みんなの秘密 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 888
感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062730648

作品紹介・あらすじ

普通の人などひとりもいない……。人間の秘め事を描く連作小説。

男と女、心理と生理のなまめかしい絡み合い
倉田涼子、34歳。キスに対して少女よりもおぼこな人妻は、不倫という甘い蜜を手に入れた。キスだけの淡い恋に酔いしれ、その先の関係におそれおののくが……「爪を塗る女」。何かを隠して生きている妻、夫、娘、愛人たち、人間の密やかな喜びと切なさを描く連作小説集。
第32回吉川英治文学賞受賞作

感想・レビュー・書評

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  • 短編集だと思って購入し、一編目を読み終わった段階では、最後まで読み切る自信がなかった(´・ω・`)

    でも、二編目に入ったとき「おや?」と思った。一編目で脇役だった人物が主人公になっている。
    この作品はリレー形式で、前編で脇役だった人物が次に主人公になるように進んでいく。

    登場人物が、ほんのちょっとずつ秘密を抱え生活していくことで、最後には…

    この作品の登場人物は、年齢、環境、経験など様々だが、何か満たされないものを感じ、それを満たすために抗う。その抗い方も様々だ。

    見えない秘密。見えないが存在を感じる秘密。子の作品の続編があるなら、ぜひ読みたい( •̀ᄇ• ́)ﻭ✧

  • 物語の主人公が連鎖的に変わっていく。
    当たり前のことだが、ひとりひとりがその人生の主人公であることを実感した。

  • まだ本に出てくる人々の大半の年齢より若いため、共感できる部分は少なかったが、今後そう思うような事があるのかと思うと少し怖くなった。人間の本質や汚い面を文字で読むことで改めて考えさせられた。

  • あらすじには『人間の密やかな喜びと切なさを描く』とあったけど、人間の汚いところばかりを集めたみたいで、最後まで読みきれなかったです。

    汚いところがあるのはもちろんわかっているけど、こんなに集められると!うっ!ってなっちゃいました。笑

    林真理子さんの本は初めてだったのですが、いろんな人間をいろんな視点から描いてそれが全部リアルで、すごかったです。

  • オムニバス形式で恋愛絡みの秘密が示されていく。
    前の話で出てきた登場人物が他の人の目だとまた異なる人物像に映るのが面白い。
    表面の印象と中身って違うものだと感じさせられる。

  • 2021年8月31日読了。家族・夫婦・不倫などの愛情のもつれや、地位・生活・生まれ育ちなどのしがらみに翻弄されたり克服しようともがく男女の12の物語。前の話の登場人物が別の視点で次の話の登場人物になっていくリレー形式、の小説は珍しくないが、中年の男女のそれぞれのエゴを描くのとともに、その娘(なぜか息子は主人公としては登場しない)たちによる両親への幻滅・そんな両親によって今の自分があるという諦観みたいな視点もあり、一面ではない非常に複雑な読後感を得られる。夫婦でも親子でも、人間は他人でありわかり合うことはできないが、それでも相手に何かを求めようとしたり、自分を理解してもらおうとあがく登場人物たちは一様に真剣で滑稽だが、著者の筆力もあり、他人事にできない迫力が感じられた。しかし、世の中の夫婦ってみんなこんな感じに惰性とあきらめのもとに家族生活を送っているものなのかね…。

  • 後味悪い

  • 12の短編小説。
    一話目の小説に出てきた登場人物の一人が、二話目の主役になって…と繰り広げられます。

    爪を塗る女
    悔いる男
    花を枯らす
    母の曲
    赫い雨
    従妹殺し
    夜話す女
    祈り
    小指
    夢の女
    帰宅
    二人の秘密


    凄いですね。こんなお話思いつくなんて。

    「祈り」の早川君代の気持ちが少しわかるかな。
    地方出身で…
    実家に娘を連れて行くと、汲み取りトイレをいやがり…
    私の父の実家が、汲み取りではないですが、トイレが怖かったなぁ…とか…
    自分の実家に夫や子どもを連れてかえるのが、面倒とか…。

  • 2022.10.12 読了

  • 女性も男性も、お金持ちでも良い容姿を持っていても、くだらないというか異常なところがあるよな〜(この小説ほどかは分からないけど)あるある、と読んでいて共感しました。

    とはいえ、この小説に出てくる、地位や名誉のために生きる事!みたいな価値観にはなかなか共感できませんでした。時代の影響はそこそこあると思います。それこそスノッブな家の生まれならもう少し共感できたかな。
    浮気、不倫が多いので(しかも全て絶妙にリアリティがある)生々しさにちょっと疲れました。

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著者プロフィール

1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍する。1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を刊行し、ベストセラーとなる。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で「直木賞」を受賞。95年『白蓮れんれん』で「柴田錬三郎賞」、98年『みんなの秘密』で「吉川英治文学賞」、13年『アスクレピオスの愛人』で「島清恋愛文学賞」を受賞する。18年『西郷どん!』がNHK大河ドラマ原作となり、同年「紫綬褒章」を受章する。その他著書に、『葡萄が目にしみる』『不機嫌な果実』『美女入門』『下流の宴』『野心のすすめ』『愉楽にて』『小説8050』『李王家の縁談』『奇跡』等がある。

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