私は、こんな人になら、金を出す! (講談社+α新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062727730

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  • ・2011年の東日本大震災において、岩手県釜石市の釜石東中学の生徒と鵜住居小学校約600人の児童が津波から走って逃げ、間一髪、何を逃れた話は有名で、これにとどまらず、釜石市では約3000人の小中学生のほとんどが、押し寄せる巨大津波から逃れて無事でした。「釜石の奇跡」と呼ばれています。
    この「奇跡」を支えたのが、「避難の3原則」と呼ばれるものです。その内容は、「想定にとらわれるな」「最善を尽くせ」「率先避難者たれ」というもの。
    これらは、釜石市で防災教育の指導にあたってきた群馬大学大学院の片田敏孝教授が、2004年のスマトラ沖地震後の津波被害を研究したうえで提唱したものですが、起業家にとっても示唆に富む話です。私自身、起業家と投資家が「どうにかなるだろう」と安易に考えて、回避できたはずの経営的窮地に陥ってしまう現場を何度も見てきました。

    ・その商品の力を計る、簡単で有効な方法があります。それは、以下のような問いかけをしてみることです。
    「もしその商品が無料だったら、顧客はいますぐ使うだろうか?」
    仮に無料でも使わない人が少なくないなら、それは商品として失敗しています。逆に、無料であれば多くの人が使ってくれるのであれば、ユーザーに体験してもらい、さらに細かな聞き取りと観察を行い、その商品の魅力とコストのバランスを調整し、インパクトのある商品へ設計をし直せばいい。

    ・ベンチャー・キャピタルは、業界のフロンティアを開拓しようとしている未知のベンチャー企業を評価するわけですから、人によってさまざまな見方があるのが当然。
    ですから、本来合議制で決める事柄ではなく、ベンチャー・キャピタルの個性や能力のもとで、より創造的な見方や価値観をもって投資を決定するべきものなのです。そして、投資を決断した個人が、長期的に支援していかなければ、無名の若い才能や未知のベンチャー企業が育つことはありません。
    …シリコンバレーに飛び、現地の専門家に「自分が考えているベンチャー・キャピタル構想が実現できるか」と聞いてみると、「アメリカでは個人が業務執行組合員であり、それが日本では不可能かもしれない」と言われてショックを受け、さらに帰国後に調べてみると、日本でも個人で業務執行組合員になることは“まったく問題ない”ということを知り、二度愕然としたものです。
    日本で独自のベンチャー・キャピタルスタイルが生まれたのは当然でした。日本の金融史を振り返ってみると、そもそも金融機関の子会社がベンチャー・キャピタルファンドを組成しており、人事異動のあるサラリーマンでも運用できる投資事業組合の合議の体制を考案しなければなりませんでした。それが、現在までの運営スタイルへと継承されていったのです。

  • 日本テクノロジーベンチャーパートナーズを設立し、ベンチャーキャピタリストである村口和孝氏が自身の半生や投資感、日本の現状はの想いやベンチャー起業へのすすめを書いた一冊。

    自身が関わりの深いDeNAや出資してきた会社での出来事から1万人近い経営者と会ってきた経験から培った自身の経営者理論や起業から経営を軌道に乗せるまでのシナリオなど多岐にわたる内容で勉強になりました。
    また自身の半生については演劇の世界からベンチャーキャピタル設立に至るまでの経緯も書かれていて読んでいて氏の思いが伝わってきました。

    本書の中でも特に停滞期の資金繰りについては著者の経験とともに大変参考になりました。

    本書を読んでゼロから会社を立ち上げる難しさを感じるとともに一歩を踏み出せば無限の可能性を秘めてることも感じました。
    紆余曲折のある人生を歩まれた著者の経験から学んだことは他ではないと感じる貴重な一冊でした。

  • <著者>
    村口和孝氏。慶応→ジャフコ→独立して日本テクノロジーベンチャーパートナーズ。DeNAとかに。

    <感想>
    少し垣間見れた。

    <備忘録>
    •組織の合意を取りつけ、平均的な意思決定を行っていては•••
    •未来に対して真面目な人
    •顧客を発見し価値を作れる人
    •起業家は異なる立場の人を念頭におき、事業活動に統合していかなければならない。
    •事業が立ち上がっていないのに先に組織を作るとどうなるか。
    •ベンチャー企業に大企業の様なPDCAは限界あり。失敗なくして成功なし。
    •その商品が無料だったら顧客は今すぐ使うか。

  • 投資していたDenaや他の会社の実例を交えながらVCと支援される側のベンチャー企業の関係性が分かりやすく見えてきてすごい面白い。
    また、ベンチャー企業に訪れる壁や起こりやすい失敗も書かれていて、実際に起業したりベンチャーに関わることがあったとしたら、もう一度ちゃんと読み返したい。
    こうすれば成功する!という本が多いなかで、こんな失敗、落とし穴があるよ!っていうことを書いてくれている本は少ないなかで、この本はそれをきちんと書いてくれています。
    また、タイトルの通り、最終的な投資をするか否かの判断は「経営者の素質」というところで、こんな素質を持った経営者に投資する。というのが、そこらへんの一般的なHowto本や自己啓発本よりもすっと入ってきた。

  • VCの観点から経営、起業など様々なことに言及している。著者が伝えたい内容はタイトルとかなりかけ離れているという印象を抱く。

著者プロフィール

1958年徳島県生まれ。1984年に慶応義塾大学経済学部卒業後、証券系ベンチャー・キャピタルの(株)日本合同ファイナンス(現・ジャフコ)入社。1998年に独立し、個人資産も投じて、日本初の個人型ベンチャー・キャピタル「日本テクノロジーベンチャーパートナーズ投資事業組合(NTVP)」を立ち上げた。
これまで出資した、DeNA、インフォテリア、阿波製紙、ウォーターダイレクトなど6社が株式上場(店頭公開含む)に成功。通算成績でキャピタルゲイン250億円と、独立系ベンチャー・キャピタリストとしては、日本随一の実績を収めている。

「2013年 『私は、こんな人になら、金を出す!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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