定年ゴジラ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 195
  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062731096

作品紹介・あらすじ

開発から30年、年老いたニュータウンで迎えた定年。途方に暮れる山崎さんに散歩仲間ができた。「ジャージーは禁物ですぞ。腰を痛めます。腹も出ます」先輩の町内会長、単身赴任で浦島太郎状態のノムさん、新天地に旅立つフーさん。自分の居場所を捜す四人組の日々の哀歓を温かく描く連作。「帰ってきた定年ゴジラ」収録の完成版。

感想・レビュー・書評

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  • 16年前の作品。
    主人公たちと世代は違うが、今読んでいる時点では、同じ年代。身につまされる話もあるが、人生なかなか捨てたもんやおまへんぜ、そんな気持ちにさせてくれる。同年代ばかりでなく、若い人にもお勧め。

  • 夫婦の形ってものが、あまり分からない私にとって、なんだか新鮮だった。

    定年になるまで一生懸命働いて。
    定年になって、自分の居場所を一生懸命模索したり、周りの人と切磋琢磨しながら生きていく。
    世の中の、パパの寂しさや、強がりが少しだけ見えた気がする。

    “幸せとは胸を張って語るのではなく苦笑いとともに唇からこぼれ落ちるものなのだと、なぜかいま、知った”

    “長年連れ添った夫婦が一心同体になるというのは嘘だ。夫婦は、長い年月をともにすることで、自分たちが一人と一人だということを素直に受け入れられるようになる。”

  • 1998年時点での1930年世代の還暦定年の姿を描いている。今還暦を過ぎた私とはずいぶん実感が違う。まず還暦で私たちは引退できない。子育て家事も描かれている世代より夫婦で分担している。できれば自宅で老衰で死にたいと思うのは今の方が強いのではないかと思う。この20年の間にずいぶん実感の違いが出てきたと思わせる読後感だった。

  • 両親と、父の故郷である小樽に旅行に行った。「定年ゴジラ」はその旅のお供。
    私は旅行に行くときは小説と決めている。旅行のあの高揚感がうまい具合に小説の内容に入っていく促進剤になるからだ。

    図書館の「本日返却コーナー」にあって何気なく手に取った一冊だった。重松清さんの本は久しぶり。
    元銀行員で、定年を迎えた山崎さんと、同じく定年を過ぎた同じニュータウンに住む3人の中年男性と、彼らそれぞれの家族を描いた物語。
    山崎さんの家族、奥さんと二人の娘・千穂と万里との、絶妙な距離感の表現が巧い。重松さんも実際に娘がいるのだろうか。
    全体的にはゆったりと物語は進んで行く。「オジさん」たちのそれぞれのキャラクターも、なんだか一癖ありそうで、また単純明快で、憎めない。

    私が好きなシーンは、山崎さんが駅の近くで傘を忘れ、奥さんに傘を持ってくるついでに一杯飲もうと誘い、居酒屋で待っていると、
    次女の万里が現れ、二人でぎこちなく飲むシーン。自分が同じ立場だったら…父とサシ飲みなんてしたことないけど、想像するだけで照れる。
    そういった、父と娘の独特な空気感を描くのがとても巧いよね。「あーわかる」って思える。

    あと、何と言っても、山崎さんが電話越しに、万里の彼でありバツイチの義彦に対して、熱く思いを伝えるシーン。
    山崎さん、不器用で口下手でアマノジャクなんだけど(ここ、私の父とも似てる)、それだけに思いは伝わって来る。

    終盤、パソコンを一生懸命覚える山崎さんの場面。60歳そこそこの男性って、今のご時世まだまだ若いし、現役だと思うけどな。
    若干、全体を通して、定年のこの彼らを「おじいさん」扱いしすぎな感もあるね。

    家族のあったかさを感じる、とても素敵な一冊。地味なんだけどね。
    (同じく定年の男性たちを描いた、有川浩さんの「三匹のおっさん」に比べるとやはり抑揚にはかけちゃうけどね。)
    偶然にも、私も親子旅の最中なので、余計にぐっと来た。
    重松さんは、親子を描くのが秀逸。
    うん、これからも親孝行しよう。

  • 普通の人たちの普通の日常を書いたら天下一品。涙あり、笑いありとっても楽しい一冊。

  • 定年退職の方への手向けとする前に読みました。しょっぱいなー。自分にも近い将来にやってくる定年退職後の話し。金なし家族なし趣味なし、身一つでどうなることやら。

  • 四十代後半になり退職後の身の振り方を思う時があるこの頃、ニュータウンに住む者として先輩方の物語は自分の将来の物語のような気がする。仲の良い家族と新しい暮らしで出逢えた親友、フィクションだな!こんな良い話あるわけない。と思いつつ、描かれた街の背景にはあるあるって思う。定年ものでは、有川浩の三匹のオッサンがあるが、本作の方がいいな。

  • なんかほのぼの読めたけど、間も無く自分もこの生活がくるんですよね!人ごとじゃないなぁ

  • 都内から1時間以上離れた郊外にある「くぬぎ台」で
    生活している定年を迎えた父親たちの暇な生活を綴った作品。

    重松さんらしい、短編を最終的に1つの小説のように見せる方式であり、
    定年後の日々を非常にリアルに表現しています。

    奥さんに先立たれたり、離婚したり、
    本人が定年後亡くなったり、娘が離婚したての男性と結婚すると言い
    苦悩したりと様々な哀愁漂う話が続きます。

    でも本書も最終的に家族愛や友情などを感じることができ、
    読み終えると、ほっこりできます。

    ちなみにゴジラというタイトルは、
    くぬぎ台ニュータウンの構想の模型が途中にでてくるのですが、
    その模型をゴジラのごとく踏み潰して破壊するシーンから取られています。

  • 重松清
    この人は何故こんな温かくて優しい言葉が書けるのだろう。
    所々で胸がつまり、鼻の奥がツーンと痛くなる。
    それでも、自然と笑顔が零れる。

    映像じゃダメなんだよなぁ。
    文字だからこそ感じる事ができるんだよなぁ。

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プロフィール

重松 清(しげまつ きよし)。1963年、岡山県生まれの小説家。早稲田大学教育学部卒業。
出版社勤務を経て、フリーライターとして独立。ドラマ・映画のノベライズなどを手がけたのち、1991年『ビフォア・ラン』で小説家デビュー。
1999年『エイジ』で山本周五郎賞、2000年『ビタミンF』で直木賞、2002年『流星ワゴン』で「本の雑誌年間ベスト1」、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。
山本周五郎賞、講談社ノンフィクション賞選考委員を務める。2017年、早稲田大学文化構想学部客員教授に就任。
『とんび』、『青い鳥』、『流星ワゴン』をはじめ、多くの代表作がドラマ化、映画化されている。

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