住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち (講談社+α新書)

  • 講談社
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感想 : 123
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062728140

作品紹介・あらすじ

この本を読むだけで、われわれ日本人が夢のような国に住んでいることがよくわかる――ドイツ在住30年、現地で結婚し、3人の子供を育てた著者の集大成、空前絶後の日独比較論!! 
 日本人が憧れるヨーロッパの文化、街並み、そして生活レベル……特にその勤勉性が日本人に近いとされるドイツに対しては、工業製品のライバルでもあるため、不思議な愛憎感情を抱いている。では、ドイツ人の日常とは、実際のところどうなのか……実は、あまりに不便すぎて、日本人ならとても生きていけない!?

感想・レビュー・書評

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  • ドイツついて知りたくて読書。

    ドイツ歴30年という著者から見た日本とそしてドイツの比較論。

    日本国外へ出て初めて日本の魅力、素晴らしさを知ることは本当に多い。しかし、現在の単なる日本礼賛的なムードは危険だと思う。外を見ようとせず、内向きだけを向き進もうとしているから。

    2012年には初めてドイツへ行き、今年は10回近く行く機会があった。ドイツは、アメリカよりは旅行者視点で便利だと思うが、幼い時から抱いていたドイツのイメージとはかなり違っていた。

    ドイツ人は、ルール好きで、律儀で、時間にも正確と言われているが、いずれも日本人が思っているのとは違う。また、日本好きでもなく、どちらかと言うと日本嫌いのほうが多いとさえ思われるくらい。

    本文に登場する尖閣諸島についてのドイツ語版ウィキペディアの例にあるように、ドイツ在住の中国人や中国系の力でそのような既成事実が作られつつあるのが現実。韓国もまたしかりで、したたかなロビー活動や国家ぐるみでの働きかけの影響は大きい。

    日本はこの現実を直視して、しっかりとした対策をしないといけない。むしろ、この点は中韓を見習うべきだと思う。「いつかきっと分かってもらえる」という妄想は、日本人同士で通用する価値観であることを知るべき。

    日本はいい国だが、閉塞感がありどこか息苦しい。ドイツは移民が多いためか、職業や業務の分業が進んでおり、旅行者視点でも格差を感じるが、適当な雰囲気が漂っており、居心地は悪くない。

    日独の義務教育の比較。労働環境の比較。鉄道の比較。サービス比較は面白い。
    双方のいい部分が上手に取り入れられればそれが理想。

    やはりどの国も行ってみないと分からないこと多い。

    ドイツやヨーロッパのサービスの低さを考えると、人のマナーには問題あるが、中国は少しはまともな国に思えてくるから不思議だ。

    本書でもっとも印象に残り、また激しく共感を覚えたのは、
    世界の多くの国が、イメージのほうが実態よりも良いなかで、日本は、実態のほうがイメージよりも良い唯一の国ともいえる。(p4)

    この点、日本にいるとまったく自覚しないことの1つだが、非常に重要な点だと思う。

    読書時間:約1時間10分

  • 最近よくある日本アゲアゲ本かなぁと思ってましたが、ドイツ在住の著者が書いたコラムをネットで読んでとても興味深くおもしろかったので購入してみました。
    タイトルはあれですが、ドイツを通して見える日本の問題もちゃんと取り上げられています。
    そしてドイツという国をあまりにも知らなかったんだなあと驚きました。知ってみると、昨今のドイツが抱える問題も理解しやすい。
    実直、規律正しい、経済好調、ドイツに対して抱くイメージはプラスのものが多く、それだけにVWに関する一連の問題の発覚は衝撃でした。この本自体は事件前に書かれたものなので、直接VW問題に言及されているわけではありませんが、その背景は透けて見えるようです。

  • ついつい手に取ってしまう、お国較べモノ。よくある流れを想像しながら開いてびっくり。のっけから領土問題、しかも尖閣諸島に上陸してみた体験談。さらに「領土は実効支配した者のもの」と明快に締める。

    私たちの世代(特に女性)は政治的な話はさけるように陰に陽に刷り込まれてきているところがあるが、さすが安保世代? それとも珍しい?
    感情的に煽る部分がなくおちついていて、こなれている。結論を保留して、手に入る情報を確認していく話の進め方は心地いい。 
    国内の結論先にありきになりがちな主張とは かなり印象が違う。

