- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062730334
感想・レビュー・書評
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単身赴任の功罪で、ひとりでいる時間が増えたため、内省的に自分を見つめ直せるようになった。内省的に考えるとは、自分がなんの投影なのか、つまり陰を生じさせる光源を探る営為だ。僕にとっての重要な光源は間違いなくハイデガーに代表される「実存主義的」な思考だった。異論はあろうかと思うが、「実存主義的」とは二律背反を極端に追及した方法論である。『マクベス』において三人の魔女が口走る「きれいはきたない、きたないはきれい」という呪文が端的に示すように、あらゆる事象が極端に肯定/否定される振幅の激しい考え方だ。苛烈に行動することでしか「生きている」実感を得られない、ある種の中毒状態であり、それを主人公の矢吹駆は「革命家の本質」と定義するが、はたしてそうだろうか? 言及していることは観念的でもっともらしいが、発作的に暴力を振るったり、爆弾テロで「プチブル」たちをブッ飛ばすという暴挙に飛びついたり、カジノで全財産を賭けたりするような行為は、癇癪を起こした子どもと変わらないのではないか? 世の中をガラリと変革することなんて幻想にすぎない。現実を抱きしめることでしか、僕らは今日一日を生きたと実感し、一歩前に進めないのだ。
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笠井は暴力すぎる。テロル。
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09/08/24読了。
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駆の過去が見れる番外編です。これに出てきたニコライという神父はニコライ・イリイチだったのか気になります。
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矢吹シリーズ番外編(たぶん)。暴力的で怖い。これが彼の原点かと思うと辛いかなあ…
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共感できず
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笠井潔さんの「熾天使の夏」
すごく主人公のどろどろした感情というか押し殺した感情がある。