最古参将棋記者 高みの見物 (講談社+α新書)

  • 講談社 (2003年8月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784062722124

感想・レビュー・書評

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  • 昔は、新聞の最強娯楽コンテンツといわれた囲碁将棋欄ですが、最近ではネットで棋譜が手軽に鑑賞できるのと新聞部数自体が減少の一途をたどる状況では有難味が薄れています。
    かくいう私も、名人戦の棋譜が見たくて、そのためだけに毎日新聞を購読していた時期がありましたが、将棋雑誌からも田辺忠幸さんの名前は早くから有名でした。

    本書は、50年にわたる観戦記者としての経験を活かし、将棋界の水先案内人兼ご意見番としての役割を発揮しています。

    初手のヤラセ問題(真剣勝負にもかかわらず写真撮影だけのために初手を何度も指させる)、将棋用語の誤用(例えば5番勝負の棋戦で先に2連敗していた相手が、巻き返して2連勝した時に「逆王手をかけた」と表現することがあるが、正しくは「タイに戻した」であるべきで、王手をかけているのは両者ともで変わらない)、千日手の回避案(現状の先後入れ替えよりも、後手が千日手を狙う意欲をなくすためにも永遠に同じ手番で指させるべき)など観戦記者ならではの提言を行っています。
    とはいえ、千日手回避の問題は、局面が悪くなったと考えた先手が千日手を狙ってくる可能性もあり、やはり先手番の勝率の方が後手番より有利だという点を考慮すれば、現在の先後入れ替えの方が理にかなっているのでしょう。

    ところで、観戦記の面白さは、もちろん棋譜解説のわかりやすさもさることながら、普段はあまり知ることのない棋士の素顔に迫ることも必要ですが、そのためには棋士との個人的な付き合いもおろそかにできず、かといってあまり深入りしては批判的な記事は書けないというジレンマに悩むことになりそうですね。
    長い将棋観戦記の歴史の中でも、毎日新聞が名人戦で発明した指し手の評価(◎、〇、△、×などを使ってビジュアル化した)は画期的だったと思います。
    反対に、1局を約1週間にわたって解説する新聞将棋のレトロさは、ネットで数分で鑑賞できる現状では魅力的だと言えなくなっているのも事実です。

    新聞社がタイトル戦(叡王戦は別)を主宰し、優勝賞金も協賛しているわけなので、万が一新聞社が撤退するような事態になれば困るのは棋士ですので、叡王戦のような別系統のスポンサーを探すか、あくまでも新聞社との共存共栄を目指すのか、両者の折衷案を模索するのかの岐路に立たされていますが、最近の動向をみると将棋連盟は折衷案を本命に考えているようです。

    藤井聡太君という怪物級の救世主が現れて活気づく将棋界ですが、最近の傾向は喋れる棋士(解説者として)の需要が高まっているようですので、昔のような無口で怖い先生がだんだんいなくなってきたのもさみしい気がします。
    時代とともに変わるのはどこの世界も一緒ということなのでしょうね。

  • 題名の通り、昔から将棋観戦記を書いている記者の回顧録。極論とも思われるような改善案を出したり。

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