    次項のドイツが脱原発を決めた経緯も興味深い。
    脱原発は理想としては美しいが、そう単純ないきさつではないようだ。

    そのあと、労働環境、教育、EU(拡大経済圏)とトピックが並ぶ。EUで“損な役回り”についているドイツをTPPにおける日本と重ねあわせて警告を発している。

    いろいろとカードを並べて吟味して、最後に何を選ぶかは国民性や好みが出るところだと思う。
    やはり日本はいい国だよというタイトルメッセージは、そういうことかな。

  • ドイツは、何となくイメージのいい国ですが、やはり、いいところも悪いところもありますね。

    ただ、日本とドイツのどっちがいいとか悪いではなく、何が違うのか、なぜ違うのかを理解することが大切なのでしょうね。
    また、同じところや、現在は同じように見えるけれども、経緯は違う点などを押さえることも大切なことだと思います。

    それにしても、いかに自分がドイツのことや日本の社会のことを知らないか、よくわかりました。
    こういう国際比較の本を少しでも多く読んで、勉強します。

  • 発刊されてからいつかは読みたいと思い、読み始めましたが、もう少し深い考察を期待していたのですが、ライトなノンフィクションという味付けでした。
    それでも在ドイツ30年の著者ならではの、ご意見・考察がなかなか面白い。
    特に長時間・低生産性型の日本の働き方と、短期間・高生産性型のドイツの働き方の違い。それに対し、短期間集中故にストレスがかかり、長期休暇も全力投球することで、精神疾患の割合がドイツ人に多いという考察には納得ですね。
    また、勤勉性では日本人に引けを取らないというイメージがドイツ人にありましたが、鉄道時刻のルーズな面など、役割や責任が明確な故に融通が効かないという、欧米人の個人主義が顔を出したりして、痛快でした。
    結論、日本人でよかった(笑

  • 原発賛同。安保法案改正賛成。という筆者の主張がひしひしと伝わってくる本だった。時には賛成派の意見も貴重だなと思った。両極の意見を聞くことで、どちらかに自分がしっくりくるのかわかるメリットもあるんだなと。

  • 日本とドイツを様々な観点から比較した本という
    点に興味を持ち手に取った、が
    冒頭が「私は尖閣諸島に行った。」で「え、これ
    そんなに政治的な本?」と少し面食らった
    その後、ドイツとフランスのアルザス地方の話に入っていく

    ドイツというと几帳面真面目なイメージが付いていたが
    鉄道はシステムもサービスも全然ダメで大学は良いが
    義務教育は日本のほうがかなり優れていて、東日本大震災の
    原発事故に大パニックを起こし、仕事と休暇をきっちり
    分けすぎるため、休暇に力が入りすぎてさらに疲れるだけ、だったり…

    現在、難民やVW不正で日本でもニュースで見ない日がないドイツ
    彼らはどこに向かっていくのでしょうか。。

  • 初めてのドイツ旅行中に読んだので、本に書かれている内容が手に取るように分かるし、痛いほど共感できて良かったです。

    夫がドイツ人なので、夫とも情報の信憑性を確認しながらの読書で、楽しかった。ドイツというEUを引っ張る先進国の内情や歴史的背景を見たとき、現在のドイツのあり方にはかなり不安を感じるところであり、子供を育てるにはやはり日本だなと、感じたところです。

    教育に関してもドイツのほうが上をいっていると思っていましたが、それは大学の話。小学校は断然日本のほうが良いようです。とは言え日本の集団生活で秩序を重んじる日々の中、出る杭は打たれる間違った意識は子供には植え付けないよう、親が注意を払う必要があります。

  • 文化の比較本としてはなかなか面白いのですが、読んだイメージからは8勝2敗じゃなくて五分五分って感じを受けました。
    なんでこんなタイトルにしたんだろうねぇ。

  • 勝手なイメージの憧れを持つドイツのほんとの所はどうなの?ってところを日本と比較して論ぜられてて、とっても面白かった。いい所を見習い、悪い所は反面教師にする。大事ですね。

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著者プロフィール

作家、ドイツ・ライプツィヒ在住。日本大学芸術学部卒業後、渡独。1985年、シュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科修了。2016年、『ドイツの脱原発がよくわかる本』で第36回エネルギーフォーラム賞・普及啓発賞受、2018年に『復興の日本人論 誰も書かなかった福島』が第38回の同賞特別賞を受賞。近著に『メルケル 仮面の裏側』(PHP新書)、『無邪気な日本人よ、白昼夢から目覚めよ』(ワック)などがある。

「2022年 『左傾化するSDGs先進国ドイツで今、何が起こっているか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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