死神うどんカフェ1号店 三杯目 (YA! ENTERTAINMENT)
- 講談社 (2014年11月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062694902
作品紹介・あらすじ
あの、栄くんが?
三田くんと自分が、命を危険にさらしてまで助けたあの男の子――北村栄くんが、何度となく自殺未遂をくり返している――?
自分の目で確かめてみたいという亜吉良とともに、希子は北村栄の住む町へ向かう。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
ちょっと物足りないけれど、幼いながらに傷ついていた栄くんが、あきらと話すことで、生きる希望を少し持てたことはよかったのかな。あと、須磨さんの話も、ちょっといきなりな感じはあったけど、困った時は助けてくれる良い大人がいることを知っておくことって話は、ほんと、そうだよね。困った状況にある子ども、若者には知っていてほしいって思う。
-
目黒先輩が困ってしまったという話の部分、妙にリアルでハッとさせられます。
須磨さんがいて、本当によかった。
この本を読んだ子達の周りにも、そういった大人が居てくれますように。 -
ほんのり心があたたまる。須磨さんみたいな大人になりたいものだ
-
少しずつ、でもたしかに、動き出す時計の針。
この世は喜びと感動に満ちている、できればそれらを感じる心を大切にしていたい。
キャラクターの個性がきらりと光る、三杯目も満点の食べ応えです。 -
希子の青いサマードレスが素敵。
今回は希子と亜吉良が助けた男の子、栄くんとのお話。死について考えてしまう時期って意外とみんなあるのかな。人はいつか死ぬ、ならどうして今生きているんだろう?正解はわからないんだろうな。
みんなの距離が縮まっていて読んでてほっこりする。風雅もなかなかいいキャラだった。目黒先輩と須磨さんも素敵〜。そして安定の月太郎…かわいい…! -
・死神の新キャラ、風雅くん登場。
・希子と亜吉良が助けた少年、栄くんが自殺未遂を繰り返していると聞いた二人は・・・
・今さらではあるが、主要登場人物の会話や行動がけっこう自然な感じする。意味ない会話が多いとこもいいかな。
・目黒先輩の今悩んでることは。
・みんなで海へ。
・表紙カバーはなんだかドレスアップしてる希子さん。作中でも着る。
▼死神うどんカフェについての簡単なメモ
【亜吉良/あきら】溺れそうになっていた希子を助け自分は意識不明の重体に。のはずだったが「死神うどんカフェ1号店」で働いているところに出くわした希子。中学生のときの同級生だが事故まで特に交流といえるものはなかったもよう。
【荒川】目黒先輩は「みつるちゃん」と呼んでいる学校での唯一の友人。あんまりいい感じの人物ではないが。
【一淋/いちりん】現役の死神にしてうどんカフェの店員。元気が取り柄、死神なのに。
【大和田】死神うどんカフェの常連さん。ものすごく庭の広い和洋折衷の豪邸を所有している。
【かまたま】死神うどんカフェ唯一の料理メニュー。希子にとってお守りのようなもの。誰かの一面だけを見て相手の全てを否定しかけたりしたらその人がかまたまを食べる姿を思い浮かべるつもり。それによって違った側面を見ようとすることができるような気がする。
【希子/きこ】主人公。高校1年生。もともと世話焼きタイプだが事故以来意識不明になっている亜吉良の状態は自分のせいだと思い内にこもるようになり高校では友だちをつくらないことに決めた。このシリーズは彼女の自己回復の物語なのだろう。
【希子の父】事件およひ亜吉良に関することで希子は父親の醜い部分を知り失望して心を許せなくなった。
【救急隊の逆バージョン的な組織】死亡予定のない者が死ぬときにも死神ダンスは見せなくてはならず人間界の救急隊の逆バージョン的な組織がそれに対応する。本当に直前にならないとわからないので常にバタバタしている。
【北村栄】→栄
【九嵐/くらん】死神を退職してうどん屋になった。なんとなくで運営していたが希子のアドバイスにしたがい店長となった。死神ダンスの名手で若い死神はだいたい彼のファンで復職を願っている。死神の仕事を邪魔している気もする。
