死神うどんカフェ1号店 五杯目 (YA! ENTERTAINMENT)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062694957

作品紹介・あらすじ

2年前の夏の事故で心を閉ざしていらい、死にながら生きていた日々が、《死神うどんカフェ1号店》での亜吉良との出会いをきっかけに、終わった。
学校でも、はじめていっしょに過ごす友だちができ、少しずつ、自分へのいましめであった孤独から抜けだしていく。
そんなある日、《死神うどんカフェ1号店》の定休日に客が訪れる。それはなんと、須磨さんが50年前に失ったと思っていた初恋の人だった。いったい、ふたりの関係とは?
学校では、目黒先輩にパーティーに招待される。ドレスコードは、仮装ペア。どきまぎしつつも希子は亜吉良と九嵐を誘うことにして……。
せつない時間も、楽しい時間も、あっという間に過ぎさり、希子は逃れようのない死と向かいあうこととなる。
生と死に翻弄されるシリーズ第5弾!

感想・レビュー・書評

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  • 前回の続きだった。
    主人公が尊敬している年上の女性 須磨さんが半世紀前に出会った死神と再会したり、月太郎の最後の輝きが出たりなど、物語が急展開した。
    これからどのような展開になっていくのか、楽しみだ。

  • 僕は、希子とは違って将来やりたいことはあるけど、その道筋が全くわかんなくて、今の状況から考えるとそんなの出来るわけないって感じ。でもどうしても叶えたいなって思ってる。なんでも挑戦しようって姿勢で生きてるつもりだけど、思うように身体は動かなくて…。希子のように肩の力を抜いて生きるようになりたい。急がば回れのように、落ち着いて行動すれば見えてくるものもあるはずだから。

  • ときどきハッとなるような言い回しがでてきます。
    三田くんのご両親の話は、ぐっときました。
    6杯目にむけて徐々に物語が盛り上がっていっている印象をうけました。続きがきになります。

  • アキラくんの扮装のイラストは、やっぱりスウェットにしか見えない…

  • 目黒先輩のコーディネートで臨んだパーティーも無事終わり、お互いの新たな一面を知る希子。そして亜吉良は一歩前に進むため、希子にある相談を持ちかけます。亜吉良の選択に、涙腺が自然と緩む五杯目。

  • 五杯目。かまたまとカフェオレ私も頼みたい。
    希子の周りにいろんな人が増えてきたなぁとうれしい気持ち。亜吉良の将来、どんな風になるんだろう。
    表紙の希子と亜吉良、目黒先輩と九嵐の衣装も素敵。

  • ・須磨さんが海外の文学賞を受賞、みんなでお祝いするときに現れたのは五十年前に須磨さんと知り合った死神だという。
    ・今回の表紙カバーは妙な着飾りかたの面々と思ったらどうやら目黒先輩の母上の会社のパーティー用の衣装らしい。
    ・亜吉良が自分の両親を店に連れてきて欲しいと希子に頼む。
    ・このシリーズ、題名は軽いけど、けっこうせつない話やなあとは思う。

    ▼死神うどんカフェについての簡単なメモ(一巻目からの累積)

