夏のレプリカ (講談社文庫 も 28-8)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062730129

作品紹介・あらすじ

T大学大学院生の簑沢杜萌は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。眩い光、朦朧とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは?『幻惑の死と使途』と同時期に起った事件を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 前作の間の別事件の話。

    犀川先生と萌絵の出番は少なかったけどとても楽しめました。

    このシリーズももぅ少しで終わってしまう。でも森先生の本はまだ沢山あるのでまだまだ楽しめそうである。

  • 大人になるってどういうこと?
    __________________
    欲しいものを手に入れるには何か大切なものを捨てる必要がある。大切な人、お気に入りのもの、価値観や記憶、夢。大事なもの好きなものを全部持ち続けることは出来ない。それができるのが大人。
    逆に、自分自身が犠牲になるということも必要ということが今作からは読み取れました。

    __________________
    『好きだろうが嫌いだろうがそんなことは物事の本質とは、何も関係がない。一瞬の幻に過ぎない。どちらでも良いのだ。』
    __________________
    『若者は好きを求めるのと同じ位のエネルギーを使って嫌いなものを一生懸命探す』
    思わず共感してしまいました。嫌い・ダメな理由の方が饒舌に語れる、語ることで自分の意見が言えてると思ってしまっているなと。

    好き嫌いフィルタを通すことで、見えなくなってしまっているものがあるんじゃないか…穴のない仮面をつけたま歩いている自分を客観視できたように思えます。



    杜萌と萌絵のチェスの局面。大人に近づいている杜萌が白、真っ直ぐ純粋まだ子供要素が強めの萌絵が黒。2人の人間性を鑑みると色は逆じゃないか?とも思いましたが、この設定にはどういう意味があるのだろう…。

    チェスのシーンにもいろいろ意味が込められて作られてると思いますが、駒名もルールも、私の頭にはインストールされてないので、読み溶けていません。将棋ならなんとか妄想できたはず泣

    前作『幻惑の死と使途』と同時期に起こった事件という設定で、前作は奇数章のみ、今作は偶数章のみで構成。中盤から萌絵の、両作間を往来している感じが、作品の形として新しくて楽しめました。

  • S&Mシリーズ7作目!
    奇数章だけという前作に続いて
    今作は偶数章だけ

    ということよりも何よりも
    あくまで前作の奇数章の方で動いてるからか
    今作はS&M視点で話が進まない…

    大半がM=萌絵の親友であり
    今作の事件の渦中の人物でもある
    杜萌視点!

    S&Mの会話や空気感が好きな身としては
    物足りない…
    もちろん2人のちっとも進まない関係は
    出てこないのだから
    尚更進まない…

    杜萌視点だと昔の萌絵と今の萌絵が
    友達目線で同じレベルで描かれるから
    そこは楽しめた。

    今までも萌絵の友達ポジションはいたけど
    今作の杜萌は親友というだけあって
    萌絵の過去を知っていて
    萌絵としっかり繋がっているというか

    それでいて
    同種というか同等というか…

    そして今作は萌絵の代わりではないだろうけど
    萌絵の叔母の睦子さんが
    ちらほら出てきてくれるのが救い。

    「あんなにお優しくてはね、ちょっと大物にはなれません。これ、嫌味じゃなくてよ」
    なんて、叔母さまが言うからこそ素敵。
    乗馬とゴルフの小話も良き。

  • 1998年作品

    萌絵の友人の犯行動機・計画がピンと来なかった。
    なぜ、被害者の元カノと彼、共犯者の彼と萌絵の友人の関係が警察に分からなかったのだろうか??
    盲目の兄について、家族が隠す理由も分からなかった。ノイローゼの治療?お金?
    現実と妄想が分からなくて、困った。そういうミステリーなんだったんだろうか?

  • 今回は前の巻と同時進行で起こった、萌絵の友人宅での事件。
    単純なようで不可解な事がチラホラと出てきて、やっぱり簡単には解決しない。

    最後に萌絵が事件の真相を突き止めた時には悲しくなった。
    最後の最後に少し救いがあってほっとした。

    犀川先生の登場が少なかったけれど、人伝に事件の話を聞いてトリックが分かるって本当に凄い。
    いつの時点から分かっていたのかな?

