YA! アンソロジー ひとりぼっちの教室 (YA! ENTERTAINMENT)
- 講談社 (2017年12月14日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062695152
作品紹介・あらすじ
「もし、今日、わたしが、死んだら、明日、泣いてくれる人間は、このクラスに何人いるんだろう? 一人もいないかもね。」(小林深雪『友達なんていない!』本文より)
YA!アンソロジー第7弾。
「いじめ」をテーマに、加害者、被害者、傍観者の立場だけに終わらない、リアルな学園ドラマを届けます。
・小林深雪『友達なんていない』
YA!アンソロジー『秘密』『約束』『14歳』に登場した区立四葉中学校の秋元穂花が主人公。いじめっ子の穂花が、今度は、クラスで仲間はずれになってしまう。かわいくて人気者で自信があり、今までは、なんでも自分の思い通りにしてきた穂花。しかし、だんだん見た目のかわいさだけでは、人の心を動かせなくなっていることに気がついていく。そんなとき、声をかけてくれたのは、自分がいじめてきた久保田千湖だった。
・戸森しるこ『これは加部慎太郎に送る手紙』
顔にあるアザのせいで、深刻ないじめにあっている月森直。いじめることをやめられない遊佐資。正義感の強い加部慎太郎。その親友のぼく。変えられない、変わらないと思っていたその関係性は、意外なかたちでくずれる。
・吉田桃子『転生☆少女』
「どうせ私なんて」という言葉を口に出してしまうと中2に戻ってしまう主人公が、経験の豊かさを活かして、いじめを克服していく、という学校の文芸誌に載っていた作品によって、多くの生徒が救われていく。
・栗沢まり『イッチダンケツ!』
体ばかり大きく、気が弱くて勉強のできない村瀬風人は、英語の先生に目をつけられ、いじめられる。クラスでも孤立するなか、声をかけてきたのは同じく孤立している「宮田君」だった。高飛車な物言いに、反感を覚える主人公だったが、長縄大会を通じて、彼が孤立している本当の理由を知る。
感想・レビュー・書評
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児童書づくりの参考書として、編集さんから推薦される。特に戸森しるこ氏がすばらしい。どんな教科書や参考書よりも、学生さんが今を生きる考え方を鍛えてくれる一冊。
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クラスの中心でチヤホヤされていた穂花は、中3の2学期、クラスのみんなに無視されるようになる──「友達なんかいない」小林深雪
同じ文芸部で気のあう加部慎太郎が、クラスでいじめられている月森の家に恐喝の電話があったと話すが──「これは加部慎太郎に送る手紙」戸森しるこ
「どうせ私なんて」と口にするたびに中学2年生に戻ってしまう詩歩、こんどの転生では自分がいじめられていることに気づく──「転生☆少女」吉田桃子
物覚えが悪くバカにされている村瀬はだれも逆らえない小野寺から長縄大会の回し手に指名される──「イッチダンケツ」栗沢まり
“ひとりぼっちの教室”をテーマに気鋭の作家が競演するアンソロジー -
小林深雪さんのお話が読みたくて借りてきました。いじめをテーマにしたアンソロジーです。
栗沢まりさんのお話が新鮮で一番心が動かされました。主人公の葛藤や素直な言動に勇気をもらいました。 -
3「転生☆少女」
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イジメ、クラスでの疎外と孤立をテーマにした短編アンソロジーです。一作品が短いので、深く掘り下げてという感じではありませんが、それぞれ作者のカラーが出ていて、飽きずにサッと読むことができる手軽さがあります。
個人的には戸森しるこさんの『これは加部慎太郎に送る手紙』がよかったです。 -
中二の時、気に入らないクラスメートをイジメていた『穂花』。でも、三年になったらクラス中から無視されるよになってまるで透明人間みたい・・・「友達なんかいない」小林深雪
クラスは違うけど仲の良い幼馴染の『加部慎太郎』。彼のクラスには顔に痣のあるいじめられっ子の男子生徒がいる。誰も名乗り出ないアンケートを取り続ける先生。でも、初めて✖がついた、そう加部慎太郎は言った・・・「これは加部慎太郎に送る手紙」戸森しるこ
「どうせ私なんて」その言葉を口にする度中学生にループしてしまう『詩織』。イジメている三人組から逃げて屋上でお弁当を食べていると、同じくイジメられている『弥生』と知り合う。『今』が終わりが来ることを知っている詩織は、『今』しか知らない弥生の為に、彼女を救おうと奔走する・・・「転生☆少女」吉田桃子
英語ができなくて先生に」バカにされている『僕』を、クラスのみんなもバカにしている。みんなから無視されている『吉田君』よりはましだけど、彼だけは僕に英語を教えてくれる。
長縄大会で回し手に選ばれ認められたようで張り切っていたけど、リーダー格の『小野寺君』から跳ぶのが苦手な宮田君に休むように言うように指示される。『一致団結』って何?・・・「イッチダンケツ」栗沢まり
イジメをテーマにした四編のアンソロジー。
イジメに苦しんでいる子はもちろん、イジメている人や消極的に関わっている人にも読んでほしいな。だって、イジメって本当にカッコ悪い。
死にたいと考えるほど苦しんでいるのなら、一時避難として逃げるのも正しい選択。それだってとっても勇気がいることなんだし。でもそのままじゃ、結局割を食うのは当人。そんなのはおかしい。ここからは大人がしっかりと対処してあげないといけない。「大人の言うことなんて信用できない」そんなこと言わっれっぱなしじゃ悔しいじゃないですか、大人の皆さん。 -
「ひとりぼっち」を主題に4つのストーリーが描かれています。学校生活でおこるいじめ。彼女たちはどのように向き合っていくのでしょうか。
(児童担当/ライオン)平成31年2月の特集「アンソロジーを読もう!」