父親の力 母親の力―「イエ」を出て「家」に帰る (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062722841

作品紹介・あらすじ

日本人の家族問題に深層から答える!大きくゆらぐ家族関係。家族を救う力とは!いま、父親にできること、母親に望まれること、子どもが求めていることがわかる本。

感想・レビュー・書評

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  • 河合隼雄の柔らかい書き口の本。子育てにおける、母親の力、父親の力、家の力などを西洋文明(個人主義)とそれを中途半端に輸入した日本のあり方との対比で描く。

    父性の大切さを説くのだが、日本の父親像は古典的に父性ではなく、母性であったと看破。昔に戻るのではない、新しい父親像を模索する。

    ちょっと「昔はよかった」的論調は気になるけど、全体的には納得納得の本なのでした。

  • 大好きな河合隼雄先生の著書。ほかの本も読んでいたので、内容については、すっと頭に入り、腹落ちしましたが、この本だけ読んだ方はどのような感想を持つのだろうか、とふと、思いました。

  • 基盤を何も持たぬまま西欧化した結果中身が空洞になり不安定さに苦しんでいる日本。
    内容については悪くはなかったけれど著者が何度も昔はうまくいっていたと語っているのが疑問。昔にもその時代特有の問題が沢山あっただろうしすべてうまくいっていたわけではないだろう。

  • 子供をこの現代社会で育てようとすると、本当に
    いろんな問題に日々直面します。(ちなみにうちは
    共働き家庭です。どちらもハードなお仕事です。
    しかも、結婚してから旦那の家に同居しています。
    7人家族いれば、いろいろあるわけで・・・。)

    私達の小さい頃とは違って、スーパーに買い物をお願いして
    お遣いさせるとか、寄り道をたくさんしながら、
    暗くなるまで四つ葉のクローバー探すとか、
    ザリガニを毎日とって残酷な遊びをしたりとか、
    学校で誰かが泣くまで雪合戦とか誰かができるまで
    鉄棒遊びとか・・・私はそうやって育ってきました。
    しかも、夫婦げんかとか平気でしたり、おばあちゃんのことは
    大事にするものだと教えられて育ったし。
    ただ、物わかりのいい親というよりは、どちらかというと
    気持ちを全くわかってもらえなかった部分の方が
    大きいです。
    でも、そういう経験があったからこそ自分で考える癖が
    ついた気がするし、それが自分で考えてよりよく生きる
    ってことなのかな?って思ってます。

    うちの子育ては、まだまだ始まったばかり。
    でも、ただの物わかりのいい親にだけはなりたくないし、
    やっぱりちゃんと成長する過程の中でいろんな
    困難とちゃんと向き合わせたいです。でも、
    本当にピンチの時は全力で助ける、そんな親になって
    いきたいです。

    ただ、のほほんと暮らしてきた人や今の状態がベストの
    人が読んでもピンとこないかもしれないので、
    本当に悩んでる人、家族のために笑顔で尽くしてるのに
    なかなかそれが旦那の家族に伝わらない人なんかは
    是非読んでください。

  • 約20年前の本なので今の状況と合致していない部分もありそうだが納得できる点も多かった。
    「日本の父親像は地位によって守られてきたもので健全な子育てのために新たな父性を構築し直す必要がある」のはその通りだなと思った。
    また最近はアンガーマネジメントや子供への対応がハウツーとして提示されていることが多いが、そのような対応ばかりしていると子育てから感情がなくなり、子供も親の本当の気持ちが分からなくなるという考えも面白いと感じた。

  • 河合隼雄が同業者(臨床心理士)からの込み入った質問に、丁寧にお答えするという、若干専門家向けの本です。
    フツーに面白いし、読みやすいけど、いわゆる毒親持ちにはあんまり参考にならないかな。子育て中の人にはいいんじゃないかなと思いました。

  • 様々な臨床心理の現場に携わってきた筆者が、現代の臨床心理に携わる人たちから寄せられた質問に答えながら「家庭」「イエ」の在り方について考えを書いた一冊。

    最初の方はふむふむと思い読んでいたが
    時代の変化により変わっていく子育てと父性、母性の在り方に疑問符がわいてきてしまった。
    昔がよかったなんてことはない。
    昔のスタイルで問題もあったからこそ、時代は変化し今のスタイルが築かれてきた。
    だからこそこれからの時代をより良くするための「家庭」を「イエ」をつくっていきたい。