    【亜吉良/あきら】溺れそうになっていた希子を助け自分は意識不明の重体に。のはずだったが「死神うどんカフェ1号店」で働いているところに出くわした希子。中学生のときの同級生だが事故まで特に交流といえるものはなかったもよう。タイヤキは頭から食べるタイプ。
    【荒川】目黒先輩は「みつるちゃん」と呼んでいる学校での唯一の友人。あんまりいい感じの人物ではないが。
    【一淋/いちりん】現役の死神にしてうどんカフェの店員。元気が取り柄、死神なのに。
    【今】どんなことにも終わりは来る。《いまいるこの場所が、過去になってしまうその前に。》第四巻p.228。
    【大和田】死神うどんカフェの常連さん。ものすごく庭の広い和洋折衷の豪邸を所有している。流しそうめんやったときの竹を提供してくれた。
    【おとな】《おとなになるということは、いい意味でも悪い意味でも、揺るぎなくなるということなのだと、最近、思うようになった。》第四巻p.171。
    【かまたま】死神うどんカフェ唯一の料理メニュー。希子にとってお守りのようなもの。誰かの一面だけを見て相手の全てを否定しかけたりしたらその人がかまたまを食べる姿を思い浮かべるつもり。それによって違った側面を見ようとすることができるような気がする。
    【かまたまうどん】うどんに黄身を乗せて醤油をかけてかき混ぜただけなのになぜか美味しい。「死神うどんカフェ」のたったふたつのメニューのひとつ。
    【希子/きこ】主人公。高校1年生。もともと世話焼きタイプだが事故以来意識不明になっている亜吉良の状態は自分のせいだと思い内にこもるようになり高校では友だちをつくらないことに決めた。このシリーズは彼女の自己回復の物語なのだろう。中学校での知人たちがほとんど行かない高校を選んだのだが国公立大学への進学率も高く優等生タイプの生徒が多い。タイヤキはしっぽから食べるタイプ。
    【希子のしたいこと】だったら、いまはただ、《死神うどんカフェ1号店》で過ごす時間を大切にすればいいだけなんじゃないのかな――。(第五巻p.203)
    【希子の父】事件およひ亜吉良に関することで希子は父親の醜い部分を知り失望して心を許せなくなった。
    【救急隊の逆バージョン的な組織】死亡予定のない者が死ぬときにも死神ダンスは見せなくてはならず人間界の救急隊の逆バージョン的な組織がそれに対応する。本当に直前にならないとわからないので常にバタバタしている。
    【北村栄】→栄
    【決める】《いまじゃないから、決められないだけ》第四巻p.118。なるほど、決めるべきときが来たら決められるんではないかと?
    【霧生遊歩/きりゅう・ゆうほ】死神。須磨さんが五十年前に知り合っていたらしい。大勢に対応できる死神のダンスを踊れるらしい。死神界では大物なのだとか。
    【九嵐/くらん】死神を退職してうどん屋になった。なんとなくで運営していたが希子のアドバイスにしたがい店長となった。死神ダンスの名手で若い死神はだいたい彼のファンで復職を願っている。死神の仕事を邪魔している気もする。ごく普通のルックスなのだが見つめているとこの上なく魅力的に感じられてくる。一度死にかけた人間は死神に魅入られやすいらしい。
    【栄】川で溺れそうになっていたところを希子がなんとか岸に押し上げて救うことができた小学生(当時四年生で今は六年生と思われる)。元来理知的なところがあったが事故以来老成した感じになっている? 理由はわからないが自殺未遂を繰り返しているらしい。
    【さくらい堂】タイヤキ屋。美味しい。タイヤキは亜吉良の好物のようだ。
    【佐多朋史/さた・ともふみ】一年二組で希子のクラスメートだが希子はまったく覚えてなかった。どうやら目黒先輩のファンのようだ。恋愛感情も抱いているようだ。人の考えることを先回りして想像してしまい卑屈になる被害妄想タイプ。メンドクサって感じだけど持ち前の軽さとグイグイ押し込んでくる強引さがそれをカバーしている独特の対人スキル。ファッションのことしか考えられず海外留学し共感できるメゾンのスタッフになりできればデザイナーになりたい。
    【事故】はっきりと描写されてはいないがおそらく希子が中学二年生のとき、川で溺れかけていた子どもを救おうとするが自分も溺れかけクラスメートだった亜吉良がそれを救おうとし意識不明の重体となったというような経緯らしい。希子と亜吉良は同時に子どもを救おうとしていたのかもしれない。ちなみに希子と亜吉良にはほとんど交流はなかったもよう。
    【しにう荘】死神うどんカフェの寮。古い木造アパートを改築し一階の半分を三部屋ぶち抜きで共有スペースとし二階が各自の部屋になっている。死神の「しに」とうどんの「う」でしにう荘。店員たちは広いリビングにたむろしていることが多い。
    【死神うどんカフェ1号店】かまたまうどんとカフェオレしかメニューにない。古い木造平屋建ての壁を取っ払ってリノベーションしておりとても広い。九嵐が仕事で行ったと土地で食べたうどんに魅せられ死神を退職し開いた店。いずれはいくつも店を出せたらいいなといことでとりあえず1号店。偶然入った希子がその経営の甘さに呆れアドバイスしたりして少しずつ軌道に乗りつつある。九嵐を死神に戻そうとしている一淋や深海がいつの間にか取り込まれ、半死人である亜吉良も九嵐から「肉貸し」されて店員として働いている。希子は居心地のいいここで回復のとっかかりをつかめるか。もちろん自分のせいで半死人になっている亜吉良が気になるということはあるだろうが。
    【死神のダンス】人間が最後まで見てしまうと死を免れるのは難しいらしい。亜吉良は見てしまったらしい。九嵐は死神のダンスの名手。
    【死神の名前】人間モードになるときは自動的に名字も浮かんでくるがあまり呼ばれなれていないのでファーストネームで呼ばれる方がピンとくるらしい。ファーストネームは死神のダンスの特徴をあらわしているらしい。
    【自分だけの王国】《自分にもいつか、自分だけの王国になるときが来るのだとして、その眺めを形づくるのに欠かせないのは、〈いま〉になるにちがいない。》第五巻p.67
    【須磨さん】死神うどんカフェの常連さん。カフェオレを飲んでいく。69歳の女性で白髪ショートで黒い服。性別年齢ともに判別しにくい。二巻目の表紙に出ている新キャラの一人だろう。難解な幻想小説作家として高い評価を受けている。ペンギンが好き。洞爺丸事故かもしれない事故の生存者のようだ。台風の記述はないが。
    【谷風雅】→風雅
    【月太朗】ペンギン。よくしゃべる。元は人間、雰囲気的には子どもだったらしい。個人的にはなぜか「ペン太郎」と呼んでいる。《希子はよく笑うようになった。笑うと希子はかわいい》第五巻p.126。
    【中井須磨】→須磨
    【ナッツボン】落花生の形のお菓子。九嵐の好物。
    【肉貸し】魂に肉体を貸して実体とする技。うどんカフェメンバーでは星海九嵐しかできない。
    【花園深海】→深海(ふかみ)
    【林田希子/はやしだ・きこ】→希子
    【半死人】死んでるとも生きてるとも言えない状態の人。
    【風雅】一淋や深海の後輩死神。死神界に戻らなくてはならなくなった一淋に頼まれうどんカフェでバイトすることになった。丸メガネで方向音痴。死神ダンスが下手で事務仕事をしていたがようやく《きれいに死んでもらえる》ダンスを踊れるようになったので通常業務ができるようになった。だだっ広いところが好きなもよう。
    【深海/ふかみ】現役の死神にしてうどんカフェの店員。おしゃれっぽくて服飾関係の専門学校の学生のようなタイプ。つり目でキツそうな見た目に反して物腰は優しく丁寧。
    【福富一淋/ふくとみ・いちりん】→一淋
    【星海九嵐/ほしみ・くらん】→九嵐
    【マス子】佐多の幼馴染み。本名増田絵摩。一組の女生徒。ゆっくりで気だるげな話し方をする。国産の旧車限定の車オタク。ハコスカを自分の手で洗車してバンドルに頬擦りしたい。希子を「きーちゃん」と呼ぶ。三十代半ばに見えるおばさんの「りっちゃん」がやってるオープンしたばかりの和風カフェでアルバイトしている。将来自動車大学校に行き車のプロ、八十年代の国産車専門にメンテナンスするアトリエを持ちたい。
    【みーた】一淋だけは亜吉良のことを「みーた」と呼んでいる。
    【三田亜吉良/みた・あきら】→亜吉良
    【目黒志津香/めぐろ・しづか】希子と同じ高校の上級生。通称メグシー。夏休みモードでは金髪ロングでインパクト抜群のファッション。二巻目の表紙に出ている人物だろう。母親が世界的なファッションブランドのデザイナー。マイペースだが意外と人をよく見ている。かつてはいじめられて引きこもり状態になったらしいがファッション系のブログを始め海外のブロガーに取り上げられたこともあり今や原宿では有名人。四巻目にして初めてノーマルバージョンのメグシー先輩を見る。
    【門限】希子の門限は夜七時。目黒先輩の門限は・・・意外に早かったように記憶している。

