北朝鮮に備える軍事学 (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062724159

作品紹介・あらすじ

日本の国防はファンタジーの上に成り立っている!!将軍様がボタンを押せば10分で日本は被弾する!!米国が自国の危機を顧みず、核の傘を提供する動機は今や消滅している。どうする日本。

感想・レビュー・書評

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  • 北朝鮮の核に関して著者は、「?平時あるいは有事の初期段階では、現状のままでも十分に抑止が効いており、絶対に使用されない、?有事の最終局面、あるいは国内の騒擾に際しては、捨て身で使用される可能性がある。その場合、どんな手段でも抑止できないということになる」従って、「北朝鮮の核攻撃を抑止するために日本も核武装すべきだという主張にはほとんど合理性がない」、北朝鮮の核兵器について日本が軍事的に準備できることはあまりないという大前提のもとで、可能性として残る万が一の‘北朝鮮の脅威’について軍事面のみからQ&A方式で説明している。北核問題についての重要な論点は以下のよう。よく言われる‘北朝鮮の脅威’の具体的な内容とは日本にとっては、将来的に北朝鮮がノドンに搭載可能な小型核弾頭を開発すること(これに関しては数日前に金桂冠がすでにノドン搭載核弾頭を開発したことを仄めかす発言をしているが)と、プルトニウムの量産態勢に入ることであり、許容できないレッドラインだが、現在ある脅威としてはサリンなどの化学兵器搭載のノドンである。しかし現有バージョンのミサイル防衛システム(新型艦対空ミサイルSM−3・地対空ミサイルシステムPAC−3)は両者とも、特にPAC−3はノドン迎撃の有効性は疑わしい。それを補うにはノドンが発射される前に攻撃する「敵基地攻撃能力の確保」である。朝鮮有事が始まっていれば米軍に任せでいいが、開戦前でしかし開戦がほとんど秒読み状態という場合(そんな可能性はまずゼロとしつつ)、日本が有効的に対抗できるお薦めはトマホーク巡航ミサイルの配備で(現有のF−2支援戦闘機では単独で北朝鮮上空に潜入して目標を爆撃することには性能上不安)、地下基地の破壊は無理だが、日本の核武装とかMDとかより安価で実効性があるとしている。では100%の安全を確保するにはどうしたらいいのか…「北朝鮮が核弾頭小型化に成功する前に金正日政権を倒す以外にない」。もう遅いかもしれない。いずれにしても金正日の目の黒いうちは核問題は解決できないと考えるのが現実的なのだろう。他にも興味深い話が載っている。

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著者プロフィール

黒井文太郎(くろい ぶんたろう)
1963年、福島県いわき市生まれ。横浜市立大学卒業後、講談社入社。週刊誌編集者を経て退職。フォトジャーナリスト(紛争地域専門)、『軍事研究』特約記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、軍事ジャーナリスト。ニューヨーク、モスクワ、カイロを拠点に海外取材多数。著書に『イスラム国の正体』(KKベストセラーズ)、『イスラムのテロリスト』『日本の情報機関』(以上、講談社)、『インテリジェンスの極意!』(宝島社)、『本当はすごかった大日本帝国の諜報機関』(扶桑社)、『ビンラディン抹殺指令』(洋泉社)他多数。

「2020年 『新型コロナで激変する 日本防衛と世界情勢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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