    また、主語が「昔」や「日本」「欧米」など大きすぎるのも気になった。

  • 昔の日本では 絆は「ほだし」と読んで、自由を拘束するという意味で使われていた。今は家族の絆が薄くなったので逆にプラスの意味で使われるようになった。
    また、鎖としての絆があるから自立ができる
    という部分が印象的でした。

    子供をコントロールしようとしたり、家族の問題に画一的な原因を求めることに必死になるのではなく、対話がもっとも大切だと実感できました。

    話を聞いてもらってる気分になります。

  • 「父性の復権」で、主張されているような、昔の日本の父親にように戻れ、ということに、なんとなく違和感を感じていたが、本書では、そのような父親像を痛快に否定してくれる。

    明治の父親は強かったからとあれを真似しようと思ったら、大きな間違いを起こすことになります。あれは、父親がいばるための制度であったのにすぎません。人間としては、鍛えられていませんでした。(p87)

    本書で繰り返し述べられているのは、家族や子育てというのは、そんな簡単なことではない、ということである。

    自由意思を持った人間が集まって、しかもちゃんと生きていくという、とても困難きまわりないことをやっているのが家族だからです。(p184)

    では、どんな父親を目指せばいいのか?

    的確な判断力と強力な決断力、不要なものはどんどん切り捨てていくくらいの実行力を持った父親が必要なのです。(p99)

    これが、父性というものなのである。

    また、父親の威厳、父親の権威に関しても、次のように言及されています。

    私はこうだ、自分はこう思うというところを明確にしていかなければ、家族の対話にはなりません。(中略)自分がほんとうに生きていること、あるいは自分はこう生きたいということが重要なのです。そのかわりに、そう言うからには、責任をとる覚悟をしておかなければならいでしょう。それが、「父としての威厳」につながります。(p100)

    父親が子どもに対して自らの権威を示すためには、これは絶対に誰にも負けないとか、おれはこういう人生観でこういうことをやっている、あるいは、こういうものを持っているというものがないとだめでしょう。それもなく、中途半端なかたちで少しばかり家事の真似事をしても、子どもは父親の権威というものを感じ取ることはないでしょう。(p104)

    また、日本の宗教的なものとの関わりに関しても、示唆にとんだことが記載されています。

    お彼岸に墓参りにいくとか、お盆になると故郷に帰省するとか(中略)そういうときに、必ず家族で行くというのが大きな意味を持っています。

    本書が出版されたのは、2004年であり、2021年の現在と17年の開きがあるが、当時と比較して、世の中がさらに進んで子育てがますます難しい時代になってきた。それに追い打ちをかけるようにコロナ禍によって、一層時代が進んでいる。人々は、ソーシャルディスタンスが求められている。一方、ネット上では、世界中の人といつでも何時間でも繋がることができる。このような世界では、視野の広がり方は物凄いが、一方、今まで自然と身についていたことが、身につかなくなってきている。子育てにとっては、大きな壁であるが、それを超えていくことができると信じて、努力すること、それが河合隼雄さんが教えてくれたことだ。

    私は、今後、以下のようなことを念頭に努力していきたいと思う。
    ・父性として必要な力、判断力、決断力、実行力を家庭で発揮する。
    ・家庭内で、間違いを恐れずに自分の考えを積極的に表明する。そこから対話を促す。そして、自分の考え、行動に責任を持つ。
    ・今までにない新しい時代に、安直な答えを求めるのではなく、自分なりの思考を通じて、新しい家庭像を作っていく。

    こんな立派なこと、できるかな〜。
    本書が伴走者になってくれるはずである、だから、少しでも近づける努力はしよう、と思うのでした。

  • 「えーっ ただいま紹介にあずかりました、
     河合でございます。
     本日は このような盛大なる会に呼ばれまして
     誠にありがとうございます…」
    ーと この原稿のとおりに進めますと
     みなさん あぁ またか
    という表情になってしまうのですよね

