神様ゲーム (ミステリーランド)

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062705769

感想・レビュー・書評

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  • 黒沢芳雄(小4)は同級生らと結成した探偵団で、市内で連続して起きている猫殺し事件の犯人探しを始める。一方、半月前に転校してきたばかりの鈴木太郎は、芳雄にとんでもないことを打ち明ける。自分は全知全能の神様で、猫殺しの犯人も知っているというのだ。“神様”の言葉がキッカケとなり探偵団の捜査は順調に進んでいく。そんなある日、探偵団の秘密基地にて事件が起きる…

    麻耶雄嵩作品は約20年前に読んだ「夏と冬の奏鳴曲」があまりにも理解不能な結末だったので、それ以来遠ざかっていた。昨年末刊行の「2025本格ミステリ•ベスト10」にて、「2000年代クォータリー•ベスト本格ランキング」という企画があり、本書が上位にランクインしていたので手に取った。

    「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」と銘打たれた子供向けレーベル•講談社〈ミステリーランド〉の一冊として刊行された本書。子供向けと油断してたらとんでもない。“作者らしい”ちゃぶ台返しが炸裂した毒にぶすりとやられる。毒要素的に、子どもには薦めようとは思わないが、かつて子どもだった大人の読者(それもある程度本格ミステリを読み込んでいる方)にはオススメしたい。おそらく子どもが読んでも、この結末は理解不能だろう。私自身、100%は腹落ちしていない。というか、何パターンかの解釈ができる。真相は神のみぞ知る…ということか?
    以前だったら釈然としなかった「真相は藪の中」的幕引きは、麻耶雄嵩なら有りなのだ…という境地に今では至っている。若かりし日に理解不能だった「夏と冬の奏鳴曲」も、今一度読んだら評価が変わるのかもしれない。

    私が読書から距離を置いていた2000年代は、読み残している作品が多い。今年はそれら過去の名作群にも手を伸ばして行こう。

    このミステリーがすごい! 5位
    本格ミステリ・ベスト10 5位

    《神様シリーズ》
    1.神様ゲーム
    2.さよなら神様

  • なかなかいかれてる本だった。犯人がお父さんでも結構パンチあったのに、最後の最後でお母さん!?ってなった。
    英樹が死んだ時のシーンが絵も相まって怖かった。猫の殺され方も残酷で、子ども向きっぽい本なのに子ども読んで大丈夫?って思う。
    軽く読める本で最後に驚きもあり、読んでよかった。人にはすすめられないなあ…笑

  • 話題になっていたので気にはなっていたのですが、ようやくやっと読むことができました。いやはやこれは確かに問題作ですね。麻耶雄嵩らしいと言いますか。「少年少女のための」と謳っているミステリーランドでこれを書くのがすごいといいますか、らしいと言いますか。

    小学四年生の芳雄の住む街で起こる連続猫殺害事件。その犯人を名指しした転校生の鈴木くんは、自分のことを「神様」だと言うのだった。鈴木くんの話から芳雄たち探偵団は猫殺しの犯人を追跡するのだったが、殺人事件に遭遇することになったのだった。
    鈴木くんが神様である。だから何でも知っている。芳雄はゲームとして受け取るのだが、徐々に信じざるを得ない状況になっていく。鈴木くんの言葉には芳雄自身も知らなかった出生のこと、そして死のことまでもあった。
    これは怖いです。鈴木くんは神様と言えど慈悲の心から芳雄に真実を告げるのでなく、ただ聞かれたから答えるといった調子なのです。淡々と語られることが真実だと認めざるを得なかった時の芳雄の衝撃。それはその後起こる数々の事件の前触れであり、犯人に対して天誅を望んだ時の結果は衝撃を越えてただ受け取るしかできない虚無のような心持ちだったでしょう。
    そして訪れる驚愕の結果。何故? どうして? 今までの推理の流れは何だったのか。鈴木くんは神様だから間違うことはない。だとしたらこの結末が意味するものは何なのか? ぽーんと放り投げられたような結末に身震いします。