  • 少しずつ、うどんカフェ以外の場所へ出ていこうとするあきらくん。半死人として生き続けるか、植物状態の本体に戻るのかの決断を迫られているけれど、それを決めるために、色んなことをやってみようとする行動力!偉いなぁ。
    希子ちゃんがそれを見て、自分も将来のために何をすればいいかを、見つけていこうとしているのが、微笑ましい。

  • 九嵐はもちろん、ついつい人を助けてしまう死神たちがかわいい。

  • 死神たちのやっているカフェがいまのところ、一番いごこちのいい希子。それでも、少しずつかかわれる範囲を増やしてきたが、今度はパーティーに参加することになって……。えーものすごくいいわー……。このシリーズの静かなもりあがりがとても好きです。なんでもっと評判にならんのだ……。表紙の衣装でパーティー参加ですよ!もりあがりますよ!あきらくん関連も進んで、さてさてこれからどうなるのか。楽しみです。

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著者プロフィール

『ユリエルとグレン』で第48回講談社児童文学新人賞佳作、日本児童文学者協会新人賞受賞。おもな作品に「お面屋たまよし」シリーズ、「死神うどんカフェ1号店」シリーズ、『メイド イン 十四歳』(以上、講談社)『墓守りのレオ』(小学館)など。「少年Nの長い長い旅」(YA! ENTERTAINMENT)と「少年Nのいない世界」(講談社タイガ)両シリーズを同時刊行して話題となった。『拝啓 パンクスノットデッドさま』(くもん出版)で日本児童文学者協会賞を受賞。

「2023年 『化け之島初恋さがし三つ巴 2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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