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本 ・本 (544ページ) / ISBN・EAN: 9784062730976
作品紹介・あらすじ
嵐の山荘で起きた2つの密室殺人事件!
隣り合った部屋で死んだ美人姉妹。40歳の私は、西之園嬢と推理する。
避暑地にある別荘で、美人姉妹が隣り合わせた部屋で1人ずつ死体となって発見された。2つの部屋は、映写室と鑑賞室で、いずれも密室状態。遺体が発見されたときスクリーンには、まだ映画が……。おりしも嵐が襲い、電話さえ通じなくなる。S&Mシリーズナンバーワンに挙げる声も多い清冽な森ミステリィ。
感想・レビュー・書評
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いやはや、これは騙されました。
S&Mシリーズの中でも、素晴らしい一作、と言われるだけあって、秀逸。ああ、こういうことなのね~。
まあ、本書はいわゆる本流の話ではなく、外伝的な話になるんだろうけど。
でも、この小説は僕のような中年男性の夢を実現させてくれる小説ですよ。
どんな形であれ、西之園嬢と疑似恋愛を楽しめるのですから(笑)。
ちょっと、ほんのちょっとですが、犀川先生の気分を味合わせていただきました。ありがとうございました!!。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
S&Mシリーズ
第8弾 今はもうない
素晴らしい作品でした
斜めの上の上からくる最後の結果で。。
(もしかしたら予想が擦るかも思ってましたが)
1ミリも擦りもしない結末
めちゃくちゃ綺麗で素敵な話でした
第1弾のすべてがFになる
に匹敵する作品です(作品の好みという意味)
登場人物の良さを感じて、どうなるのかと思っていたら、そこにくるかと。絶対思いつかない。
この結果がそして、嬉しいというか
もうこの8弾までくると、主要人物の性格も容姿も佇まいも完全にできあがってるので、そこを崩さずにサプライズをもってくるかと。。。
森博嗣先生は凄い。。。
睦子叔母さん性格良いからな萌絵とそりゃ似るわなと(このキョリ感と描写が絶妙)
込山刑事も雰囲気も最高です(もっとでて欲しい)
この今はもうない
(Switch back)
タイトルの重さが最後にわかると
この8弾好きな人多い気がします
読んでて感動体験の連続でした
続いて9弾いきましょうか
数奇にして模型
(NUMERICAL MODELS)
タイトルかっこいい!
これみるだけでテンションあがりますわ
あと9.10しかないのか(S&Mシリーズ)ラスボス前症候群になりそうw
Vシリーズ、四季シリーズ、Gシリーズあるし
大丈夫かw
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今までのシリーズに無い感じのお話でした。
ほぼ最後まで森先生の術中にハマっておりました。 -
S&Mシリーズ第8弾。
ここまで8作で一番好きかも˙ᴥ˙
いろんな登場人物の背景が知れる良いストーリー。
犀川創平と西ノ園萌絵の関係が少しずつ近づいていてニヤニヤしてしまう( * ॑꒳ ॑*)
中盤で珍しく真相に気づけてからは、合ってるかドキドキしながら読みました。事件の方はもちろん全然分かりませんでしたが(笑)
あと2作も楽しみです。 -
現象に名前をつけるから、“有象”になり、意味を含むようになる。
でもそこに、名前をつけないままだったら…?
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西之園家の別荘のとなり(といっても5kmは離れている)にある橋爪家の別荘で、姉妹2人の死体が発見された。
しかも密室の中で…
一体なぜ?
密室のトリック、そしてその背後にあるものとは…?
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前作・前々作に引き続き、今回も登場人物一覧がなかったため、メモをとりながら読み進めました。
しかし読み切ったあとで、確かにこれは登場人物一覧は載せられない事件だな…と納得しました。
今回の物語は、笹木という40歳男性の主観で語られていく形式で、S&Mシリーズの中では珍しいタイプの物語です。
というかこの物語は、本編というよりは長編の番外編だなあと感じました。
なせ笹木の語りで物語が進んでいったのか、その理由も最後まで読めばわかります。
“ミスリード”される物語と聞いていたので、「騙されるものか!」と果敢に挑んだのですが、騙されまいとしたポイントがずれまくっていて、結局ミスリードの罠にかかってしまいました…不甲斐なし。
いやでも、違和感はちょこちょこあったんです…でもそういう理由だとは思わなくて…(言い訳)
密室トリックにはあまり興味がなかったので、ななめ読みでした。
ただ、なぜそんな密室が誕生してしまったのか、物語の中で推測され書かれているその理由を考えると、やるせないものがありました。
こうなのだろう、ああなのだろうと、見えないものを推測し、行動する。
それが成果を生むこともあれば、誤解を招くこともある…。
いや、そもそも、目の前の現象に名前をつけるのは人間だけで、だからこそ事件が“事件”として認識されてしまうのだなとおもいました。
元の姿なんて、どこにもないのです。
なぜなら“元”とされているものが、本当はどこにもないから。
人間がその状態を“元”の姿と名付けたにすぎないのです。
「今はもうない」のではなく、もともとこの事件は、その事件に関わった人々の思いも、実は“なかった”のかもしれないな…なんて、ちょっとキザに決めて終わりといたします。
「矛盾を含まないものは、無だけだ。」(486ページ)
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これまでの話とは違い、基本は一人称で事件は語られる。
これまでと同様に密室殺人に居合わせて事件に関わる萌絵の様子や、幕間の話での犀川先生との会話に段々と違和感を覚えていだけれども…
まさかの真実にとっても驚いた!
これは騙される。
殺人事件の謎も最後にあっさり解き明かされたが、結末にしんみりとした。
白黒きっぱりわけない、ある意味感情論的なこの結末も嫌いではない。
まさかの真実に全部持っていかれた感はあるけれど、とっても面白かった。 -
S &Mシリーズでこう言うパターンが来るとは予想外だった
このパターンじゃなくてもトリックは分からなかったけど… -
・シンプルかつ大胆に裏切ってきた。はは。
・犀川の言葉論も面白い。
「言葉とか、理論とかいうのは、基本的に他人への伝達の手段だからね。言葉で思考していると錯覚するのは、自分の中の複数の人格が、情報や意見を交換し、議論しているような状態か、もしくは明日の自分のために言葉で思考しておく場合だね」(220ページ)
・「それを君の中で収束させる努力をしてみてもいい」と犀川は言う。萌絵が面白いと言っているのは伝達の過程であって、伝達の過程=記号化のプロセスは自分の中で完結させられるんだからわざわざ犀川を使わなくてもいい、という理屈なのだろうが…
複数人格を自分の中で飼っているのは犀川の特質であって萌絵にあてはまるかどうかはわからない。
し、そもそも思考と言語は違うという出発点自体苦しいのではないか。思考も言語も人間の認識に端を発している点では同じだ。デジタル化の度合いが違うと言いたいのかもしれないけれど。
いずれにせよ論理の混線と犀川の意図的なはぐらかしが絡まって、独特のいじらしさがうまれている。いつものこの感じが好き。
著者プロフィール
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