夏のレプリカ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 5345
レビュー : 437
  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062730129

感想・レビュー・書評

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  • 死と使徒のB面だけれど、どれだけ内容の濃いアルバムなのかと。感性だとかそういった類の、萌絵の人間らしさの表出が一番感じられる気がする。

  • 【あらすじ】
    T大学大学院生の簑沢杜萌は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。眩い光、朦朧とする意識、夏の日に起きた事件に隠された過去とは?
    『幻惑と死と使途』と同時期に起こった事件を描く。
    【感想】
    このお話は二つの意味ですごいと思った。一つは、『幻惑の死と使途』という話と連動しているところ。そしてもう一つは、起こった事件のことも家族のこともすべてにおいてが、異様なところ。一つ目の方で、この異様さについてもっと萌絵に関わって欲しかったけれど、向こうの事件があってそれができなかった。もう一つのその異様さ。普通の人からして見たら、普通だとは思えないだろうと思うことを普通にしている。情報や状況が錯綜しすぎていて何が何だかわからなくなっていた。でも、杜萌と杜萌の詩人のお兄さんを描いた、和やかなシーンは好きだなあと思った。

  • 『幻想の死と使途』と同時期に起こった萌絵の友人、簑沢杜萌の話であり、簑沢家で起こった誘拐事件と誘拐された先、別荘での殺人事件の話でした。
    杜萌が家に帰ると政治家である父と後妻である母と実の姉は誘拐された後。義理の兄は行方不明。杜萌自身も誘拐犯の仲間に監視されることに。
    そして全員が別荘に集まった時、仲間割れと思われる銃声が響き、誘拐犯の遺体が二体。いったい誰が殺したのか。
    途中からイリュージョニストの事件を解決した萌絵と犀川先生が加わり、事件の詳細が徐々に明らかになります。
    兄はどこへ行ったのか。あの夏の出来事は。誘拐犯を殺したのは誰か。
    わからないままで終わった方が、萌絵にとってはよかったのかもしれない事件。
    でも犯人は、正直そりゃないよと言いたくなりました。記憶違いとそんなつながり出てないよ、と。

  • 今回はヒントが多くてわかりやすかった

  • 前作「幻惑の死と使途」と対になり、偶数章のみで構成。さらに、全て「偶」から始まるタイトル。


    第2章 :偶発の不意
    第4章 :偶感の問
    第6章 :偶後の思惟
    第8章 :偶詠の悔い
    第10章:偶然の差異
    第12章:偶合の恣意
    第14章:偶人の舞
    第16章:偶成の無為
    第18章:偶像のせい

    =================

    「幻惑の死と使途」と同時並行で読んだ。文中でいうところの、西之園萌絵状態である。
    両者は事件として、ミステリィとして、しっかり区別されて展開されているのだけど、登場人物がクロスオーバーする点はスムーズに、且つ、整合性美しく書かれていて、矛盾は一切なし。森博嗣の頭の中はどうなっているのだろう?と改めてこの人の着想はすごいなと実感。

    本作では、今まで幾つもの事件に巻き込まれ、時に生命さえも狙われることがあっても、大きく動揺することのなかった萌絵がぽろぽろと涙を流す、非常に辛い展開が待っていた。私史上初めて、森博嗣のミステリィで心がぎゅっとなった。

    それにしても…犀川先生は謎解くの早すぎます。

  • 3
    幻惑の死と使途と同時期に起きた誘拐事件の話。萌と同級生で親友の簑沢杜萌を中心に話が進む。犀川が事件にほとんど関与せずあまり出てこなくなり萌の全て分かってるアドバイザーな感じ。ところどころに含蓄のある言葉がある。自分は怯えて何もできず作業してるだけなのに子供には新しいことに挑戦させようとする。忙しくしてる方がなんとなく安心。
    なかなか面白い。

  • 意外な犯人だったことについては面白かったです。しかし、もう少しそうなってしまった経緯等もっと説明がほしいなと思うところがありました。(わざとうやむやにしているのだと思うのですが)萌絵にとっても忘れなれない事件になったのではないかと思うので今後の作品にどう影響してくるのかが楽しみ(?)です。

  • 「幻惑の・・・」は奇数の章だったが、こちらは偶数の章である。同じタイミングで別の事件が起きていた。その中心になっていたのが、萌絵の友人の杜萌。正直言うと、前回の作品よりも、こっちのほうが好きかもしれない。しかし、ちょっと安易な感じがしてしまう。犯人にしろ、トリックにしろ何かレトロな感じがしたのは気のせいだろうか。時間的な流れは、両方の本を読むと面白いとは思う。

  • 都内の大学院生の主人公が夏休みを利用して帰省し、誘拐事件が発生した。誘拐されたのは主人公の家族。後に殺人事件となるが、殺害されるのは誘拐された人物ではなく、誘拐者が殺害される。S&Mシリーズを7作読了したが、一番異端な作品だと感じる。前作「幻惑と死と使途」と同時期に発生した事件で、密接に関係していると思われるかもしれないが、そうでもない。ただ単に、同じ軸で進んでいるという表現を使いたかったのだろう。伏線を気にされる方は順番に読むのが望ましいが、単品で読んでも違和感なく読むことが可能。さて、トリックを解くカギとなるのは「主観性と客観性」、「乗り物」だろうか。私の中では大きなカタルシスを味わえた作品だったので、満点を付けることにした。

  • S&Mシリーズ第8弾。前刊とほぼ同時期に別場所で起こった事件の話。なので、萌絵と犀川は終盤にさしかかるまで登場せず。犯人と犯人と目された人とのなれそめを含めた関係性描写がもっと欲しかったのと犀川があっさりと真相に気付いたところのロジックを深掘りしてほしかった。

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著者プロフィール

森 博嗣(もり ひろし)
1957年、愛知県生まれ。作家、元研究者。名古屋大学工学部建築学科、同大学大学院修士課程修了を経て、三重大学工学部助手、名古屋大学助教授。名古屋大学で工学博士を取得し、2005年退職。学会で数々の受賞歴がある。
作家として、1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞し、同作で作家デビュー。S&Mシリーズとして代表作の一つに。『スカイ・クロラ』シリーズは本人も認める代表作で、2008年アニメ映画化された。その他にも非常に多くの著作がある。

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