世界一豊かなスイスとそっくりな国ニッポン (講談社+α新書)

  • 講談社
3.35
  • (4)
  • (10)
  • (5)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 136
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062729659

作品紹介・あらすじ

30万部を突破したベストセラー『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』と『住んでみたヨーロッパ 9勝1敗で日本の勝ち』に続く、待望のシリーズ第3弾!!
 お隣の国同士なのに、ドイツとスイスは大違い。そこで在独35年の著者が、世界一無愛想な人々が住むドイツからスイスに行って観察したら、スイスと日本の共通点の多さにビックリ!
 世界一豊かな国スイスとおんなじならば、日本人ももっと、幸せを実感して生きたらどう?――そのヒントを!!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • スイスとドイツはわりといつもお互いの悪口をいいあいっこしている。ドイツでは雌牛のスイス人(馬鹿な女)と、スイスでは豚のシュヴァーベン人と言い合い、ドイツ人の悪い性格をさらに徹底するとスイス人ができあがるとドイツ人。が、どちらも私は魅力的と思います。

    スイスの歴史にカルヴァンという独裁者がいました。この男は、すべては神によって定められていて、救われる人間は罪を犯さないと質素、勤勉を強制。1541からジュネーブを支配。すさまじい恐怖政治を行いました。のちに1936年オーストリアのシュテファン・ツヴァイクというユダヤ人がカルヴァン対カステリョ(良心と権力)という本を書いています。カルヴァンは、異端審問を飛び越え全員を監視。戸口は開かれ、壁はガラス(この時代に)。宗教警察によるマストな24時間とびこみ巡察。ミゼル・セルベートという神学者はカルヴァンと意見が合わず、生きたまま公開火あぶりにされました。ワインもかけ事もカップルのささやきも許されず、礼拝と働くことしか許されませんでした。カルヴァンは貯蓄は許し、それは神が金持ちになるように作ったからで、富が罪ではなく富の上に胡坐をかき欲望を満たすために悪用することと。恐ろしい時代ではあったけれど、豊かになったことも事実でした。傭兵の売買という暗黒時代もあり、ロマというジプシーや貧民の子どもを誘拐し奴隷として労働力に、それに行政も加担、という時代もありました。Jスタンプをつくったことも。ただ、そんな時代に生きていた人はいまは誰もいません。
    複雑すぎる二面性が隠れている。アンビバレンスがスイス最大の魅力という著者は、過酷な過去と向き合いながら、直接政治で、皆で助け合いながら未来のために努力するスイスの現在と努力を描いています。

  • スイスについて勉強したいと思い、まずは簡単に読めそうな本書を手に取りました。あっと言う間に読めましたが、著者がスイスの専門家でもなく、在住していたわけでもなく(むしろドイツ在住)、書かれていることもかなり断片的、かつ論拠が弱いところも多々あるとは感じました。ただ個々のトピック自体は「そんな話があるのね」ということで面白さは感じました。スイスと日本の類似点をいろいろ書き連ねているかというと、必ずしもそうではなく、たまに脱線してドイツの悪いところだけを書いている箇所もあり、正直読みながら「?」が頭をよぎることも何度かありました。ただ疑念を持ちつつも、とっかかりという意味で1冊目に読むのは良かったかなと思っています。

  • ドイツ在住の著者の今回はスイス論。本書を読むと日本と似ている部分と全く異質な点がよくわかる。
    ヨーロッパで各国に囲まれて歴史を重ねただけあって、日本にはない悲しい歴史と合理性を併せ持つ素敵な国だとよくわかる。
    物価の高さはやはり半端ないので永住するには覚悟がいる国だと再認識。日本もスイスの良いところを見習えばまだまだ存在感を上げられる余地は残ってると思う

  • 今は豊かなスイスだけれど
    過去には 人身売買も盛んだったり
    傭兵を出稼ぎさせて稼いでいたり
    悲惨な歴史があってこその 努力ともいえ
    成功例をそのまま真似ても
    うまくいくかなぁと疑問に感じますが
    内容はとても面白くて
    スイスの賢明さに脱帽でした

  • 3-2-1'

