方言の日本地図-ことばの旅 (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062721684

作品紹介・あらすじ

方言は日本語の原点!75の地図で易しく解説!日本人の心に響き、心を揺さぶる方言が今、絶滅の危機に瀕している。まだまだ、各地方では、個性的で豊かな方言が息づいている。日本語は決してひとつではない。

感想・レビュー・書評

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  • 方言と地図の組合せで、ある言葉がどの様な分布になっているのか、それがどの様に伝わったのか、いろいろ興味深い内容です。

  •  日本語方言のさまざまな話題について、具体的な語例を示しながらコメントしたもの。体系的というよりは、雑学寄り。
     難点は、元になったデータの多くが2023年から見ると古すぎること。これは、方言調査には時間がかかるということから考えると、仕方がないことなのかもしれないが、しかし、『日本言語地図』(1966~1974年刊行)はあまりにも古すぎるし、『方言文法全国地図』(1989~)も微妙なところ。また、トピックによっては元になった調査年が示されておらず、現時点における有効性も測れない。
     それでも、個別の話題は非常に興味深く刺激的で、日本語の地域的・歴史的多様性に興味がある人にはお薦め。

  • 方言から地図を眺めることで新しい言語が広がっていく様子やその結果を巡って書かれている。

  • >言葉が文化的中心地を軸に同心円状に分布する場合、外層から内側に向けて順次変化してきたと考える立場が「方言周圏論」なのです。
    方言周圏論をご存知でしょうか?知らなかったという方は今すぐ読みましょう。『探偵!ナイトスクープ』などでも取り上げられた方言分布に対する非常に有名な仮説です。

    方言を扱う雑学本のようなものは多数出版されていると思いますが、本書はアクセントや東西方言境界線、方言周圏論といった非常に濃い部分まで踏み込んでいます。多少読み辛さがあるのですが、この膨大な内容を新書に収めようとしたせいかなと思っています。大量の調査と日本地図による図解が用意されていて新書とは思えないくらいお腹いっぱいになりました。読み辛いと書きましたが、「よろしかったでしょうかは北海道起源な可能性がある」や「老人、幼児、若者語、学校、コンビニ・ファミレス用語」などと知るだけで楽しい知識もたくさんあって決して苦痛ではありません。「チガカッタ(違っていた)」が若者語だとは思いもしませんでした。標準語の核となる地域は当然のように東京と考えがちですが、「大阪の若者に対する調査では関東を中心に標準語の認知領域を定めますが、東京と限定されるわけではない」と新しい視点を得ることが出来ました(本書ではこれを大阪人の東京への対抗意識ではないかと考察しています)。1957~1965年までの調査で東京の方言残存率は38.4%というのは意外でした。
    言葉は人類が生存において他の生物より優位に立つための武器の一つです。方言が提示する言葉の変遷は人類が言葉という武器をどう扱ってきたかを表していると思います。人々の足取り(文化交流)や政治的な事情、国民とは何か(本書では沖縄を例に挙げ、日本は統一言語国家なのかという疑問を読者に投げかけます)などを方言から読み取ることで、我々人類は自分たちの武器をより最適な形で使用することが出来るようになるのではないでしょうか。

  • 方言学の原動力ってなんだろか。
    フィールドワークで特徴をグロットグラムに落とす。分かるけど、もやもやする。
    知らないのは困るから、読むわけだけど。

    でも、疑問は湧いた。この地理制約の少ない時代でも、方言は根強い。なぜ?言葉の伝搬のサマを分からなくちゃいけない。これが原動力か。

  • 新書なので、厚い記述ではないが、学術的な本である。方言がなくなっている危機的な時代が今。そのことを痛感した。

    ・1902年、文部省に設置された国語調査委員会は、「方言を調査して標準語を選定する」という方針を持っていた。そこから出た「東西方言境界線」は虚構であった。
    ・方言周圏論の落とし穴。ナショナリズムの威力を思い知らせるものだから。
    ・一般に標準語規範の方向へ向けての変化の度合いは女性の方に高い。
    ・「よろしかったでしょうか」の起源は北海道かも。北海道では現在のことを過去形で表す方言がある。
    ・メディアによる東京語の浸食により、談話の展開まで東京語の影響が見える。

  • 方言は日本語の原点!75の地図で易しく解説!日本人の心に響き、心を揺さぶる方言が今、絶滅の危機に瀕している。まだまだ、各地方では、個性的で豊かな方言が息づいている。日本語は決してひとつではない。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    真田/信治
    1946年、富山県に生まれる。文学博士。東北大学大学院を修了。国立国語研究所を経て、大阪大学大学院教授。専門は日本語学、社会言語学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 前半は隣接する地域とのことばの違い(語彙、アクセント等)を中心に、
    日本全国の地域方言での興味深い事例をいくつか。

    後半では社会方言(世代差、職業語)を数点。

    ともに地図資料やグロットグラムが付いているのでわかりやすい。
    「日本における方言(変種)」を大局的に見たい人向け。

  • 「休み時間」は長いよ。「放課」でいいじゃん。

  • 2010/06/24:方言のある言葉が、地域や年齢層にどの様に分布や伝播しているのか地図や表で浮き彫りにしています。
    冒頭で沖縄が方言語形の残存率がもっとも高いとありましたが、最後に急速に廃れていることに触れられていました。
    確かに私の友人(30代)も高齢者の話す方言が聞き取れない・話せない人が多いです。
    その一方で新たに独自の方言が出来ているようにも感じます。
    方言について改めて考えさせられました。

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著者プロフィール

大阪大学大学院文学研究科教授

「2001年 『関西・ことばの動態』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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