イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る 雇用400万人、GDP8パーセント成長への提言 (講談社+α新書)
- 講談社 (2014年10月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062728706
感想・レビュー・書評
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タイトルから妄想
「元ゴールドマン・サックスの凄腕の人が日本の国宝に魅せられて…はたまた日本の美術品か寺社仏閣の修復する会社の跡取り娘と恋愛して苦労しながらも会社を継いでいく苦労話ストーリー」なのかな~と思っていたら…
あ~た!
もう全然違う内容に読みながらびっくり!
(いや…勝手に内容を妄想した私が悪いんだが…)
日本の経済界のバカバカしいところやらからくりやらを説明しつつ「観光大国になるには根本考え直さなきゃムリ~」っていうのを解説している内容だった!
でも、ある意味これがおもしろかった。
日本の経済界の大物たちはデータではなくカンで仕事してる話やら、(だから占い師とか頼っちゃって詐欺とかの事件が起こりがちなんだな~)アベノミクスなんて本当は効いてるかそうかなんて今は全くわからないってな話をイギリスのサッチャーさんの話も交えてしてくれてるんだけど、めちゃくちゃ説得力ある。たしかに経済なんて落ちるのは早いけど、1年とかで回復するとか結果出すなんて難しいよね。
あと海外の人が求める「おもてなし」ポイントと日本人が考える「おもてなし」ポイントがずれてるとかの話も納得。
そうか・・・日本の国宝を守っているのはきっと全く別の目で見ているデービッドさんみたいな人たちなんだろな…。
とは言いつつ…日本人としてはなかなか耳が痛い話&胸が痛い話も多く…。文化財の大切さなんてわからないイマドキの日本人も多いんだろな…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書の発刊は2014年6月であるが、その1年後の2015年6月発刊の『新・観光立国論』を先に読んでいたため、内容の重複も多かった。
日本のGDP全体に占める観光産業は2%であるが、世界平均は9%である。
したがって観光産業はまだまだ伸びしろがあり、そのためにはきちんと日本文化を伝えるサービスを提供するべきである。
京都には約200万人の外国人観光客が来るが、大英博物館は年間420万人が訪れる。京都でさえまだまだ伸びしろがあるのだ。
日本の文化財保護は単に保護することを目的としてきた。
客を楽しませる観光資源であるという発想がなかったのだ。
しかも、観光産業は女性の比率が高いため、観光産業が元気になれば、女性の雇用が生まれる。また、シルバーガイドなどを活用して、高齢者にも雇用を生む可能性がある。
日本優先のプロダクトアウトのおもてなしはダメだ。客人に合わせ、客人に仕える気持ちで、外国人観光客に楽しんでもらうための仕掛けを埋め込む必要がある。 -
耳が痛いし、カチンと来る所も無いではないが傾聴すべき点は多い。大企業であるほど、偉くなるほど無能になる(というか、無能な人間が多くはびこっている)、根っからのフォロワー気質でリーダー資質の無い日本人像。まるでWGIPのようだが、多くの優れたリーダーの必要な現代に国としてリーダーを育てられない仕組みは亡国的とさえ言えるだろう。
観光立国ありき、のような後半には疑問も残るが、観光立国とかオ・モ・テ・ナ・シを題目にすると金儲け根性が出てしまうので、若者の雇用の受け皿としての「職人」の市場を拡大するという見方にすると俄然期待感が増す。 -
日本経済に対する厳しい見方と、現在関わっている文化事業の在り方と
二つのテーマが重なる部分がある様でも有り、ストーリーを難しくしている
日本経済については、戦後「高度成長」を皆で頑張ろうというムードでできた
問題はその後、「サイエンス」を習得することが出来なかった
年功序列の仕組みが、実力主義も革新も否定する
著者は戦後日本の成功の大部分は生産年齢の人口増によるものとする
いわゆる「人口ボーナス」である
これから逆回転をしようとする日本の前途は悲観と言うこと
アベノミクスの経済政策も2−3年で出来るわけはなく、
サッチャーイズムと同じなら、10年かかる
問題は金融が持続可能ではないと言うこと
文化事業の発展はそのとおり ハードからソフトに変えていかなければならない -
なんと言うか、違和感があるのは否めない。ちゃんとした人なのだろうが。日本人に対して媚びへつらうことなく物を言う姿勢はよいと思う。
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レビュー省略
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新観光立国論の方がより具体的で面白い。
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著者が書かれた別の本「新観光立国論」があまりに面白かったので、読んだ本です。結論を言うと、主張している内容は「新観光立国論」とさして変わらず、著者の意見を詳述し、論旨の構成も整えられているという意味で「新観光立国論」の方が面白く、特に本書を読む必要はなかったと思いました。
、、と言っても、私が本書に期待していたことにあまりページを割かれていないというだけで、「新観光立国論」と比較しなければ充分に興味深い本です。
本書を読む前に期待していたのは、超一流の投資銀行で成功した著者が、全く異質の文化財補修の会社で経営者になり会社を再建するまでのプロセスの詳細ですが、そこが本書のメインではなかったです。。 -
元GSのセルサイドアナリストで、現在は京都で文化財の補修会社の社長をやられている方の本。
なんだかんだ色々おっしゃっているが、要は言いたいことは以下の二点のようです。
①日本人はファクト(数字)に基づいて議論をする能力が低い
②文化財の保護にもっと予算を使うべき(著者の経営する企業にいいことがあるのかもしれません) -
著者は本書と、あと2冊を立て続けに書いているのだが、最初の一冊としてこれは妥当だろう。
なぜ外国人が日本文化を語るのか、なぜ日本を豊かにしたいのか、なぜ一般的に言われていない結論が導き出されているのか。
2015年6月に出版された“新・観光立国論”には彼の言いたいことが詰まっている。そちらにも著者について書かれてはいるが僅かである。
彼を知るためには、先ずこれから読むべきである。
なお、同じく講談社α新書から出ている“イギリス人アナリストだから〜”は“新・観光立国論”の内容薄いバージョンなので、あえて買う必要は無いと思われる。