夏のレプリカ (講談社文庫)

  • 講談社 (2000年11月15日発売)
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本 ・本 (520ページ) / ISBN・EAN: 9784062730129

作品紹介・あらすじ

封印された夏の日の記憶!
眩い夏、不可解な誘拐事件、蘇る過去
真実は、偶数章だけで明かされる。

T大学大学院生の簑沢杜萌(みのさわともえ)は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。眩い光、朦朧(もうろう)とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは?『幻惑と死と使途』と同時期に起こった事件を描く。

感想・レビュー・書評

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  • S&Mシリーズの第7作目である本作。前作と同時期に起きた殺人事件について描かれており、前作の伏線がしっかり回収されており、とても満足しました。

    以下あらすじです。(サイトより引用)
    T大学大学院生の簑沢杜萌(みのさわともえ)は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。眩い光、朦朧(もうろう)とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは?『幻惑と死と使途』と同時期に起こった事件を描く。

    本作は西之園萌絵の親友である杜萌の視点で描かれるストーリーで、スピンオフ的な立ち位置かと思いきや、しっかり主人公が解決してくれる展開でした。内容に触れてしまうので、あまり詳しく言えないのですが、本作の結末は結構お気に入りで、シリーズもののミステリーではこういう結末も1つはあって良いのかなと思いました。

    本作はあまり萌絵の視点から描かれないので、萌絵のファンからすると物足りないかもしれません。

  • 前作の間の別事件の話。

    犀川先生と萌絵の出番は少なかったけどとても楽しめました。

    このシリーズももぅ少しで終わってしまう。でも森先生の本はまだ沢山あるのでまだまだ楽しめそうである。

  • S&Mシリーズ第7弾
    夏のレプリカ
    最後の展開が余韻残しすぎで少し困惑してますが
    徐々にそういうことだったのかと
    この7弾だけ、今まで違う位置付けなんでしょうね
    杜萌が今後も登場してほしいなと思いながら読んでいたので、どうなるのだろうか

    ほぼ犀川先生登場しないので
    物足りなさはありますが
    萌絵と杜萌のチェスのシーンは過去から今まで流れもあってよかったですね
    エヴァーグリーンゲームを思い出しました
    あの作品も盲目の人いたな確か(強かった)

    想像を超えての結末だったので大満足の5点にしたいのですが、やはり犀川先生にもっと登場と解決に入り込んでほしい(勝手に想いが強くなってる)ので
    ⭐️4とします

    夏のレプリカというタイトル。。。
    杜萌からみた事件の視点と実際の事象が起こった視点という意味のレプリカなのか。。。
    (うーん、もう一度見返したい、それでも気づける自信がない)

    続いての8弾へ
    今はもうない
    (また、今までにないタイトルで楽しみだぁ
    中身みてないけど、タイトルが全部いいです
    読み終わった後にそういうことねとわかる)

  • 大人になるってどういうこと?
    __________________
    欲しいものを手に入れるには何か大切なものを捨てる必要がある。大切な人、お気に入りのもの、価値観や記憶、夢。大事なもの好きなものを全部持ち続けることは出来ない。それができるのが大人。
    逆に、自分自身が犠牲になるということも必要ということが今作からは読み取れました。

    __________________
    『好きだろうが嫌いだろうがそんなことは物事の本質とは、何も関係がない。一瞬の幻に過ぎない。どちらでも良いのだ。』
    __________________
    『若者は好きを求めるのと同じ位のエネルギーを使って嫌いなものを一生懸命探す』
    思わず共感してしまいました。嫌い・ダメな理由の方が饒舌に語れる、語ることで自分の意見が言えてると思ってしまっているなと。

    好き嫌いフィルタを通すことで、見えなくなってしまっているものがあるんじゃないか…穴のない仮面をつけたま歩いている自分を客観視できたように思えます。



    杜萌と萌絵のチェスの局面。大人に近づいている杜萌が白、真っ直ぐ純粋まだ子供要素が強めの萌絵が黒。2人の人間性を鑑みると色は逆じゃないか?とも思いましたが、この設定にはどういう意味があるのだろう…。

    チェスのシーンにもいろいろ意味が込められて作られてると思いますが、駒名もルールも、私の頭にはインストールされてないので、読み溶けていません。将棋ならなんとか妄想できたはず泣

    前作『幻惑の死と使途』と同時期に起こった事件という設定で、前作は奇数章のみ、今作は偶数章のみで構成。中盤から萌絵の、両作間を往来している感じが、作品の形として新しくて楽しめました。

  • S&Mシリーズ7作目!
    奇数章だけという前作に続いて
    今作は偶数章だけ

    ということよりも何よりも
    あくまで前作の奇数章の方で動いてるからか
    今作はS&M視点で話が進まない…

    大半がM=萌絵の親友であり
    今作の事件の渦中の人物でもある
    杜萌視点!

