「多動性障害」児-「落ち着きのない子」は病気か? (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062720281

作品紹介・あらすじ

いまや微細脳障害治療薬リタリン使用量の急増という現象は、震源地アメリカを離れて、ヨーロッパや日本にまで押し寄せてきている。このリタリンの使用量の急増は何を意味しているのだろうか?折しも日本では、キレる子どもたちの増加や、少年による凶悪犯罪の増加が大きな社会問題になっている。現在、世界一乳児死亡率の低い国である日本に生まれた子どもたちは、世界一健康な子どもたちになるはずである。しかしそれは身体の健康であって、子どもたちの「こころ」はむしろ以前より病んでいるのではないか、と心配する声が高まってきている。病んでいる子どもたちの「こころ」と、増加するリタリンの使用量、その間に何か関係があるのだろうか。本書の目的はその疑問に答えることである。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったです。
    今はこの本が書かれたときより、新しいことが分かったりしてるのかな?

  • 医学的な内容や薬物の名称など、耳にしない言葉が多く読み込むのに時間を要したが、病気か?否か?など共感できることも多かった。薬だけでなく、他の方法での改善やそうでない事も具体的に説明されていた。

  • 2000年刊行。著者は東京大学医学部付属病院小児科医長。具体的な疾患内容として、自閉症児ともアスペルガー症候群などとも被る「多動性障害」を多面的に検討。かなり前の書であるが、取っ掛かりとしては良いと思う。

  • ADHDという言葉を最近ずいぶん聞くようになりました。注意欠陥多動性障害。注意が足りないので、授業に集中できない。先生の指示に従えない。忘れ物が多い。多動性があり、じっとしていられない。すぐ立ち歩く 。手足を動かしつづける。しゃべりすぎる。衝動性があり、順番を待てない。人の話を最後まで聞かずに答えてしまう、などなど。こういう生徒が1クラスに平均1,2人いると言います。原因はよく分かっていません。遺伝的な要因もあるかも知れないし、食べ物、環境ホルモンなどの影響もあるかも知れません。親のしつけ方が悪いというのはあたっていません。脳の機能的な障害があるのは間違いなさそうです。リタリンという薬がよく効くそうです。アメリカではADHDと診断された子どもたちの多くがこの薬を飲んでいます。しかしこの薬には覚醒剤と同じようなはたらきがあり、直接脳にはたらきかけるため、ヨーロッパや日本では使いたがらない医師も多いそうです。実は私自身はこのテーマにそれほど興味を持っていたわけではありません。ところが、身近でそのような子どもを見る機会があり、いくつかの本にあたってみました。日本ではそれほど多くの書籍が出版されているわけではありません。が、数年前「ジャイアン・のび太症候群」という本が発売され、ADHDという言葉が広く知られるようになりました。いくつかの本を読んだり、話を聞いたりしていると、専門家の間でもずいぶん考え方が違うということが分かりました。本書は、私の感じでは、中立的な立場で書かれているので、私がこの問題に対してどのようなスタンスで臨めば良いかが分かったような気がします。ここからは私見。データ的にADHDの子どもは増えているかも知れないが、それはこの言葉自体が広く知れわたるようになったことと、基準自体がある程度はっきり決められ、しかもそれが低い基準になっていることが影響しているように思える。教室環境がADHDの子どもにとって居づらくなっているかも知れない。ADHDと一言でいっても、個人差が大きく、薬が必要な子ども(たぶんこちらを病気と呼ぶ)もいれば、ふつうのしつけの範囲で何とかなる子ども(こちらは性格)もいる。ただ、その子の状態を親や教師がちゃんと理解していないために、しかり方を間違う。そのために、本人の自尊心を傷つけ、ひいては「行為障害」へと移り犯罪行為にまで及んでしまう。そうならないためには、その子どものことを大人がよく理解して、その上でその子どもが過ごしやすい環境を整えていく必要がある。もちろん、悪いことは悪いと知らせる必要はある。しかり方に注意が必要なのだ。いろいろ本を読んで感じたことは、実はADHDの子どもにとって良かれと思っておこなう行動はすべての子どもにとっても有効にはたらくということです。大人が、それぞれの子どもにとって一番良い教育を心がけていく必要があるのでしょう。

  • まず「多動」の子供が増えているのか,ということを考えてみたい.著者は医学的に見ると増加は説明できず,社会学的に取扱うことにより増大が説明できるというスタンスだ.社会の動きがより「はやく」なり,このような社会に対応できない子供があぶり出されているということだ.

    実際には専門家の議論がまだまだ必要なレベルなのであろう.ただ,米国では既に結論を出しており,どんどんと薬物治療に向かっている.真の解答はどこにあるのだろうか.

  • 出版年が2000年とちと古い

    「多動性」を持つ子どもたちと社会のあり方の変化やリタリンの使用などについて考察している。
    彼らは学級崩壊の原因と考えられがちであるが、本当は単なる引き金であり、それを許してしまう高速化社会が彼らを際立たせているという。

    (現在では多動性障害は、病気や疾患ではなく、生まれつきの障害であるという見方が常識である)

  • 4062720280  199p 2004・7・20 9刷

  • 久々の新書です。「多動」という(日本では特に)難しいテーマでしたが、その諸説から治療法の現状、教師にできることなどわかりやすく書いてありました。
    原因諸説のところでは、シナプスとかドーパミントランスサポーターだとか難しい話もありますが、興味深く読めると思います。
    個人的には、原因諸説より指導者としての対応の方針がほしかったので、そういう意味では今一歩かな。

  • ADHDいかに自分が通りいっぺんにしか理解していないかがわかった。治療薬リタリンのさまざまな論議もわかりやすかった。

  • 中学のとき、
    「自分、ADHDじゃね?」と思い悩み買った本。
    だって、あの頃、私は授業中、机に座っていられなかったんだ。

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著者プロフィール

東京大学医学部卒業。東京大学医学部講師、東京大学医学部付属病院小児科医長。発達神経学、神経生化学を専攻し、小児科医として発達障害児の医療に携わる。

「年 『ナチュラルな赤ちゃん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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