妖面の昔のことも一人語りの老女の口を使って紡がれる。

    持って生まれた性質と、一寸したきっかけで織りなす作品。楽しみました。

    つぎもあるのかな‥?

  • なりたい姿になれるお面、妖面。きっと使わないにこしたことはないんだろうな。
    「邪面の道」はちょっと怖かったけど、万吉が面を買わずになりたい自分になれそうでよかった。太良と甘楽、迅雷と穏さまも変わらずでほっこり。

  • 表と裏、2つの屋号を使い分け、面を売る旅を続ける太良と甘楽。そして2人が売る「妖面」に翻弄される人たち。ある種の覚悟を感じさせる2人の振る舞いに、切なさと頼もしさを感じてしまうのでした。

  • カルト村の話はなかなか怖かった。
    穏さん達の力を借りることにはなっても、自分達で村の未来を変えられそうになってよかった。

    最後のお話のひめさまは、幽霊だったということだったのかしら。

  • 今回も面白くてあっという間に読んだ。
    私は読みながら、不老祭りから逃げることしか考えていなかったけど、太良の「このままじゃ、いけないよ。人の生き血が必要な野菜なんて、育ててちゃだめだ。どうしても育てたいなら、人の生き血なんて必要ない土を作らないと」にハッとさせられた。
    穏さんが助けに来てくれて、よかったー。
    太良と甘楽の、双子ではないけれど双子のように信頼して結びつきあっているような関係性も心地よくて、心が温かくなる。

  • ほんと好き。

  • ・登場するキャラクタがけっこうみんな魅力的。
    ・現状に不満のある末蔵に付き合わされる新太。
    ・浮草のように暮らしている万吉の口車に乗って渦黒村の祭に向かう一行。迅雷再登場。村の秘密とは? 第二巻はほとんどこの話。
    ・「たまよし」の二人は、若い頃妖面をかぶったことがあるという品のいい老女と出会う。

    ▼たまよしに関する簡単なメモ(累積)

