- Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062694797
作品紹介・あらすじ
兄弟みたいだ、と昔からよくいわれた。
おれが兄でマキが弟。年は同じだし、顔が似ているというわけでもないけど、身長差や言葉づかいでそういうふうに見えるらしい。
実際、マキとは幼稚園からのつきあいで、家が近いから年中おたがいの家にあそびにいったりしていた。学校に通うようになってからは、なぜか今年まで八年連続いっしょのクラスで、そのうえ中学では部活まで同じバスケ部。下手をすれば普通の兄弟よりも、いっしょにすごしてきた時間は長いかもしれない。
兄弟あつかいされるのをマキは気にいっているみたいで、たまにふざけておれを兄呼ばわりしてくる。おれのほうも、同い年にしては子どもっぽくてマイペースなマキのことを、世話の焼ける弟のように思っていた。
ずっと、そう思っていたはずだった。 ──本文より
ガクとマキは兄弟のように育った幼なじみで中学の同級生。
部活も一緒のバスケ部という仲良しコンビ。
だが、二学期初日、教室にマキの姿はなく、心配したガクが放課後にマキの家に様子を見に行ってみると、なんとマキが女子になっていた!しかもガクとマキ以外誰もマキが男だったことを覚えていない。
マキがとつぜん女子になってしまった理由は、実はご近所の祠の恋の神さまのある思惑が関わっていて……?
感想・レビュー・書評
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2017/3/3読了
なんともモヤモヤが残ってしまった結末だった、、、、。
はじめに、児童・子供向け小説はファンタジーだ。
それを大前提にしても、もやもやするのは何故だろう。
ただ、「恋心」同性に対してのそれのもどかしさ、ある意味夢が叶ってしまったことに対しての戸惑いと罪悪感、マキの上手な嘘で読者も振り回されてしまう事なんか、見事なものだと思う。
シンデレラウミウシの存在は良いものの、地元出身の作家がキーマンになるのかといえばそうでもなく、神谷が狂言回し(トリックスター)なのだが、ちゃらんぽらんすぎてどうにも物語にそぐわないような気がしてならない。
おそらく作家はもっと入り込んでくる感じだったのが、男→女になるファンタジカルを演出するためなのかどうかは定かではないが持て余している印象を抱いた。
幼馴染を元に戻そうと奮闘するガクが強すぎて、にじんでしまったようにも見える。
ともあれ、青春+ファンタジーとしての心情や、二人だけにフォーカスを当てたら面白かっただろうが、神らしくない神様の存在が全体的に濁している、、、。
揺れ動く心はとても見事でした。 -
めっちゃよかった~^O^
幼馴染の男の子を好きな男の子(いいね!)
好きって言えないことに悶々としている
ある日マキトくんがマキになっている
自分とマキだけしか男だったときの記憶がない
(それなりに)苦しむマキ
それみてつらいけど「これで好きっていえちゃうじゃん」と喜ぶ気持ちもなくもなく・・
って話
主人公の男の子の葛藤がとてもいい
わたしとしては「もう男の子でもいいじゃん!すきっていいなよ!」って思っちゃうけど
女の子になって、よろこんじゃいけないんだけど、元に戻ってほしいんだけどでも・・
・・という^^
このままいってほしい!
と思いました。
性別じゃないって!
男の子だから女の子だからとかじゃなくって、その子だからすきなんでしょ^^
と思うのは外野だからいえるんだよね~
読み終わっておもしろかったな~~とニヤニヤしてたら
この作者は前に読んだ「サナギの見る夢」の作者だった!
覚えてないけどやたらすきだった気がする
他のも読もう!(きっと面白いにちがいない!!)
という作者に出会えてしあわせです -
YAカテゴリの青春小説。恋愛小説かな?
中高生向けと銘打たれたもの、中高生に読んでほしいと置かれた古典、そういうものに案外あるのが『同性へのほのかな恋心』を扱った小説。
この本もそうで、思いっきりネタバレてしまいますが同性の幼馴染に恋をしてしまった男の子のお話です。同性が故に気持ちを押し殺して一緒に育ってきた主人公。女の子だったら気持ちが伝えられたのに…そしてとつぜん幼馴染が女の子になってしまう。
実はここまでだったらけっこういろんな小説や漫画によくある展開。ウワァ女の子になっちゃったよ、どうしようドキドキ!そしてラッキースケベ!ラブコメディ!
しかしこの本はそんなありがちな性的なあれこれはほぼない。あるのは淡いときめきと戸惑いと罪悪感なのです。
主人公の態度は一貫していて、幼馴染のことがとても好きで大事だというそれだけ。同性でも異性でも恋心にはかわりがなく、女の子だったらよかったのにと思ってしまうのは「伝えて関係性が崩れるのが怖い、嫌われるのが怖い」という理由だけなのです。
キレイで生々しさがなくリアリティに欠けると思われる方もいるかもしれません。
ですが、読みやすい平易な文章と過剰でない描写の美しさが、過不足なく繊細な心理を伝えてくる良作だと思います。 -
きょう読みはじめてきょう読了。如月さんは4冊目かしら。
ウミウシきた!…という非常に個人的なハイテンションさは置いといて。登場人物の位置関係のつくりがおもしろいなと思う。ラストを単純な「ハッピー」エンドにせず、かつオープンにしているところも。でもマキのけなげさがちょっと気になった。
さいごの挿絵に、なんかやられた! -
中学生くらいだと、同性に親しみや憧れを持つあまり恋心に近い感情を抱くことはよくあることだと思う。自分にも覚えがある。しかし、主人公のガクは弟のような存在の幼なじみマキ=真希人に「好きな気持ちを告白したい」「マキが女だったら」と願うのである。
叶わないはずのその願いがかなってしまい、真希人は真希という女子になってしまう。しかし、だからといってガクの苦悩は消えない。なぜなら、マキには男の時の記憶が残っているからだ。
好きという感情が以前よりも性差によらず受け入れられるようになってきているが、この物語は、恋の本当に苦しいところを描くには幼く、不思議さを楽しむには浅く、少し物足りない気がした。
個人的にはガクが図書館の模範的利用を行っていることが興味深かった。 -
ほんとうにこんな祠があったら行きたいー
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放浪息子のような話を期待すると肩すかし。ガク君の今後がなんだか心配になってしまう。