    という前置きをされて
    それからは、普段の話し言葉で
    喋り始められた

    という お話を
    河合隼雄さんのスピーチを実際に聴かれた
    方から 伺ったことがあります

    それ以来
    河合隼雄さんの本を手に取るときには
    勝手に 関西弁(京都弁)に翻訳して
    読むことにさせてもらっています

    「家族」
    新しくて古い、
    古くて新しい、
    概念ですね

    改めて
    「家族」というものを
    考えさせてもらえる一冊でした

  • 家族のあり方が変わってきているということを認識した。
    家族を持つことは苦労が増えることもあるが苦労をしていないと幸福にはなれない。という意味は実感している。
    親は子どもの苦労を見ていられるだけの強さが必要。
    父親は的確な判断力と強力な決断力、不要なものはどんどん切り捨てていく実行力が必要。
    子どもにとっていい家庭とは何か。をよく考える。
    子どもの言うことを常に聞くのはよくないことは分かる。
    ユングの言葉"旅行に出て行く先が分からない時はとても不安になる。我々の人生の旅において、終着駅がどうなっているか分からないのだから、人間が不安になるのは当然だろう。"
    今は何でもお金や機械で手っ取り早く出来ることが多い為の弊害が出ている。面倒なことが大切であったりするのはよく分かる。
    また問題の犯人探しをするのではなく問題解決が大切である。
    慣れない分野の本であったので読むのに思った以上に時間がかかった。

  • 私の人生、まだ70年足らずですが、その間、家族の形態は大きく変わってきたと思います。貧乏だったから家族に会話があったのか、裕福になって個室が増えたから会話が少なくなったのか・・・。職場もバブルまでは、会社が疑似家庭であり男は疑似家庭(仕事)で、女は家事と子育てを、そんな暗黙の役割分担が。バブル崩壊後は男も家庭に。この本は、親子、夫婦、父親、母親、子供、いろいろなことを改めて考えさせてくれました。真剣に会話することも、あいまいなまま過ごすことも、見て見ぬふりをすることも、ケースバイケースなんでしょうね。

  • 無料で出来る、とてもいい施設。納得‼️

    f^_^;

    百年後の家族、どうなることやら?

  • (P86)
    「突撃!」と号令がかかったときに、真っ先に突撃して死ぬのがもっとも強い父性だと思われていた。
    (P87)
    ・昔の父親は強かったと言われるけれど、本質的に昔から強くはなかった。
    ・そこを勘違いして、「昔の強かった日本の父権を復活させよ」と言われるけれど、そうした考えは疑問。
    ・日本でこれから父親が強くなろうとしたら、全く新しい父親像をつくりだす覚悟が必要。
    ・明治の父親は強かったからと、あれを真似しようと思ったら、大きな間違いを起こすことになる。
    ・あれは、父親がいばるための制度。
    ・人間としては鍛えられていなかった。
    (P89)
    ・羊の群れ。オスの羊が1歳になると殺す。
     オスが何頭もいると統率がきかなくなる。
    ・羊の群れをコントロールして人間が生きていく放牧のパターンと、
     「聖書」の1歳の男の子を殺す話はほとんど一致する。
    (P90)
    ・父親の存在感 殺すか生かすかの生殺与奪の権力と、それを行使する判断力や勇気
    (P166)
    ・人間というのは、怒ったり怒鳴ったりするから価値があるというのに。
    (P167)
    ・いい子になんか育たない
    (P169)
    ・そういう子どもの一面を、おもしろいと思うか、不具合と思うかの差
    ・人間というのは、こんなにおもしろいものなんだと思いはじめたら、いろいろなものが見えてきて、どんどんおもしろくなってきます。そこに気づかないまま、あくせく働いているのは、やはり大きな損をしている
    (P170)
    ・いまは電車がちょっと遅れただけでも、みんな怒りまくっています。ちょっと予想外のことが起こると、なかなかそれに対応できないでイライラをつのらせます。機械にそういうことを求めるならいいけれど、それを人間にまで求めるから、おかしなことになるのです。
    (P227)
    ・家族の文化、家族の無意識、とひとことで言うのは簡単ですが、そこにある重さ、深さ、広がりにとてつもない存在感があり、まるで自律した動きを持つべつの生き物が、家族の世代を超えて生き続けているかのように感じられるような事例に出会うことがあります。人知をはるかに超えたところで、予測もしなかったような出来事が起こり、あとはするすると糸が解けていくように物事が展開していくのを体験することがあります。家族に宿る魂という言葉がふさわしいのかどうかはわかりませんが、まるで家族の中心に知恵者としてのなにかが存在し、家族の成熟を促したり、家族全体としての絶妙なバランスを保ってくれているようにも感じます。しかし、家族の大きな変化には、死と再生ということがつきものですし、それが象徴的に起こることばかりとはかぎりません。正直いって、事例を担当することに怖さを感じたりすることもあります。(酒井律子さん 京都市教育相談総合センター カウンセリングセンター)
    (P229)
    ・三代ぐらいたつと、家族のパターンに合わせられない子どもが出てくることがある
     厄介者
     じつはその子が改革へのきっかけを与えてくれる

  • 共感できる部分もあるし、そうなんだろうなと思う箇所も多々あったが、結局は著者の思いであったり考えであって、データなどの裏付けや理由付けなどがほとんどなかったため、ただ著者の考えを聞かされてるだけで全く面白くなかった。まぁ本は著者の考えを述べるものなのでそれはそれでいいし、面白くなければ読むなよというはなしなんですけど。

  • 家族の問題について各現場から河合隼雄に寄せられた質問に、自説を述べながら答えている。目新しいことはないけれど、わかりやすく納得しやすい内容。。
    一貫して言われていることは「世の中、何でも自分の思い通りに行くわけではない」ということ。
    だからこそ生きていく上で拠り所が必要で、それが今失われつつある宗教やイエが果たしていた役割。
    日本社会の質・形の変化を悪者に、「昔は良かった」とするのではなく、変化に適応できていないのをどうにかすべき。

    ・長い個人主義の歴史をもつ欧米と、最近個人主義を大切にする風潮が出てきた日本。
    個人主義が悪いという訳ではない、和を尊ぶことでうまくやってきた日本では強い「個人」を育てる仕組みが弱い。
    →道徳規範が弱まって統制のとれない個人の暴走が増えている気がする。教会や儒教、神道(ご先祖様orおてんと様)の存在は躾の中にある。
     
    ・必要なものは簡単に手に入る、お金があれば大抵のことは外注できる、時間をかけなくても帳尻が合う便利な時代。
    昔は母親のアカギレや夜なべ姿から親の愛情は自然に感じて育つことができたが、家族の有難味を感じる機会が減っているいる今は、子へ対話して伝える必要がある。でもうまくいかず形骸化しがち(Ex.「〇〇してやってるだろう!」)
    才能がなくても気まぐれに語った子供の夢を応援する経済的余裕があるせいで、子供を宙ぶらりんにさせてしまう親の問題もある。
    →月並みだけど、物よりも心を通わせるコミュニケーションが大事。

    ・昔の日本の父親は強かったというけれど、威張っていただけで父性としては弱かった。母親の役割を下請として父親がやるのも意味がない。父性とは「子供が自分を信じてやることに対しては、誰からも守ってやる」というもの。
    →迷惑だから危険だからと何かとリスク回避型になっているのは、子供に対しての父性を日本全体が失いつつあるのかもしれない。

    ・「家族の絆」という言葉も昔は「家族に絆(ほだ)されて」という、束縛やしがらみなど悪い意味で使われていた。
    今では家族の繋がりが薄くなりすぎて、あって当たり前の「絆」が大切なものと扱われるようになった。

  • 河合さんの本が図書館に新しく入っていたので読んでみた。やっぱり面白く、分かりやすかったけど、この本は説明がちょっと色々省略しすぎた感じがした。まぁ、難しく語られすぎると何も分からないんだけど…。

  • 久しぶりの河合先生の本です。・・・長官などをされているため、最近はちょっと評判が良くないようですが(当時)、でもやっぱり言っていることはよく分かります。一貫して言われていることは、世の中、何でも自分の思い通りに行くわけではない、ということです。そのことが心の底から分かっていないから、幼児の虐待なんていうことも起こるのでしょう(もちろん簡単に原因を一つに決めることはできませんが)。こちらがいくら疲れていても、夜中にわーわー泣き出すのが乳幼児。自分の思い通りに行かないからって、まったく抵抗のできない相手を放り投げたりなんてことをするのは・・・。確かに自分も、そんなふうに一瞬思ったことがありました。何がそこでの歯止めになっていたのか。その一線を越えるのは、一体どういうきっかけなのか。もっとじっくり考えるべきですが、でもとにかく、まあ、うまく行かないことの方が多いわなあ・・・というぐらいに感じることができていればよいのでしょう。作家の遠藤周作さんが言っていたことだそうですが、本を書くという作業は「苦楽しい(くるたのしい)」のだそうです。子育てというのも同じようなことがあるのかも知れません。何事につけ、ただ単に楽しいというだけでは本当の満足感は得られないのでしょう。好きなことではあるけれども、それを徹底してやり通すのは苦しいことでもある。でもその苦しみを乗り越えた先にこそ、本当の喜びが見いだせるのでしょう。そう考えると、受験勉強も苦楽しいものなのかも知れませんね。

  • 日本人の家族問題に深層から答える!

    大きくゆらぐ家族関係。家族を救う力とは!!
    いま、父親にできること、母親に望まれること、子どもが求めていることがわかる本!

    現在の日本において、家族、家庭ということはきわめて大切なことである。またそれだけに、家族の中に「問題」がない、などという家庭はほんとうに少ないのではないかと思う。そして、それは「家族の恥」のように感じられるので、他人に相談もできず、どうして自分の家族はこんなことで悩まねばならないのだろう、と思い悩んでいる人も多いのではないか、と思う。この書物が、家族のことで悩み、真剣に考えておられる方々に、少しでもヒントになることを提供できれば、真にうれしいことである。

    ●親子・夫婦の不協和音
    ●会話下手なお父さんへ
    ●親から一番言われたくないセリフ
    ●なんでも外注していませんか
    ●中年期の危機×思春期の危機
    ●子どもが「悪いこと」をするとき
    ●新しい異性があらわれたら
    ●見えない壁ができたとき
    ●どうすれば心が通じるか
    ●問題を解消するとっておきの場所

  • 著者の意見に共感できる点は、いくつかはあったが、全体的にはやや保守的な見解が多いと感じた。問題事例とそのときの処方箋が書かれているが、なかなか万人が理解しにくいケースが散見された。私自身に引き寄せて考えてみて、つまるところ、ピンとこないということは、現状のイエないし家に特段問題がないからかもしれない。

  • 母性・父性について(とくに父性)…目からウロコだった。それがいちばん印象深かったけど、他にもいくつもハッとする箇所が。

  • なかなか微妙だったけど、結論は読んでよかった、面白かったです。

    河合隼雄さんという人の本を読んだことなかったので、一度読んでみよう。
    というだけの動機でした。
    どの本を読もうかなあ、と考えたのは、
    ①電子書籍であること。合間合間で読みやすいから。
    ②最近の本であること。物語本じゃないから、あんまり昔のものだと、ピンとこないかも。
    ③あんまり分厚くないこと。
    というわがままな条件にひっかかったのが、この本でした。

    内容は、題名の通り、家族の問題について、全国の臨床心理士さんが河合隼雄さんに質問を寄せ、そのいくつかについて答えるカタチで、河合隼雄さんが自説を述べる、という本。
    いちおう、2000年以降の本だし、上記の構成なので語り言葉風。読みやすい本でした。

    僕の印象で、微妙だったところは。
    ①全体的に、やや老人的な「とにかく昔がよかったのよ」という発言があり、多少白けました。
    ②全体的に、「とにかく欧米は日本よりGOODなのよ」という言い方が耳について。多少白けました。
    という2点だけですね。

    でありつつ、素敵に矛盾しているというか。
    昔の良くなかったこともちゃんと言及している。
    欧米礼賛については、やや無根拠すぎる節はあります。ただ、「モノゴトの考え方の根っこにキリスト教っていう宗教があるから、その分、地域社会とかの人間関係が希薄になってくる現代、最終的によりどころがあるから、楽だよね」という意見が根っこなんだな、と思いました。
    それはそれで、例外異論もいっぱいあると思うけど、一つのジジツではあるよな、と。

