喜知次 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062730778

感想・レビュー・書評

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  • 感動した。再々再読した。美しく哀しい光彩を放つ。

  • タイトルは「喜知次」だけど、内容は3人の若者の生き様とかの方が楽しかった。
    幼い頃は身分に関係なく友達だったのに、世の中に翻弄されてそれぞれが望む望まないに関わらず違う道をたどっていく。

    でも心の中にはそれぞれの友への思いがあって、この3人の友情に関しては読み応えがあった。

    喜知次はタイトルだけど、あまり印象に残らなかった。かな?
    可哀相ではあるけれど。。ね。

    それにしてもこの時代の背景を読むにつれ、今の日本の権力闘争にばかり力を注ぐ政治家達とダブってしまった。

    今の日本にも維新のような革命が必要なんじゃないか。という気がした。

  •  身分は違えど仲の良い少年3人の成長、藩内派閥抗争による父親の死と仇討ち、兄と義妹の恋心、この3つの軸が絡み合った長編大作、411頁、一息に読了。 乙川優三郎「喜知次(きちじ)」、1998.2刊行、2001.3文庫。3つの軸ではありますが、主題は、12歳の日野小太郎(後の弥平次)と6歳で日野家に養子に来た義妹・花哉(かや)(小太郎に喜知次と呼ばれていた)の2人の「浪漫」に間違いないと思います!

  • 上町63マスター推薦本
    付箋
    ・喜知次 ありふれた魚 成魚はアカジとも呼ばれ
    ・五年、六年先のことがひどく遠いことのようにも、すぐそこにあるようにも思われた
    ・酒はゆっくりとやれば体にも馴染むし味わいも深くなる
    しみじみとそんな人生もあるのかと一筋の愛を貫いた女性の強い気持ちを感じることができた

  • 予備知識なしに勧められて読み始めたら引き込まれて2日で読了。東北の藩の元服前の侍の若者3名の青春群像劇、藩の改革派と保守派の確執、暗殺陰謀、義妹への想い、といったプロットが巧みに織り交ぜられて話がすすむ。複数の登場人物のキャラや置かれた立場の描き方も秀逸。広げた風呂敷を本の終盤に一気に回収する手法も見事。いい話だった。

    オークランドに飛ぶ飛行機を成田で待ちながら読了。

  • 藤沢周平の名作「蝉しぐれ」を思わせる作品です。少年三人と幼い恋の少女一人。主人公は藩の復興を目指し少年から青年へ。そして盛りを過ぎ始めた頃の少女との再会。物語りの大きな流れも似ていますし、全体を通して感じられる清冽でしっとりした雰囲気も似ています。
    もちろん単なる物まねでは無く、一つの世界が出来上がり、素晴らしい作品になっています。
    この人の文章はよほど私の性に合うのでしょうか、適度な湿度感と手触りの良さを感じさせ、物語にどんどん引き込まれていきます。
    ただ、この作品の最後には大きな「傷」が有ります。最終章につなぐための伏線ですが、そのために丸々一章が安出来なメロドラマになってしまいました
    そこさえ上手く処理できれば「蝉しぐれ」に比肩し得る作品になれたかも。とても残念です

  • 久しぶりの乙川優三郎。
    幼なじみの小太郎、台助、猪平が藩内の派閥闘争に巻き込まれながら、それぞれの生きていく道を探していくという筋は、さながら藤沢周平や葉室麟を彷彿とさせるのだが、必ずしも三人がお家騒動の本筋では無く、翻弄される役柄というのが乙川ならではの世界。
    翻弄されながらも、藩を立て直すために行政改革への意気を見せる小太郎だが、仄かな思いを寄せあっていた義妹とは運命の波に翻弄されるところは、藤沢・葉室的な、あるべき読後感とはまた異なる思いを残す。
    やはり乙川さすがです。

  • 時代小説
    少年、青年期の心の移り変わりがよく描写されている

  • 義父からもらったシリーズ。
    初めて読む作者。直木賞候補作品。
    江戸時代小藩の裕福な武家の嫡男の成長を描いていた。
    おもしろかった! 他の作品も読んでみよ。

  • 再読了。

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著者プロフィール

1953年 東京都生れ。96年「藪燕」でオール讀物新人賞を受賞。97年「霧の橋」で時代小説大賞、2001年「五年の梅」で山本周五郎賞、02年「生きる」で直木三十五賞、04年「武家用心集」で中山義秀文学賞、13年「脊梁山脈」で大佛次郎賞、16年「太陽は気を失う」で芸術選奨文部科学大臣賞、17年「ロゴスの市」で島清恋愛文学賞を受賞。

「2022年 『地先』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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