    萌絵の叔母さんと犀川先生の会話シーンは面白かった。
    また、犀川先生の妹の世津子さんに良い出来事があってほっこりした。

  • S&Mシリーズ7作目。
    今回も一気に読み切りました。

    いつもはパソコンで書いている為、
    なんだかんだと時間が経過してしまうのですが
    (そのお陰で読後の新鮮な気持ちは忘れてます。苦笑)、
    これはすぐ書きたくて携帯で書いています。

    前作のマジシャン殺人事件と同時進行していた、この事件。
    本作は偶数章しかありません。
    その代わりに前作は奇数章しかないです。

    今回は萌絵の友達、杜萌が主人公として物語が展開します。
    3年ぶりに帰った実家で突然仮面の誘拐者に拉致される。
    残りの家族は別荘で拉致されている。
    犯人と別荘に向かったところ、家族を拉致していた犯人達が死体で発見される。
    杜萌と同行していた犯人は逃亡。
    実家に帰宅すると、鍵をかけて引きこもっていたはずの兄だけいなくなっていた。。

    後半で、犀川先生、萌絵が登場し、
    物語の謎が解明されていきます。

    昨日の夜、あまりの眠さに読書を中断したんですが、
    どうしても気持ち悪さが残って、
    皆さんのレビューを読みました。
    犯人がわかって、まさか…ああ…ってなったんですが、寝ました。苦笑

    何でこんなに続きというか、
    犯人が気になるんだろう、と思ったら、
    今回は萌絵の友達が事件に巻き込まれ、
    客観的ではなかったからだ、
    と犀川先生の言葉を見て思いました。

    今までの時間は、
    犀川先生と萌絵の(私の中では)
    外側で起こっている事件だから、
    少し離れて見てたんだな、と。

    犯人とトリックは納得でしたが、
    他の人のレビューにあるように、
    動機とか関係がイマイチわかりませんでした。
    でも萌絵の大切な友達がひとり殺人犯として姿を消すのはとても悲しかったです。
    素生については、
    アンバランスで危うい感受性豊かな人なんだな、
    と杜萌同様に美化してましたが、
    普通の男の人で安心しました。彼女いて良かった。
    いつから、どう生活してるのか気になりますが。

    これまでの作品に登場した人物達に思いを馳せることはありませんでしたが、
    杜萌だけは、何か悲しい気持ちになりました。
    赤松がいなければよかったのに。
    ダメとわかってて惹かれちゃうのは、
    過去の素生に対しての想いへの反発なのかなあ。

    今回の作品は色々と含みを残してるし、
    気持ち的にもモヤモヤが残るのは、
    全く客観的に見れてないからなのかもです。

    昨日頼んだ次作、早く届きますように。

  • 幻惑の死と使途と同時進行。
    幻惑の死と使途は奇数章しかなく、こちらの夏のレプリカは偶数章しかない。
    面白い手法だなぁと思う。

    どちらかというと、幻惑の死と使途の方が重たく深い感じがする為、順序が逆の方が良かったのでは?と思うが、このシリーズ作はどれも程よく楽しめる。

    幻惑の死と使途と連続している為、余計に犯人に意外性があった。

    しかし、どんどん犀川先生の出番が減ってないかな・・・。

  • ううむ。難しいですね、これは。
    前作の「幻惑の死と使途」とほぼ同時に起こった出来事で、予想通りこちらは偶数だけの章でした。

    犀川が「名前が逆だったていうのには、気がついていた?」というのは「幻惑の~」とリンクする面白い発言でした。犀川の概念では人が逆なのではなく、名前が、なのですね。

    以前、何かの本で読んだ『ミステリーにおけるルール違反なトリック』に"実は犯人は双子だった"というのがありました。「幻惑の死と使途」を読んだときにこれを思い出してギリギリだなあと思ったんですが、そこに"語り手自身が犯人だった"も書いてあったような気がして、これまたどうなんだろう、と思いました。
    ルール違反であろうが、なかろうが私は好きではないんですが、このお話は何だか許せる気がして不思議な気分”です。
    ”推理”小説というのは誰にっての”推理”(小説)なんでしょうね。

    何だか許せる気がして、というのは何となく2点あって、一点は自分がやったことであっても、ショック過ぎて記憶が抜け落ちたり、すり替えたりすることがあると医学的に証明できるのではないかと思うからです。
    もう一点はまあ同じようなものなのですが、気付かなかったということ。事情を知らないが故に他人を傷つけるような発言をしていたり、振り向いた拍子に死角にいた人に鞄をぶつけてしまったり。
    違いはたぶん、自分がやったと認識しているか・していないかだと思うのですが。
    そういうことが実際あると思うので、杜萌もどちらかだったのかもしれないという寛容な見方です。
    あと、近い感覚にわかっているのに意識の外にあって気付かない、というのがあって、探し物をしているときにすぐそこにあるのに、全然見えていないみたいなこともありますよね。
    以前に読んだ京極夏彦の「姑獲鳥の夏」もこんな感じで、その時は有り得ないと思ってましたが、人の感覚って曖昧というかちゃんと意識していないと結構穴があるんだと思います。(穴‥?)