    で、読んで良かった、面白かったなあ、と思えたのは。
    高度成長、そして今不景気社会と、世の中が変動する中で、どうあるべきか、という、いちばん肝心なところの物の考え方、分析、その辺は、僕は好きでした。
    要は、「世の中思い通りなんか行くわけないんだから、無駄に深刻に悩みすぎ」
    というとらえ方がある一方で、
    「今日本で起こっていることは、ある意味前例のない状況。かつての教訓やモラルや習慣では乗り切れない」
    「かつての時代の、良かったところというのは分析したり認めたりできる。でも、それを再現しようとするのは、無理」
    「結局、西欧的個人主義になってくるんだけど、西欧とちがって宗教というモラルっていうか、軸はない。だから、西欧的理性に基づいて、対話というのをちゃんとしていくしかない」
    「敵に突撃しろ!と言われたときに、真っ先に突撃する、という精神よりも、"なぜ突撃しなければならないのか?"と満座の前でも声をあげることが、父性としても大事である」

    といったような内容。納得。同感。
    また、女性の社会化に伴う母性の在り方とか、いろんな家族についての問題、角度、視点が語られています。

    そういう分析はすごくすごく納得で、なるほどなあ。と。

    ただ、「じゃあどうしたら良いのか」という論になると。
    「前例をあてにせず、対話を。ひとりひとりが考えて、決定して、行くしかない」
    という総論は、僕は好き。

    で、やや具体論になると、ちょっとユートピア的というか。
    理想論すぎるというか(笑)。
    そんな印象はありました。

    でもね、なるほどなあ。と全体には思いました。最晩期の本のはずだけど、視点や考え方は、新しい古いじゃない。納得できるものだなあ。と。

    また別の本も読んでみる気になりました。
    と、言いつつ、日本のユング派の巨匠だそうなんで。じゃあユング読めよ、っていう話になるんですけど、実はフロイトすら挫折して読んでないんです。
    言い訳ですけどね・・・翻訳で読むのがなんか違和感があってね・・・。
    面白くないんだもん・・・。

  • 今起こっている問題に関する考察については、うならされる内容だった。
    懐古的な記述内容については、疑問。それほど昔がよかったのかについて、公正な目で検証できているとは思えない内容だった。
    今後に関する考察については、もう少し踏み込んでみて欲しかったな、と思う。

  • 『Q&Aこころの子育て』と似たような内容で、心理療法家からの質問に答える形になっている。これ一冊だけではちょっと説明が足りない部分があると思うので、『Q&A…』と2冊1セットのつもりで読むとぴったりだと思う。

  • いろいろ悩みがつきませんが、これに縋ろうと思った訳ではない、と思います。
    「家」について、急激な欧米化と経済発達による、生活の変化…それに見合う生き方。
    そんな、言葉の書かれた序文に惹かれて、購入。

    河合さんは、有名な方で、一度簡単な辺りから、本を読んてみたかった、というのもあります。

    内容は、他のカウンセラーの方の質問に、答えるような形式で、カウンセリングって、どんなんだろう…
    って思ってる人には、ちょうどいい入門書かも。

    まあ、親子、家庭に絞られた話題で、身近でもあり、わかりやすいです。

    難しい、専門用語がならんている訳でもないけれど、
    性格診断テストや心理テストが付いてるわけではありません、あしからず。

  • 歴史的名著
    極めて読みやすい。
    筆者の思いが素直に入ってくる。

  • なるほど、と思うこともあったけれど、腑に落ちないことも。母親は少しばかりのお金のために仕事するよりも子どもと一緒にいるほうが..、という内容の記述。我慢するのは母親だけ?女親の仕事は大して認められないものなの?昔河合隼雄さんと同じように思って、家にいましたけれど。

  • 家を守るには努力が必要なんだけど
    個人としてごく自然にふるまって居心地のいいのが当たり前、と思う人が多い気がする。

  • 親について、最近よく考えてる。

  • 母性・父性のところが面白かった。日本は父親も母性寄り、なるほど。私としては腑に落ちないところもあり、感じたことを材料に考えてみたい、心にとどめておきたいと思った。

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