アメリカの夜 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.47
  • (52)
  • (68)
  • (153)
  • (22)
  • (4)
本棚登録 : 708
レビュー : 82
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062730570

作品紹介・あらすじ

映画学校を卒業し、アルバイト生活を続ける中山唯生。芸術を志す多くの若者と同じく、彼も自分がより「特別な存在」でありたいと願っていた。そのために唯生はひたすら体を鍛え、思索にふける。閉塞感を強めるこの社会の中で本当に目指すべき存在とは何か?新時代の文学を切り拓く群像新人文学賞受賞作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 再読。著者のデビュー作。気色悪い人物描写は既に紛れもないアベカズたらしめております。おちょくっているのか真剣なのか、紙一重の計算高さが厭らしいったらありゃしない。素直に著者への愛を認めたくない、そんなわたしの偏屈な一面をあらわにしてくれる特別な存在でございます。ええ、いずれまた読みますとも。

  • 初めて阿部和重作品を読んだ。ある男性(唯生)についての話。語り口調。一文が長くて改行が少なく、前の文章に引きづられて話がよく脱線するため、慣れるまでは少し読みにくい。話が進むにつれて、唯生の言動、挙動がどんどん面白くなっていく。後半は何度も笑った。

  • 84点。特別な存在でありたいと願う主人公は、ひたすらに体を鍛え、思索にふける。主人公と語り手は同一人物なんだけど分裂し、ひたすらに自己言及しまくる。タイトルはトリュフォーの映画そのままだが、主人公が至るところはこの映画、もっといえばヨーロッパ映画的な主題に通低するもの。現実の虚構化、日常の演劇化、みたいな。

    映画や小説を「泣けたわ」「笑えたわ」とシンプルな感想を吐くだけの一娯楽として、あるいはコミュニケーションのネタとして消費する昨今の潮流に逆らい、批判的精神を常にもちメッセージを見い出すべき、みたいな一昔前の教養主義的なお寒い考えで映画鑑賞や読書にひねもす明け暮れながらも、目的があるわけでもないので、当然仕事なぞするわけもなく、のんべんだらりとした生活を送っているか、そうありたいと心から思っているタイプには強く共感できる内容。
    なんと気恥ずかしくもピュアな青春小説だと思うに違いない。

  • どっかで見たことある文体だとおもったら、蓮實重彦だった。

    この主人公なんか知ってるとおもったら、ああ、これ、自分か、って気になった。もちろん、こんなふうに自己言及はできないんだけど、読んでいて、始終いたたまれない気持ちになったのは、「唯夫」の考え方だとか、行動だとかが、いかにも、わたしの好きそうな、やりそうなことだったせいだと思わざるをえないんだぜ。

  • この小説の語り口には何だか親近感がわいてしまいました。すごく可笑しい…。真剣だからこそ可笑しくて、もちろんそこは意図して書いてるんだろうけど、実際に自分で自分を追究する時の滑稽さは客観視するとそんな風なんだろうと思うし、その真剣さもよくわかるな。自分のことのように恥ずかしく、また、それでいいか、とも思う。

  • 阿部和重はこれで三作目だが、いわゆるテクスト論的な眼を嘲笑うかのような露骨さと自己言及が相変らずで、ここに描かれるどうしようもない自意識は滑稽であるけれどもああわかるなあとも思う。

  • 自己の存在理由及び価値を過去の人々に求める。
    誕生日が一緒だとか、誕生日の日にちの持つ意味に求めたり。自分の存在が特別であるという思いを確実にしたい為に、目や耳にした拠り所に縋る思いは若いから?それとも芸術系だから?身に覚えがある感覚ではある。

    途切れのない文体や、意味がない様な内容の羅列が最後にタイトルに繋がる所は面白かった。

  • 「特別」でありたいと願い、「春分のひと」であることに「特別」を見出して、Sホールでアルバイトをする美大生の中山唯生。「春分」と「ドン・キホーテ」と「ブルースリー」のモチーフがちょくちょく出てくる。
    前半が難しく、というか論文調だけど語彙が噛み合わないのかリズムが悪いのか、ぎこちなくなんとも読みにくかった。後半の特訓の話、映画撮影のドタバタになるとするする読めるようになり、唯生の有り余った自意識過剰さが「哀れ」で面白かった。「春分の日」たる「小春日和」の理論はいまいち謎。

  • 読み終わってしばらく酔っ払っているかのような、一発キメテいるかのような浮遊感。
    パンチの効いた一冊。

  • クライマックスで爆笑した。不条理でまるで空気を読まない暴力にウンコの姿を思い出す。

全82件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1968年生まれ。『アメリカの夜』で第37回群像新人賞を受賞し作家デビュー。’99年『無情の世界』で第21回野間文芸新人賞、2004年に『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞・第58回毎日出版文化賞、’05年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞、’10年本作で第46回谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞。他の著書『クエーサーと13番目の柱』『IP/NN 阿部和重傑作集』『ミステリアスセッティング』ABC 阿部和重初期作品集』対談集『和子の部屋』他多数。

「2013年 『ピストルズ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アメリカの夜 (講談社文庫)のその他の作品

アメリカの夜 Kindle版 アメリカの夜 阿部和重
アメリカの夜 単行本 アメリカの夜 阿部和重

阿部和重の作品

アメリカの夜 (講談社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする