一度も植民地になったことがない日本 (講談社+α新書)

  • 講談社
3.11
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感想 : 141
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062724487

作品紹介・あらすじ

日本は不思議でエレガントな「世界の孤児」
ヨーロッパ人は毎日、日本の話をしている
9・11のテロを「カミカゼ」と呼ぶ、ヨーロッパ フツー目線の、赤裸々な日本人評満載!

今、ヨーロッパの人々は、日本について毎日話しています。誤解や思い込みもありますし、偏見に満ちた見方をされていることもなきにしもあらず。ところで、私はヨーロッパで30年以上暮らしていますが、日本についてヨーロッパではよく知られているのに、日本人がまったく知らないということがあります。たとえば「日本は、アジア・アフリカで植民地にならなかった稀有な国だ」というのは、ヨーロッパではごく一般的に言われていることなのですが、最初に聞いたとき、驚きました。このような、ヨーロッパにおける日本についてのうわさ話、つまり、有名な政治家や大企業の社長や学者が話しているのではなく、街のフツーの人々が日本について話していることをピックアップすると、なんだか日本の本当の姿が見えてくる気がしました。

●9・11がKAMIKAZEとは!
●なぜフランスで浅間山荘事件?
●自衛隊をめぐる禅問答
●恨みを忘れないヨーロッパ人
●植民地になったことがない日本
●黒人にも偏見を持たなかった信長
●MANGAはもはやフランス語
●日本人は出世すると思っている
●日本人は子どものしつけを知らない
●「すみません」は潤滑油

感想・レビュー・書評

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  • フランスにすんでいるデュラン・れい子さんのエッセイ集。ヨーロッパから見た日本を書いている。こうした情報はなかなか日本ではお目にかかれない。言い方を変えると日本語では極端に少ない。アジアで植民地になったことがないのは、タイと日本。目を引くタイトルですね。

  • 日本人が知らない「外国人が見た日本」

    うんうん、なるほど。分かりやすい語り口で面白おかしく学ぶことができた。外に出ないと分からないナカのこと……って、あるやあね、確かに。

    どちらが正しいかではなく、文化の違いがそこにある……ということを心に留め置くのも、異文化理解の第一歩となるのだろう。お互いに。

    かなり仲の良い夫婦であろうことがひしひしと伝わってくるのだが、それでもなお、互いの生きてきたモノの違いへの驚きが多数紹介されている。こんなに知的でかつ仲良しな夫婦でさえこれなのだから、国際結婚とはいかに難しいものなのか……と。

    ★4つ、8ポイント。
    2016.11.14.古。

    ※“子育て観”については……やや極端に過ぎる部分もあるとは思うが、ヨーロッパ人の考え方に7割り方は賛成。

    ※しかし、筆者は……なんと国際色豊かな人脈・交遊関係なのだろうか。ちょいと、我々庶民とは住む世界が異なる人だなあ、と。(悪い意味ではなく)


    ※「KAMIKAZE」が“そういう意味で使われ”てるのは、まあ、今ではさすがに周知の事実だけれど……
    「KAWASAKI」には、少々驚いた。夫婦間でその会話が交わされた時からはまた、だいぶ時は流れているけれど……今でもそうなのかしら?

  • 書店の新書コーナーに平積みになっていた一冊。
    ヨーロッパ在住の著者が海外で感じた日本観が紹介されているため、外部からの目線として興味深く読みました。

    長年外国に済み、海外の人々と異文化交流を重ねていないと、わからないようなことが、いろいろと紹介されています。
    たとえば、この60年の間に、ドイツは40回以上憲法改正をしているということなど。
    つまりは1年半に1回の割合で憲法に手を加えているということになります。
    一度も憲法改正をしていない日本人にとっては驚きですが、そもそもドイツと日本では、憲法の成り立ちが違っており、日本の法律感覚なんだそうです。
    この点も理解していないと、日本人は唖然とするしかありません。

    また、日本はマスターズ・カントリー(ご主人様の国)を持たない、つまり植民地になったことがない国ですが、アジア・アフリカ地域でで植民地にならなかった国はほとんどないとのこと。
    以前は日本・タイ・エチオピアと言われていたそうだけれど、エチオピアは第二次大戦前にイタリアに攻め込まれたので、外れるそうです。
    考えてみたこともありませんでした。

    日本の歴史の中で、信長時代の宣教師来日と、徳川時代終わりの開国時に、植民地になる危機があったという歴史教育も、日本では受けません。
    日本の国家的危機といったら、元寇と第二次大戦後しか思い浮かびませんが、それはあくまで占領であって、植民地化されるという意識は日本人になかっただろうと著者は言います。
    単一民族、単一言語の単一国家である日本にとって、よその国になってしまうという感覚はなかなか持てないものです。

    その昔、日本を訪れた宣教師(バテレン)たちの真の目的は、キリスト教布教とともに母国の領土拡大だったということも知りました。
    宗教を理由に、侵略の機会をうかがっていたなんて、おそろしい話です。
    つまり、日本の為政者たちがキリスト教の広がりを恐れたのは正しい判断だったそうです。

    布教を認めたら、日本はフィリピンやマカオ同様に、スペインかポルトガルの植民地になっていた可能性もあったということで、キリシタン弾圧の残酷さ、苛烈さには納得がいかない私でしたが、そこが見落とされがちながら、歴史の危ない分岐点だったことに気付きました。

    当時の日本の清潔には、訪れた宣教師たちがみな驚いたというのも意外でした。
    話を聞いてもらうために、日本人と会う前には風呂に入り、身体を清潔にしろと言われていたそうです。
    当時のヨーロッパは街中がゴミや汚物にあふれて不衛生極まりなかったとのこと。
    貴婦人の結いあげた髪の毛はシラミやダニだらけ。
    だからドブネズミが大量発生し、ペストが流行ったそうで、聞くだけでぞっとします。

    つまり、当時の日本は、ヨーロッパ以上の文化を誇っていたとのこと。
    また、信長が、バテレンが献上した黒人奴隷を、ヤスケと名付けて召し抱えたなど、人種偏見も奴隷制度もなかった日本は、恵まれた平和な国だったんですね。

    南蛮人とは、字だけ見ると「南から来た野蛮な人」という意味で、今から思えば、むしろ火薬や鉄砲を紹介してくれた文明人たちなのに、と思いますが、実際には、毎日風呂に入らなかったり、土足で部屋に入ったり、人や動物を殺す刃物であるナイフを食事に使ったりと、当時の日本人にとっては野蛮きわまりない人種だっただろうと、指摘されていました。

    十字軍を迎えたエルサレムの人々も、ヨーロッパ人を"野蛮な国から押し寄せてきた人たち"と見做したとのことです。
    やはり当時は、イスラムの方がヨーロッパよりも文化が進んでいたからだそうです。
    ヨーロッパは昔も今も文化的だというのは、日本人の過剰な思いこみに過ぎないのかもしれません。

    さらに、220年間におよぶ鎖国の影響は、現代日本人が「自分はアジア人だ」と認識できない理由になっているのではないかと、著者は述べています。
    たしかに、日本人という自覚はあっても、アジア人という感覚は、希薄な私たち。
    不思議なものです。
    それだけ大陸間でのいがみ合いにさらされてこなかったというのが原因なのかもしれません。

    また、フランス憲法は「フランスの国語は、フランス語である」と明記されているけれど、日本国憲法にはそういった条項が無い点も挙げられていました。
    それは、日本人が言葉を奪われた歴史が無いからで、ドーデの『最後の授業』を読むと、母国語を禁止される国民のつらさがよくわかります。
    運よくその悲劇に見舞われることのなかった日本人ですが、どうも日本語を軽視しているような気がすると、著者は案じています。

    外から日本を見つめる視線は、国内に住む私たちには思いもよらないものであるということが、いろいろとわかりました。
    植民地化されなかったことのメリット・デメリットがそれぞれあるとは思いますが、別の国に占領されていたら、ユニークな江戸庶民文化はまず発展しえなかったでしょう。
    日本の歴史を外国からの視点で見つめ直すのも、新鮮で新たな発見があるものだと気付かされました。

  • いいことも言っているんだけど、内容が薄いと思った。
    実体験には違いないが、身内話に終始している感じがした。

  • 古き良きものをどかどか壊してるって著者の旦那の意見は耳に痛かった。私もそう思うよ。

    一番好きな箇所は違う国籍の留学生同士が留学先の国の悪口を言ってる内容が、その国一番客観的なイメージだって所。
    思い当たる節があった分妙に納得(笑)