  • 一応子ども向け作品なのですね、コレ。
    子どもにはとても読ませられないと思うし、
    もし読んだとしても「ねぇこれどういう意味?」と
    大人には答えにくい質問を無邪気にしてくる可能性大。

    ジェノサイドロボとかネクロフィリアロボとか
    全然わからなったけど、意味があったんですね。
    こちらも子どもに聞かれたら答えられない。
    (それを作中の小学生に無邪気に言わせているあたり、
     作者は相当な性格なのではと思う・・・)

    鈴木君が神様だと告白したあたりは
    すごく面白くて、どんどん読み進めていったけれど
    最後に向かって後味の悪い展開にスピードダウン。

    さらに結末。
    まだ芳雄が言っていた犯人説の方が納得がいくのに、
    何故その人が犯人なのか?
    読者はポカンとしたままページをめくり、
    そこには楽しそうに笑う探偵団のメンバーがいるのみ。

    ・・・え、終わり!?

    ハテナマークが頭の中をたくさん巡る。
    でも神様が言うことは絶対だから、なるほどこれが真実なのね。
    理由はわからないけど、これが真実なのね。
    まさに死人に口なしね・・・と納得するより他にない。

    これがアリなのかと言われれば、私はナシだと思う。
    でも好きか嫌いかと言えば、嫌いではない。

  • 小6くらいの時に初めて読んでゾッとした。それまで読んできた本は、推理小説でも何でも全て完全にハッピーエンドで終わる本だったので、もしこの本を読んでいなかったらバッドエンド好きな今の私はいないと思う。神様も不気味だし衝撃的な作品。

  • ちょっと言葉にならない。
    こんな後味の悪い読後感初めてだった。
    これ児童書として置いといていいの?
    こんな話、子供の時に読んだら2日くらい寝込んでしまうわ。もう、なんと言葉にしていいかわからない。
    しかもこれ続編あるってマジですか?
    読むわ。

  • 初めてミステリーランド読んでみたのがコレでびっくり。小学生の子供には勧められないな。
    神様が早々に犯人教えてくれるけど、読者も主人公目線で神様を信じるかどうか迷いながら読むのが正しいのか、
    読者は神様は絶対のスタンスで推理して読み進めるべきなのか、わからなかった。
    共犯者に関してはミスリードでもないしトリックでもないので騙された!って思いはなくただポカーンでした。

  • 小さな町で起きた連続猫殺し事件と、続けて起こった殺人事件を巡るミステリー小説。
    少年探偵団の一員である、小学四年生の「ぼく」を語り手に話は進むが、神様を自称する「鈴木太郎」の存在により、物語はメタ的な視点を帯びている。デビュー作で、著者は登場する探偵たちを次々と道化に変えているように感じられたが、決して誤らない(神の視点を持った)探偵を登場させるのに、神様そのものを配置するというのは、驚きながら頷けてもしまう。

    文体は整然としていて、構成も面白い(各章タイトルが鏡合わせになっており、たとえば第一章と最終章は同じタイトルになっている)。

    ラストは文字通り衝撃の結末だが、それでも論理が破綻していないのは圧巻。登場人物の紹介欄で「鈴木太郎」に「神様?」と疑問符を付けているのも、複数の思考の筋道を読者に与える仕掛けのひとつなのだろう。

  • 本の装丁、大きい文字と漢字には全てルビが振られている。少年探偵団。お子様向きかと思わせておいて、なかなか重いです。薄ら寒い読後感です。

  • 刑事を父にもつ僕は小学四年生だ。
    探偵団のメンバーでもある。
    転校生のミチルちゃんは好きだけど、同じく転校生の鈴木くんには振り回されて。
    読者は、自分が大好きなミステリだから、著者も読者を愛している、という自分の中の先入観に気付くのでは?
    ストーリーテラーは誰にも媚びない、ストーリーテラーの神様に愛されたいのだ。
    少年少女向けのミステリシリーズを読み進めてまして、手に取りました。
    作者紹介の中にちょっと作者の気持ちが書いてあって微笑ましい。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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