    S&Mの会話や空気感が好きな身としては
    物足りない…
    もちろん2人のちっとも進まない関係は
    出てこないのだから
    尚更進まない…

    杜萌視点だと昔の萌絵と今の萌絵が
    友達目線で同じレベルで描かれるから
    そこは楽しめた。

    今までも萌絵の友達ポジションはいたけど
    今作の杜萌は親友というだけあって
    萌絵の過去を知っていて
    萌絵としっかり繋がっているというか

    それでいて
    同種というか同等というか…

    そして今作は萌絵の代わりではないだろうけど
    萌絵の叔母の睦子さんが
    ちらほら出てきてくれるのが救い。

    「あんなにお優しくてはね、ちょっと大物にはなれません。これ、嫌味じゃなくてよ」
    なんて、叔母さまが言うからこそ素敵。
    乗馬とゴルフの小話も良き。

  • 西野園萌絵の親友、杜萌の一人称視点で進む本作。ミステリとしてはシリーズで一番驚きが少ないと思いましたが、ストーリーはかなり好きです。「客観視した時に初めて見えるものがある」「忘れたいものは記憶のキーに閉じ込めてしまう」という前振りからの萌絵が結論にたどり着く流れ、チェスを通して杜萌が記憶のキーを開く演出があまりに綺麗で、鳥肌立ちっぱなしでした。そして何より良かったのが「杜萌」のキャラクター像。親友の萌絵とよく似た人物でありながら、犀川先生のような人物に出会えなかったことで歯車がズレてしまったレプリカのような存在。切なかったですね…。

    ただ、気になる点はもちろんあって、素生は結局なんで失踪したんだとか(一緒にいた人誰?)、「幻惑の死と使徒」であれだけスカッと事件解決した数日後にこんな結末迎えたらショックでかすぎだろとか、犀川先生一瞬で解決しすぎでしょとか。いろいろ思うところがあるんですが、それ以上に好きなポイントが多いので満足度高かったです。

  • 幻惑の死と使途と同時進行。
    幻惑の死と使途は奇数章しかなく、こちらの夏のレプリカは偶数章しかない。
    面白い手法だなぁと思う。

    どちらかというと、幻惑の死と使途の方が重たく深い感じがする為、順序が逆の方が良かったのでは?と思うが、このシリーズ作はどれも程よく楽しめる。

    幻惑の死と使途と連続している為、余計に犯人に意外性があった。

    しかし、どんどん犀川先生の出番が減ってないかな・・・。

  • 1998年作品

    萌絵の友人の犯行動機・計画がピンと来なかった。
    なぜ、被害者の元カノと彼、共犯者の彼と萌絵の友人の関係が警察に分からなかったのだろうか??
    盲目の兄について、家族が隠す理由も分からなかった。ノイローゼの治療?お金?
    現実と妄想が分からなくて、困った。そういうミステリーなんだったんだろうか?

  • S&Mシリーズ7作目。
    今回も一気に読み切りました。

    いつもはパソコンで書いている為、
    なんだかんだと時間が経過してしまうのですが
    (そのお陰で読後の新鮮な気持ちは忘れてます。苦笑)、
    これはすぐ書きたくて携帯で書いています。

    前作のマジシャン殺人事件と同時進行していた、この事件。
    本作は偶数章しかありません。
    その代わりに前作は奇数章しかないです。

    今回は萌絵の友達、杜萌が主人公として物語が展開します。
    3年ぶりに帰った実家で突然仮面の誘拐者に拉致される。
    残りの家族は別荘で拉致されている。
    犯人と別荘に向かったところ、家族を拉致していた犯人達が死体で発見される。
    杜萌と同行していた犯人は逃亡。
    実家に帰宅すると、鍵をかけて引きこもっていたはずの兄だけいなくなっていた。。

    後半で、犀川先生、萌絵が登場し、
    物語の謎が解明されていきます。

    昨日の夜、あまりの眠さに読書を中断したんですが、
    どうしても気持ち悪さが残って、
    皆さんのレビューを読みました。
    犯人がわかって、まさか…ああ…ってなったんですが、寝ました。苦笑

    何でこんなに続きというか、
    犯人が気になるんだろう、と思ったら、
    今回は萌絵の友達が事件に巻き込まれ、
    客観的ではなかったからだ、
    と犀川先生の言葉を見て思いました。

    今までの時間は、
    犀川先生と萌絵の(私の中では)
    外側で起こっている事件だから、
    少し離れて見てたんだな、と。

    犯人とトリックは納得でしたが、
    他の人のレビューにあるように、
    動機とか関係がイマイチわかりませんでした。
    でも萌絵の大切な友達がひとり殺人犯として姿を消すのはとても悲しかったです。
    素生については、
    アンバランスで危うい感受性豊かな人なんだな、
    と杜萌同様に美化してましたが、
    普通の男の人で安心しました。彼女いて良かった。
    いつから、どう生活してるのか気になりますが。

    これまでの作品に登場した人物達に思いを馳せることはありませんでしたが、
    杜萌だけは、何か悲しい気持ちになりました。
    赤松がいなければよかったのに。
    ダメとわかってて惹かれちゃうのは、
    過去の素生に対しての想いへの反発なのかなあ。

    今回の作品は色々と含みを残してるし、
    気持ち的にもモヤモヤが残るのは、
    全く客観的に見れてないからなのかもです。

    昨日頼んだ次作、早く届きますように。

  • 今回は前の巻と同時進行で起こった、萌絵の友人宅での事件。
    単純なようで不可解な事がチラホラと出てきて、やっぱり簡単には解決しない。

    最後に萌絵が事件の真相を突き止めた時には悲しくなった。
    最後の最後に少し救いがあってほっとした。

    犀川先生の登場が少なかったけれど、人伝に事件の話を聞いてトリックが分かるって本当に凄い。
    いつの時点から分かっていたのかな?

    萌絵の叔母さんと犀川先生の会話シーンは面白かった。
    また、犀川先生の妹の世津子さんに良い出来事があってほっこりした。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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