熾天使の夏 (講談社文庫 か 54-6)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062730334

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  • 単身赴任の功罪で、ひとりでいる時間が増えたため、内省的に自分を見つめ直せるようになった。内省的に考えるとは、自分がなんの投影なのか、つまり陰を生じさせる光源を探る営為だ。僕にとっての重要な光源は間違いなくハイデガーに代表される「実存主義的」な思考だった。異論はあろうかと思うが、「実存主義的」とは二律背反を極端に追及した方法論である。『マクベス』において三人の魔女が口走る「きれいはきたない、きたないはきれい」という呪文が端的に示すように、あらゆる事象が極端に肯定/否定される振幅の激しい考え方だ。苛烈に行動することでしか「生きている」実感を得られない、ある種の中毒状態であり、それを主人公の矢吹駆は「革命家の本質」と定義するが、はたしてそうだろうか? 言及していることは観念的でもっともらしいが、発作的に暴力を振るったり、爆弾テロで「プチブル」たちをブッ飛ばすという暴挙に飛びついたり、カジノで全財産を賭けたりするような行為は、癇癪を起こした子どもと変わらないのではないか? 世の中をガラリと変革することなんて幻想にすぎない。現実を抱きしめることでしか、僕らは今日一日を生きたと実感し、一歩前に進めないのだ。

  • 笠井は暴力すぎる。テロル。

  • 09/08/24読了。

  • 駆の過去が見れる番外編です。これに出てきたニコライという神父はニコライ・イリイチだったのか気になります。

  • 矢吹シリーズ番外編(たぶん)。暴力的で怖い。これが彼の原点かと思うと辛いかなあ…

  • 共感できず

  • 笠井潔さんの「熾天使の夏」
    すごく主人公のどろどろした感情というか押し殺した感情がある。

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著者プロフィール

作家・評論家。1948年東京生まれ。
79年『バイバイ、エンジェル』でデビュー。98年編著『本格ミステリの現在』で第51回日本推理作家協会賞評論その他の部門を受賞。2003年『オイディプス症候群』と『探偵小説論序論』で第3回本格ミステリ大賞小説部門と評論・研究部門を受賞。主な著作に『哲学者の密室』『例外社会』『例外状態の道化師ジョーカー』他多数。

「2024年 『自伝的革命論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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