    何はともあれ面白いし読むのに2時間はかかんないから暇つぶしに是非。

  • すらすら読めるため、読み終えるのにあっという間。

    海外から、特にヨーロッパから日本はどう見られているのかがわかる本。
    日本の評価されている部分、逆によくないとされている部分をいくつかの国籍のひととの話から知れる。

    思っても見なかったところが評価されていたり、
    日本人が美徳としていたところが海外からは理解されないものだったり、
    カルチャーショックとともに海外の考え方も知れて勉強になる。

    こう言う本が他にもあれば是非読みたい。

  • ヨーロッパに長く暮らす国際結婚の筆者が語る、日本とヨーロッパの違いについての一冊。タイトルは直接的には旧植民地出身者から"あなたのマスターズ・カントリーは?"と聞かれたエピソードからだろうが、本質的にヨーロッパ文明の枠外で独自性を保って今日まで至った日本の姿を表現したものだろう。
    上記の一件について個人的には、植民地支配を受けなかった国が日本含め片手に足りるほどしかないことは知っていたが、旧植民地の人たちに旧宗主国への意識がそんなに残っているものだとは知らなかった。
    ヨーロッパ人のそういうことへの鈍感さや、日本への一方的な言い分などマイナス面も含め、日欧双方の違いを筆者の経験をもとに語っており、歴史理解については甘い点もあるとは思うが、両方を知る人の生の声として貴重だと思う。
    終盤の日本文化紹介イベントのエピソードは正直ショックだったが(相手が笑顔で喜んでくれてもそれは所詮社交辞令レベル)、彼我の違いをシビアに認識して、おもねることなく、かといって過度に我を通すことなく、交流への意識を高めていけたらよいと思った。

  • 若干の個人的な意見感が否めないが、面白く読めた。


    ■メモ
    ・カミカゼは自爆テロとして、フランス等で使われる
    ・日独伊は第二次大戦の敗戦国。テロの好きな国民。
    ・日本、タイ、エチオピアは植民地経験がない(マスターズカントリーがなき)
    ・昔から日本人は清潔で、バテレン(宣教師)たちは日本人に会う時は風呂入って清潔にするようにした。体臭臭いやつの話は聞きたくないと思われるから。
    ・偏見を持たない日本人。信長は地球が丸いと言われて、即座に納得した。
    ・日本人の八百万の神の文化。
    ・南蛮人の由来の一つは、昔土足であがってきて、ナイフで食事するから
    ・フランスは2週間のバカンスが法律で決まってる
    ・ヴァカンスを取れない奴は無能

  • だいぶ前の本であったが、日本がアラスカを買うか買わないかという話があったというを始めて知った。本当かどうかは根拠が示されてないのでわからなかったが、違う視点から日本を知るのは面白いと思う。

  • これも父から。
    絶対タイトルに魅かれて買ったはいいけど、「間違った~」と思った口だね。
    私も「思ったのと違う!」と思ったもの。

    一度も植民地になったことのないアジアの小国は少ない。
    その、植民地になったことがないという事実が日本にどういう影響を与えたのか。
    歴史的にそれを解明する。
    というのを期待していたのだけど、違った。

    これはスェーデン人と結婚してオランダに住む日本人女性の日常雑記なのだった。
    ヨーロッパは国同士の交流も頻繁だし、移民を受け入れているとアジアやアフリカ系の人も多く住む。
    その中で異文化コミュニケーションの面白さだったり、外国人が見る日本人の姿がどうとらえられているかという興味だったり。

    確かにアメリカに比べて人種差別がないことになっているヨーロッパだけれど、そこは階級社会であるので、旧属領出身の人や移民ができる仕事は限られている。
    だから「黄色人でありながら欧米人と対等に渡り合える日本人」の特異性というのが、日本人が思う以上に大きな出来事であるということらしいけど、それに胡坐をかいて失敗したのが前回の戦争だったわけだから、まあ今後も謙虚に行きましょうよとわたしは思うのだけど。
    でも、謙虚は外国では通用しない、日本人だけの美徳といわれると…。

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