【栄】川で溺れそうになっていたところを希子がなんとか岸に押し上げて救うことができた小学生(当時四年生で今は六年生と思われる)。元来理知的なところがあったが事故以来老成した感じになっている? 理由はわからないが自殺未遂を繰り返しているらしい。
【事故】はっきりと描写されてはいないがおそらく希子が中学二年生のとき、川で溺れかけていた子どもを救おうとするが自分も溺れかけクラスメートだった亜吉良がそれを救おうとし意識不明の重体となったというような経緯らしい。希子と亜吉良は同時に子どもを救おうとしていたのかもしれない。ちなみに希子と亜吉良にはほとんど交流はなかったもよう。
【しにう荘】死神うどんカフェの寮。古い住居を改築した。死神の「しに」とうどんの「う」でしにう荘。店員たちは広いリビングにたむろしていることが多い。
【死神うどんカフェ1号店】九嵐が仕事で行ったと土地で食べたうどんに魅せられ死神を退職し開いた店。かまたまうどんとカフェオレしかメニューにない。いずれはいくつも店を出せたらいいなといことでとりあえず1号店。偶然入った希子がその経営の甘さに呆れアドバイスしたりして少しずつ軌道に乗りつつある。九嵐を死神に戻そうとしている一淋や深海がいつの間にか取り込まれ、半死人である亜吉良も九嵐から「肉貸し」されて店員として働いている。希子は居心地のいいここで回復のとっかかりをつかめるか。もちろん自分のせいで半死人になっている亜吉良が気になるということはあるだろうが。
【死神のダンス】人間が最後まで見てしまうと死を免れるのは難しいらしい。亜吉良は見てしまったらしい。九嵐は死神のダンスの名手。
【死神の名前】人間モードになるときは自動的に名字も浮かんでくるがあまり呼ばれなれていないのでファーストネームで呼ばれる方がピンとくるらしい。
【谷風雅】→風雅
【月太朗】ペンギン。よくしゃべる。元は人間、雰囲気的には子どもだったらしい。
【中井須磨】死神うどんカフェの常連さん。カフェオレを飲んでいく。69歳の女性で白髪ショートで黒い服。性別年齢ともに判別しにくい。二巻目の表紙に出ている新キャラの一人だろう。幻想小説作家として高い評価を受けている。
【肉貸し】魂に肉体を貸して実体とする技。うどんカフェメンバーでは星海九嵐しかできない。
【花園深海】→深海(ふかみ)
【林田希子/はやしだ・きこ】→希子
【半死人】死んでるとも生きてるとも言えない状態の人。
【風雅】一淋や深海の後輩死神。死神界に戻らなくてはならなくなった一淋に頼まれうどんカフェでバイトすることになった。丸メガネで方向音痴。死神ダンスが下手で事務仕事をしていたがようやく《きれいに死んでもらえる》ダンスを踊れるようになったので通常業務ができるようになった。だだっ広いところが好きなもよう。
【深海/ふかみ】現役の死神にしてうどんカフェの店員。おしゃれっぽくて服飾関係の専門学校の学生のようなタイプ。つり目でキツそうな見た目に反して物腰は優しく丁寧。
【福富一淋/ふくとみ・いちりん】→一淋
【星海九嵐/ほしみ・くらん】→九嵐
【みーた】一淋だけは亜吉良のことを「みーた」と呼んでいる。
【三田亜吉良/みた・あきら】→亜吉良
【目黒志津香/めぐろ・しづか】希子と同じ高校の上級生。通称メグシー。夏休みモードでは金髪ロングでインパクト抜群のファッション。二巻目の表紙に出ている人物だろう。母親が世界的なファッションブランドのデザイナー。マイペースだが意外と人をよく見ている。かつてはいじめられて引きこもり状態になったらしいがファッション系のブログを始め海外のブロガーに取り上げられたこともあり今や原宿では有名人。
【門限】希子の門限は夜七時。目黒先輩の門限は・・・意外に早かったように記憶している。 -
中学校図書館にて
-
今回登場する栄くんは、「死ぬ」ということへの恐怖のあまり、自殺未遂を繰り返してしまう男の子。
思い返せば私も小学生の頃、死ぬことってものすごく怖いことだと思ってた。
何があるわけでもないのに、「親や祖父母や兄弟、自分が死んでしまったら…」と考えてしまって、夜中に一人で泣くこともあった。
だから、今回の巻での三田くんの言葉は、ほっとさせられた。「今は死ぬことが怖くても大丈夫。そのうち平気になるよ」
今も怖いけど、子どもの頃ほどじゃなくなったのは確か。
自分の子どもも同じことを考えて、夜眠れなくなったりしてしまうかもしれない。
その時は、大丈夫、と言ってあげよう。