    【一太郎】新太の村で年貢に関する一切をを取り仕切っている人物の息子。理路整然としていて口も立つ。子どもたちのリーダー役だが末蔵はちょっとやっかみ。
    【イヌビエ】隠さまの側近で小天狗たちの教育係。ある意味怒るのが仕事とか。アニメ化するなら声優は大塚芳忠さんあたりがよさそう。
    【伊部のじいさま/いんべのじいさま】渦黒村の全てを取り仕切っているまとめ役。
    【渦黒村】万吉の生まれ故郷。鬱々とした死後の世界のような村と万吉は思った。
    【うとうと病】うとうとしている間に年月だけ経ってしまいその間の記憶がほとんどないまま老いて死んでしまう。琵琶法師が吉蔵たちに語った話。
    【お勝】回船問屋の娘。器量がよくなくまわりは案じているが当人はさほど気にしていない。好奇心が強く異国の本を読んだりするのが好き。妖面に興味を示したのも美人になりたいというよりは美人は世界をどう見ているのか知りたかったから。《自分はきっと、知らないことを知ることに惚れっぽいのだ》第一巻p.103
    【お菊】勘助の許嫁。領主の菅原のところに手伝いに行ったところを次男の半次郎に見初められた。実は今の生活がイヤで抜け出したいと思っていた。ぼんやりした底なし井戸のような女だと迅雷は思った。
    【お七】万吉の妹。身体が弱く七歳まで生きられないだろうとついた名前がお七。生まれ故郷の渦黒村(うずくろむら)に(生きていれば)残っている。
    【お初】吉蔵と仲良くなりたがっている少女。
    【お葉】吉蔵の妹。
    【御招山/おまねきやま】天狗がいる。
    【お面屋】表の屋号のときは祭が書き入れ時でほぼ香具師の感じ。
    【面作師/おもてつくりし】《人間の世界と山の世界の境界をいく者たち》第一巻p.15
    【隠さま/おんさま】御招山の天狗のリーダー。天狗を人間の姿に変える神通力を持つ。アニメにするなら声優は森川智之さんで決まり。
    【勘助】途方に暮れていた迅雷の面倒を見てくれたお人好しの男。お菊の婚約者。
    【甘楽/かんら】「お面屋たまよし」の一人。幼い頃御招山に捨てられていたところを隠さまに育てられた。年齢的にはもうじき14歳で「若衆のなりかけ」くらい。長くない髪を無理やりひとつにくくっていて、顔のパーツが大作りで派手な印象。ちょっと短期なタイプ。ときどき太良に逆らいたい。
    【吉蔵】大名の家臣の息子だったが父が戦で大きなしくじりをしたとかで打ち首になり没落。人々のほどこしにすがって生きている。
    【呉葉】吉蔵の母。
    【佐吉】吉蔵の弟。
    【新太】農民の子ども。もうじき十三歳。みばえがいいようでちょっとモテモテ。望洋とした性格でその気になればけっこう大人物になれるんじゃないかと思う。《面が好きなんじゃなくて、目にしっかり入ってくるものが好きなだけ》第二巻p.24。
    【迅雷】小天狗。太良、甘楽を見張るよう隠さまに命じられているが二人が赤ん坊だった頃から知っているとはいうもののコミュニケーションはなかった。天狗は寿命が長いので二人より年上だが人に変化したときの見た目は十歳くらいの少年。人の姿をしたときは人と同じ能力しか持てずとても不便。好物は金平糖や南蛮菓子のボーロ。アニメにするなら声優は釘宮理恵さんかな?
    【末蔵】新太に兄貴分風を吹かせているわりと身勝手なヤツ。自分の境遇に不満がある。孤立しやすいタイプ。もうすぐ十五歳。
    【染助/そめすけ】万吉の幼馴染み。成長するにしたがって陰気になっていった。
    【太良/たいら】「お面屋たまよし」の一人。幼い頃御招山に捨てられていたところを隠さまに育てられた。年齢的にはもうじき14歳で「若衆のなりかけ」くらい。洗いざらしの髪を耳が隠れるか隠れないかくらいの長さにしている。飄々として落ち着いているタイプでどちらかといえば兄の役割。眠りが深い。
    【仁王次/におうじ】面作師(おもてつくりし)。隠さまの昔馴染み。太良、甘楽を育てた。表の名前が「たまよし」。今年三十九歳。アニメ化するなら声優は・・・軽いところも重いところもある大塚明夫さんあたりかな?
    【ひめさま】町民の老女。名前がわからないので「たまよし」の二人はそう呼んでいる。ひめさまかどうかもわからないがそうとしか言いようのない人物。
    【兵太郎】お勝の父親と同じ通りに店を構えている反物屋の息子。その取り巻き連中がお勝のことを「ごつごつさん」とか呼んでからかうがお勝が相手にしないのを見て面白がっている。お勝の一歳年上。
    【魔縁堂】「たまよし」の裏の屋号。妖面を売り買いするときに名乗る。
    【魔縁丸】妖面を作るのと同じ鉄を使って作られた小刀。妖面をつけた人間が荒魂化したら鳴く。
    【万吉】盗みをしようとしたところを太良に止められた。二十歳。
    【妖面】お面屋が裏の屋号で売っている、なりたい姿に変化できる面。特定の誰かになることはできない。荒魂化して人外になってしまうリスクもつきまとう。その場合、売った者が鎮めこの世から消滅させる。
    【竜胆】迅雷の兄。大天狗の若頭。

  • シリーズ2作目。
    人の業、在り方を考えさせられる本。
    彼らの周りを囲む個性溢れるキャラクターも魅力的に描写されていた。
    これから、辛いことも嬉しいことも続くであろう、彼らの長い旅路に幸多からんことを願う終わりかただった。

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著者プロフィール

『ユリエルとグレン』で第48回講談社児童文学新人賞佳作、日本児童文学者協会新人賞受賞。おもな作品に「お面屋たまよし」シリーズ、「死神うどんカフェ1号店」シリーズ、『メイド イン 十四歳』(以上、講談社)『墓守りのレオ』(小学館)など。「少年Nの長い長い旅」(YA! ENTERTAINMENT)と「少年Nのいない世界」(講談社タイガ)両シリーズを同時刊行して話題となった。『拝啓 パンクスノットデッドさま』(くもん出版)で日本児童文学者協会賞を受賞。

「2023年 『化け之島初恋さがし三つ巴 2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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