- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062730150
感想・レビュー・書評
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数ある浅田作品の中でもぜったいおすすめです!
60年代の麻布界隈に住む不良高校生とその家族の話です。
泣けて心温まります。
60年代の東京という舞台も最高です。
あずままさん 42歳女性 主婦詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
55冊目。
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初版本
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浅田次郎自信の青春
映像化されえば『オールウエイズ 三丁目の夕日』を軽〜く超えるでしょう!
楽しいことや、悲しいことにとても敏感なひとが生きていた時代なのでしょうね!
『簡単さ。笑うときは大口をあけて笑う。ワッハッハ』
『そうだ。そんで、泣きたくなったら奥歯をグイと噛んで辛抱する』
『オーケー。男は毎日それのくり返し。一生それのくり返しーーーー』
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短編8つ、かと思えばさにあらず。これは1冊の小説です。冒頭から2編までは、あたしらからしたら、親の世代の青春モノかと思った。ひとつ前の世代の青春モノって拒絶感あるのよね。それを否定して次のスタイルにのっかってきた世代だから。なんか気恥ずかしい。退廃感とか銀幕の中のようなカッチリとした装飾感っつーか、、「ださっ」って思う世代よ。きっと今の子が読んだらこういう青春時代、逆にかっこいいかも。
でもそういう物語じゃないんだよね、読むうちに、だんだんわかってきた、これは、「写真家、伊能夢影」の物語。その孫である僕の目線で話は進むけれど、この1冊で描かれているのは、祖父の姿。そして今は西麻布となり消えてしまった「霞町」へのオマージュ。東京が全国各地の集合体みたいになってしまう前の、消えていく「東京という地方性」の哀しさみたいなもの。実はまだ浅草とかあのあたりには、江戸の名残はありそうだけれど。西麻布あたりの、盛り場の真ん中で育つような地理的条件の不良な青春ってのはもうないかもねー。飲酒運転も未成年の喫煙や不順異性交遊も、ここまでフリーなかんじはもう逆に東京ではあり得ないんじゃないかな。それぞれの短編の出来事の時間が前後してるのがまたぐっと来る。祖父の葬式の「青い火花」これは最後まで読んでもういちどこの章を読んで、味わってほしいな。私としては、∞に合わせられたライカの焦点を最後の場面にして本を閉じたいところだ。でも、話としては、やっぱり、卒業写真のこの話が最後にくるよね。消えてしまった霞町の霧を眺めることができるのは、今はもう僕だけなんだろうから。うーん。読んでない人には全く伝わらなそうな備忘録感想で申し訳ないけれども、これは、「今はもう消えてしまったキラキラしたもの」が詰まった一冊です。家族を縦に貫くものとか高校生がもっとオトナびていられたフリーな青春とか江戸っ子という生き方とか。ほんとはおばあちゃんを主人公に別冊を書いてもらいたいくらいだけれど、これは あの写真館から生まれた物語だから、写真館ができる前のおばあちゃんの昔なんかをたどるのは「野暮」ってことでしょう。なくなってしまったもの、仕方ないもの、なくなるべきでなかったもの、今も変わらないもの。いろんな角度でこれ、今の高校生の道徳教材にしちゃっても面白いかも。なんか、読後のあとに引くものが多い世界感。5−60代の方なら泣ける方多いかも。さりげなく実家においてこようかな。。。。 -
この時代っつーか、この時代のこの階級の人の暮らしにあまりシンパシーを抱かないのでやや辛目のランクになっちゃった連作短編集。
面白いけどね。
夕暮れ隧道、青い火花、雛の花。 -
青山と麻布と六本木の台地に挟まれた谷間には、夜が更けるほどにみずみずしい霧が湧く。そこが僕らの故郷、霞町だ。あのころ僕らは大学受験を控えた高校生で、それでも恋に遊びにと、この町で輝かしい人生を精一杯生きていた。
浅田次郎が初めて書いた、著者自身の甘く切なくほろ苦い生活。感動の連作短編集。
この作品の中に出てくる場所などの名前はすべて実在のものらしい。
「霞町」という地名は地図から消えて久しいらしい。
本文中に登場するディスコ、"パルスピード"も実在するらしい。
そして主人公は、浅田氏の分身とも言える…らしい。
らしい連発。
浅田次郎は、この物語を、今社会で必死に生きている40代、50代に向けて書いたらしい。
リーゼントに櫛を通したり、コンテンポラリースーツとやらを着たり。
父ですらまだ40代前半だから……
私としては、テレビで見たことのある、あるいは両親が話してくれたことのある、昭和の街並みがモノクロで頭に浮かび、何だかタイムスリップしたような気分になるのだ。
駄菓子屋にいる時のような、どことない懐かしさを感じもする。
いや、私は平成生まれだけども。
この作品、短編集なのだが、どの話も主人公の"ぼく"視点の話だ。
だけど、時間軸のずらし方がすごく巧み。
一話目は二十歳ごろ、二話目は高校生、三話目は小学生、四話目はまた高校生……と言ったような。
全部が別個の物語の顔をしながら、どこかで繋がっているのだ。
あれ、この人、さっきも出てなかったっけ?
さっきの話で名前出てたような…
とか、こんなのが多い。
時間軸が巧みにずらしてある作品は大好物。
この小説は、構成がほんとに好き。
浅田氏の作品は、いつもどこか暖かい。
ほっこりとしてしまうのです。
そこが好き。
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浅田次郎が自分自身をモデルに書いたと言われる小説。
霞町は、いまの麻生とか六本木あたりらしい。
短編に別れていて読みやすい。若かりし浅田次郎、かっこ良い。 -
古臭い題名だけど、内容はそういうんじゃなくて、若者の男の生き方とか心意気が描かれていてすごいかっこよかった。
高校の時の青春を思い出したりした。 -
切なくて悲しくて懐かしい。
ブルーバードSSSやファミリアプレスト・N360などまさに自分の若かれし頃そのまま。
しかし浅田次郎って傲慢なのか、優しいのか、ロマンチストなのか。読むほどに解らなくなる。