カーの復讐 (ミステリーランド)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062705776

感想・レビュー・書評

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  • ミステリーランド作品。

    古代エジプトの墓から発掘されたミイラや宝をめぐって起きる事件の数々に、アルセーヌ・ルパンが挑む。

    タイトルにある「カー」とは、ミステリー作家・J.D.カーのことではなかった。てっきりそうなのかと思って手に取ったのだが。
    カーとは、エジプトのミイラにまつわる「霊魂」を指す、らしい。
    しかし、後述する通り、もう何が本当で何が嘘かわたしには分からないので、カーというエジプトの言葉が本当に存在するのかどうかすら、わかりません(苦笑)。

    実際に、エジプトの墓発掘に関する復讐であり、事件自体は複雑。犯人も私には予想外の人物であった。
    ルパンならではのお宝狙いもあり、楽しく読めた。
    文章ではないけど、挿絵もルパンの世界にあっていて良いですね。
    表紙の、ミイラの手が伸びてる絵はホラーテイスト。6歳の息子に見せたら怖がってました。

    この本の作者前書きにて、作者がフランスで古本として購入したアルセーヌ・ルパンの小説を、日本の子供たちのために翻訳したのだ、と書いてある。
    しかし、それもフィクションのようで、本編後にそのような原書は存在しないと注釈があった。
    アルセーヌ・ルパンをモチーフにした、いわば二次創作ということか。
    すっかり、その気になって読んでましたよ!フランス語の翻訳なのか〜って、ちょっと恥ずかしい…。でも、なんでそんな嘘つくのー?
    興味が沸いたら、ぜひ本家アルセーヌ・ルパンの物語も読んでみてね、ということなんだろうか…。そう解釈しておきますね。

  • アルセーヌ・ルパンの二次創作!?
    でも確かに児童書、モーリス・ルブランじゃない人が書いたルパンとかコナン・ドイルじゃない人が書いたホームズとかいっぱいあったな…そういえば…

    とはいえルパンがパリで古代エジプト展に行ってエジプト神話をまじえながら探偵するの、単に二階堂黎人の趣味じゃん!(笑)別に怪盗もしないし!
    それにしても推理ショーのくだり、いくらなんでもルパン無能すぎんか?
    みすみすスカラベの首飾り渡して目の前で自殺されるってそんな…金田一少年でも滅多にやらない失態ですよ…江戸川コナンに怒られるよ。

  • ミイラの呪いはどこにもなかった。あったのは欲がらみの陰謀と哀しみと憎しみの悲劇だった。

  • 古代エジプトの秘宝と呪い! それに対峙するのは我らが怪盗ルパン!
    「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」と銘打たれて刊行された「ミステリーランド」の面目躍如というべき一冊です。
    怪盗ルパンシリーズの荒唐無稽なドキドキワクワクを二階堂黎人が見事に再現しています。見事に再現されているが故に古めかしい部分もありますが、それもまた楽しいというもの。かつて子どもだった人には懐かしく、少年少女には今にはないものとしての魅力があるのではないでしょうか。
    古代エジプトの秘宝ホルスの眼、発掘者の周りに現れる謎のミイラ男と生霊<カー>の呪い、暗号文と秘密の地下道などなど、この大仰なトリックや人間関係や舞台設定は時代ものならでは面白さですし、その時代ものをパスティーシュの手法により現代の目を通さずに書くことができたのが魅力となっています。今では書くことのできない(書かない)ようなことも、陶磁書かれていたものという形で書くことができるのですから。

    これを読んだら次は元祖怪盗ルパンシリーズを読みたくなるでしょう。読書の幅を広げてくれる(ある意味狭めて深めてくれる)一冊です。

  • ジョン・D・カーかと思ったら、木乃伊のカーの事だった。ルブランのパスティーシュと知り、読破断念。だってルパン嫌いなんだもの。ホームズばかにしたから。

  • パスティーシュ=作風の模倣 というのか。。。
    作者がこどもだったころ はナシ。

    ルパンシリーズなど推理物は子供の時に読みたかった。。
    今はすぐ比較とか、邪推してしまって、純粋にストーリーや動機や展開を楽しめない。。

    (事実、今作も犯人はこうだろうな。。と思いながら読んでしまった。)

    死んで清算、というのもさほど衝撃を受けないし。。

    だが現代でやられると昼メロか!という内容も
    時代物だとしっくりきてしまう謎。

    昔ほど夢中にはなれないだろうけれど
    ルパンやホームズ等名作も読破したい。。

  •  二階堂黎人さんで、『カーの復讐』てタイトルだから、てっきりディスクン・カーかと思ったら、アルセーヌ・ルパンのお話でした。
     カーとは、古代エジプトの生霊のことらしいです。

     お城とか密室のトリックは分かんなかったけど、犯人は想像が付きました。

     でも、パスティーシュてことを忘れて、普通にルブランが書いて日本語訳されたものを読んでる気になった。
     やっぱうまいですね。

  • 4-06-270577-x 329p 2005.11.25 1刷

  • ルパンの凄さは、推理力だけではなく、突出した観察力があることだなと思った。
    そして、一連の事件はまさかの人物だった。
    愛に勝る復讐って、哀しいな……。


    ただ、女の細腕で男を殴って気絶させたり、気を失った男を運べるのかという疑問は残った。
    火事場の馬鹿力か?

  • 二階堂黎人なのに、ディクスン・カーではないと云う大トリック
    お友達の喜国さんのイラストが良い味出しています

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著者プロフィール

1959年7月19日、東京都生まれ。中央大学理工学部卒業。在学中は「手塚治虫ファンクラブ」会長を務める。1990年に第一回鮎川哲也賞で「吸血の家」が佳作入選。92年に書下ろし長編『地獄の奇術師』を講談社より上梓し、作家デビューを果たす。江戸川乱歩やJ・D・カー、横溝正史の作品を現代に再現したような作風は推理界の注目を大いに集め、全四部作の大長編『人狼城の恐怖』(1996〜99年。講談社ノベルス)では「1999年版本格ミステリ・ベスト10」第一位を獲得。アンソロジー編纂や新進作家の育成にも力を注ぎ、2000年代は合作ミステリの企画も多数行った。SFの分野にも精通し、『宇宙捜査艦《ギガンテス》』(2002年。徳間デュアル文庫)や『アイアン・レディ』(2015年。原書房)などの著書がある。近年は手塚治虫研究者として傑作選編纂や評伝「僕らが愛した手塚治虫」シリーズの刊行に力を入れている。

「2022年 『【完全版】悪霊の館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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