  • 世界一豊かで幸せな国スイスとよく似ている日本。小さな国スイスができることは日本でもできるはずである。日本の良いところを活かし、考え方を変えれば日本はより良くなる。日本とスイスの共通点・異なる点・改善するべき点について考える。スイスを見習っていけばもっと良い国になっていくだろう。様々な観点から日本とスイスを比較していく。
    日本とスイスの共通しているところは、どちらの国も物作りが得意だということだ。元々、日本は機械産業が盛んで特に工作機械では生産額が世界一だった。しかし、2014年には日本は世界一ではなくなってしまった。そんな中、人口が少なく小さな国であるスイスは少しずつ成功している。スイスでは時計産業が盛んだ。スイスメーカーの時計は世界の時計の売り上げランキングで上位3位を占めている。スイスと日本は物作りが盛んな国という点では共通しているが完成度の高い製品という点ではスイスの方が断然上だ。スイスは一つの製品を作るのにかける時間と費用が日本の倍以上である。スイスは、最高級の製品を目指して最高の材料を使い、一つ一つ丁寧に手作業で作り、磨いていく。
    日本とスイスで異なるところもある。それは、選挙法である。日本は、国民の代表者が議会に参加し、審議をする間接民主主義である。一方でスイスは国民全員が直接選挙に参加し、審議をする直接民主主義を使っている。直接民主制を行う場合、国民全員が政治の知識をある程度持っていなければ正しい選挙ができない。しかし、間接民主制であれば知識のある人を国民の代表者とするため正しくできる。政治を上手く回すためにはその場の雰囲気や感情で審議する人がいない間接民主制を使うべきだと思う。
    また、日本が改善するべきところはの日本の旅館である。現在、日本の旅館の数が減少している。それは、日本人から良い評価を得られず潰れてしまっているからだ。良い評価が得られないのは交通の便や施設の機能性など不便だと感じるところは改善し、日本の伝統は残すということをしていないからだ。外国人に合わせた入りやすい旅館を作るのではなく、日本の良いところは取り入れたまま不便なところを改善し、日本人が満足するような旅館作りを目指していくべきである
    また、スイス人は国を守るという意識が高い。国民一人一人が自分の国は自分で守るという考えを持っている。その一方で日本は戦争を放棄したため、最悪の事態を予測して備えるという意識が低い。だから日本もスイスを見習って自国や自国の周りで起きていることを理解し、危険を察知できるようにしておくべきだ。日本人の意識の低さを改善するべきである。
    さらに移民問題について、スイスはEUと協定を結んだ結果、EUとスイス間の移動が自由になり働く場所も増えた。しかし、あまりにもスイスに来る移民の数が多いため国民の間で不満が広がり新しく法律を作って、移民の数を制限した。日本は移民を受け入れている。しかし、その目的が経済の格差によるものであるならば移民問題を平和に解決するには仕事で人を雇う側も雇われる側にも不満が残らないよう、平等に行う必要がある。だから、移民政策を進める上でお互いが納得するようなやり方をするべきである。
    このように、日本とスイスを比較すると共通点・異なる点・改善点等、色々なことが分かる。スイスを見習い、悪いところは改善し、良いところは広める。日本人がもっと自信を持ち、日本の伝統を海外にアピールできたら日本はもっと成長できるだろう。

  • わたしが入手するころには
    既に新刊本が幾つか出されておりまして・・・。
    時事評論を中古で購入することはこういう覚悟がいるのです。
    御本人には中古は問題あるのですけど・・・
    貧乏は見逃されたい

  • 私にとって、欧州の国々では、スイス、フランス、次いでドイツが馴染み深い国です。川口マーン惠美さん、初読みです。「世界一豊かなスイスとそっくりな国ニッポン」、2016.11発行です。とても興味深く読み終えました。海に囲まれ、山に囲まれ、海に山に畏敬の念を抱く両国、自然に支配され、かつ自然に寄り添い、勤勉に働き、安全で清潔で秩序正しい暮らしを営んできた日本とスイス。これからグローバリズムの波にどう対応していくのか・・・。なお、スイスの自然重視・景観維持の農業政策(補助金)は、動物愛護、自然保護、安全な食物が目的とか、素晴らしいと思います。また、各家の地下に核シェルターがあって2w生活可能というのも現実的だと思いました。

  • 単なる日本vsスイスの比較本ではなく、日本をどうこれから再建していくのか、たくさんの気づきを日本人にもたらしてくれる、
    いや、それ以上に、エネルギー政策など日本が表面しか見ずに間違ったEUのエネルギー政策の解釈をし単純に真似ようとしていることにも提言。
    日本の将来のために、日本の政治家やメディアを発信する人にぜひ読んでほしい。

  • 呼ばれてる本

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家、ドイツ・ライプツィヒ在住。日本大学芸術学部卒業後、渡独。1985年、シュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科修了。2016年、『ドイツの脱原発がよくわかる本』で第36回エネルギーフォーラム賞・普及啓発賞受、2018年に『復興の日本人論 誰も書かなかった福島』が第38回の同賞特別賞を受賞。近著に『メルケル 仮面の裏側』(PHP新書)、『無邪気な日本人よ、白昼夢から目覚めよ』(ワック)などがある。

「2022年 『左傾化するSDGs先進国ドイツで今、何が起こっているか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川口マーン惠美の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×