    読み終わってからもずっと色んなことを考えてて、このシリーズでこんなに考えたのは初めてでした。
    しばらく考えたら何かまとまるかと思ったけれど、何もうまれませんでした。
    杜萌がどうしてダメ男に惹かれたのかも、素生とのことも、素生があの部屋から何時どうして出て行ったのかも、どうして兄を自分が殺したと杜萌が勘違いしていたのかも、素生が生きているのかどうかも全部よくわかりません。
    萌絵が新幹線で帰るときはケロッとしているのも怖いです。杜萌の部屋に杜萌が犯人で人を殺したということを知ったときにうまれた感情すべてを置いてきたのかもしれません。
    いろいろな種類の複雑な感情を一人で抱え込むことは誰でも難しいです。一番尊敬し、信頼し、敬愛している人の前ではどんなに抑え込んでいても漏れてしまうと思います。
    話としては最後、東京駅で萌絵が素生に出会うところは偶然を甘く見過ぎ(適当な言葉がない)だと思いますが、もう何でも良いような気にすらなりました。
    レプリカという言葉は偽物というような意味だと思っていましたが、本来はオリジナルの作者自身によって作られたコピーという意味のようです。
    萌絵はずっと杜萌のレプリカを通して事件を見ていたし、それは読む側も同じなのかもしれません。
    正しいことなんて、本当は何も書かれていなかったのかもしれない。
    (誰が何をもって正しいと判断するのかもわからないけど)

  • 幻惑の死と使徒の裏で動いていた事件のお話でした。萌絵ちゃんと杜萌のチェスのシーンが良かったですね。最後、殺されたはずの人物が登場しますが、??となりました。どなたかわかる人教えていただきたいです。

  • 真相後、ある人物との偶然の出会いが、読み手の理解を惑わせる…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    お嬢様大学生・西之園萌絵は、高校時代の親友・簑沢杜萌(みのさわともえ)と久しぶりの再会を果たした。
    しかしその後、実家に戻った杜萌、そして杜萌の家族も、何者かに誘拐されてしまう。

    不可解な出来事のあと、無事に解放された杜萌と父母・姉だったが、誘拐されなかった盲目の兄・素生(もとき)の姿が見当たらないことに気づく…

    誘拐犯の真の目的とは?
    そして兄・素生はどこに消えてしまったのか…?

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    S&Mシリーズ第7作。
    第6作の事件とほぼ同時期に起こった誘拐事件とされており、「夏のレプリカ」には偶数章しかない構成になっています。
    そのため、シリーズレギュラーの萌絵と犀川助教授も、2/3ほど読んだところでやっと登場しており、前半は杜萌とその周囲の様子が延々と語られています。
    この下りが正直長い。長すぎるのです。

    やっと犀川が登場したかと思ったら、犀川が発するキーワードは本作ではなく、実は第6作の事件のキーワードだったりするため、ものすごく混乱しました。
    また、犯人がわかったあともその動機については上辺をさらっと撫でた程度しか文書になっておらず、その先は読み手の想像に任されています。

    まだそれだけなら☆3つだったのですが、ラストで萌絵がある人物と偶然再会したことにより、わたしの思考は一気に大混乱しました。
    読み終えたわたしの第一声は「え、どういうこと?!」でした。

    誘拐事件のトリックと犯人は判明したのに、それは知りたかった謎のごく一部に過ぎず、本当に知りたかった謎については情報があまりにも少ない中、「自由に想像してくださいね」と、バトンをポンと渡された感じがして、ものすごくもやもやしました。
    読み手に託された「真相はご自由に想像してね」の分量があまりに多すぎると、こんなにも、すっきりしないものなのだな…ということがよくわかりました。
    また「夏のレプリカ」というタイトルと内容の整合性も今ひとつ腑に落ちませんでした。

    あ“ーーーーーもやるーーーーーー!
    (しつこい)

    しかしながら、もやもや感は抱えつつもなんだかんだで最後まで読まされてしまった…読み切れてしまったのが、ヤラレタ感がすごくて悔しいです(日本語になってない)。
    いろいろともやもやポイントはありつつも、最後まで読み切れたことを加味して、☆2つとさせていただきました。

    さて第8作に向かうぞー!

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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