母と子は必ず、わかり合える 遠距離介護5年間の真実 (講談社+α新書)

著者 : 舛添要一
  • 講談社 (2014年6月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062728539

作品紹介

舛添要一の政治家としての原点は、5年間にわたり母親を遠距離介護したことだ。その後。参議院自民党政策審議会長や厚生労働大臣を務めた日々も、この体験を、1日も忘れたことはなかった。
 2014年、東京都知事に選出され、ついに自分の手で、理想の福祉社会を実現できるようになった。舛添要一が目指す「世界最先端の福祉都市」東京の姿とは何か? 母の介護で舐めた辛酸を、体験した縦割り行政の不条理を、そして母とともに過ごした最後の日々をタテ糸にして、とことん福祉を考える。

母と子は必ず、わかり合える 遠距離介護5年間の真実 (講談社+α新書)の感想・レビュー・書評

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  • 本書は舛添さんとその母・舛添ユキノさんの介護の実体験を、学者で政治家らしい舛添さんらしく、インテリジェンスに溢れた文章でわれわれ日本人に実証的に提供してくれている。私の祖父母も介護を母がやったが、それはもう大変そうだった。

    まず、舛添さんはこう語る。「頭脳が明晰であればあるほど、深い悲しみはずしりと心に食い込んできます。認知症になってしまえば、明晰さが無くなる分、悲しみをさほど感じなくて済みます。ですから、認知症というのは、子育てなど、人生の大仕事を成し終えた人に与えられた大いなる癒しではないでしょうか?」と分析する。

    当時売れっ子芸能人だった、舛添氏は、お母様が亡くなられた二〇〇〇年九月二十六日の前後一日ずつ(二十五日~二十七日)しか休みがなく、まるで「息子の仕事の邪魔になることはしない」と言わんばかりに、息子孝行をしてくれた、と述懐する。

    そんな舛添氏はお母様の介護を始めるにあたって、何の知見も持ち合わせていなかったそうで、老健(老人保健施設)と特養(特別養護老人ホーム)の区別がつかないほど、介護については全く無知だった。

    そして、お母様を老健に入所させたものの、必要なリハビリはされず、認知症の病状は悪化する一方だったそうだ。

    日本の社会保障システムについても再点検してみた結果、施設から脱出させて、在宅介護に踏み切るべきだ、との結論に達したそう。

    しかし、それに待ったを掛けたのが、長姉。なんと彼女は母親の生命より、世間体を気にしたのだ。
    カンカンになって怒った舛添さん、長姉夫婦と断絶し、やむなく法的措置までとったそうだ。

    舛添氏の介護は基本的に週末。東京からお母様のおられる北九州まで通う。奥様と一緒に。一往復二人で十万円。年間五百万円。五年間それが続いたので、都合二千五百万円くらいはかかったそうだ。

    そのため、彼は秘策を練る。フリーの立場を利用して、仕事を西日本へシフトしたのだ。
    テレビでも大阪の仕事にすると、交通費が東京~大阪間は浮くので、若干の節約になったそうだ。

    また、彼は行政との戦いにも神経を使ったそうだ。お母様を車いすごと移動させるために、福祉車両を購入しようとすると、うんざりするような複雑な手続きを求められたそう。

    身体障害者用の税の減免措置を申請しようとしたとき、お母様が住む北九州でなく東京に舛添さんが住民登録をしているというのだけで、役所から難色を示された。

    同じように警察に行って、「駐車禁止等排除標章」の交付を申請しようとしたところ、上記の理由でまた難色。

    これに関して、舛添氏は「政治は弱者のためにこそ必要で、国民の健康や教育については、貧富、人種、出自、年齢、男女などのいかなる差別があってもなりません。私のこの政治哲学は、母の介護によってますます強固になっていきました」とのこと。

    舛添さんは、お母様の移動にもっぱら福祉車両を使用していたが、それが彼女の病状悪化に伴い(危篤状態)、不必要になってきた。そこで、いろいろ今回の件について考察すると、郵便局のネットワークが大いに役立つことに気づかれたそうだ。

    なぜなら、郵便配達の方は毎日のように各家庭を訪ねるので、独居老人の家に何か異変が生じていれば、すぐに分かる。

    そこで、彼は当該福祉車両を地元の郵便局で活用してもらえないか、と頼んだところ、大分県の耶馬渓の町で必要であるということが分かり、寄付することになった。

    ここで舛添さんの概観的な助言。「私の経験では、家族が負担が過剰にならない限界は要介護度3までではないかと思う。下の世話を二年以上もすると、介護する側も身体も気力も参っていしまうのではないか。また、認知症の症状が軽度で足腰がしっかりしていても、徘徊する癖があれば、その老人の見守る手間は大変」とうものだ。

    また、彼はこうも言う。「在宅介護と施設介護の関係は、自宅用の消化器と消防署の関係にたとえることができます」

    だから、一一九番を呼び出しても、「数年待ってください」という答えしか返ってこなかったら、消防署の存在価値は無くなる。老人施設をもっと増やし、その内容を充実させることが急務だという。

    最後にリクエストに応じて、舛添さんの政治哲学を書いて本ブログ終わることにする。本書を読んで興味を持たれた介護準備軍・介護者等にぜひ参考にして欲しい。

    「極論すると、政治を必要としているのは弱者です。経済的、社会的に強い人には政治は不要です。何億円もの年俸を稼ぎ出すプロ野球のスター選手を、政治が救う必要はありません。不幸にして障害を持つ身になった、親が交通事故で不慮の死を遂げたために進学を断念せざるをえなくなった、難病に罹り治療費が家何件分もの数字になる、このような場合に政治が機能しなければ、なんのための社会連帯でしょうか」

    これこそ舛添氏の政治哲学であり、それを政策として実現するために、都知事選に打って出たのです。

    カムバック!ミスターマスゾエ!

  • 桝添氏が、政治家を目指した根本的リアル体験記。
    認知症の母の介護、葬儀までの手配。
    妻の妊娠、出産と、母親の他界した翌日に、子供の出産という命のバトンをリアルに書かれております。
    こういう方にこそ、日本の政治に携わってほしいと強く思いました。

  • 年老いた親と介護問題は切り離せない問題である。
    元気でいるうちは、子ども達も自分達の生活で手一杯のはずであり、その先の介護までは考えが及ばないのが普通だと思う。
    舛添さんの「認知症になる前にいろいろやってあげればよかった」という切実な言葉は心に響き、自分の親も元気でいるうちに優しくしてあげなければと思った。

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