スプートニクの恋人 (講談社文庫)

  • 講談社 (2001年4月13日発売)
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本 ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784062731294

作品紹介・あらすじ

この世の物とは思えない奇妙な恋の物語

22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。――そんなとても奇妙な、この世のものとは思えないラブ・ストーリー!!

感想・レビュー・書評

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  •  村上春樹の作品の中では、強烈な個性が少ないと感じる。ただオーディブルで聴いたためにそう感じたのかもしれない。すみれは一体どこに行ったのだろうと気になるのはgood。

  • 村上春樹さんの文章にふれる度、ああ帰ってきたなという感覚を覚える。比喩と音楽の海に身を任せていると本当に心地よい。今回はシュワルツコップが歌うモーツァルトの歌曲がずっと頭の中を流れている。
    こちらとあちら、光と影の世界を行き来することを理解することは難しい。でも、人が他者を求め合えば合うほど孤独感は強まっていくというのは真理だ。「この惑星は人々の寂寥を滋養として回っているのか」もしれない。
    ミュウとすみれが過ごしたギリシャの夜のシーン、ミュウが観覧車に取り残されるシーン、「ぼく」がクラスの子にギリシャに行った理由を語るシーン、etc。本を閉じた後も、私の記憶に強烈に刻み込まれていく。
    抜け殻になってしまうような出来事にあっても、残りの時間を外側の皮一枚で生きていくことはできる。そんな悟りにも似た気持ちに支配された「ぼく」も「すみれ」からの電話で世界の見え方が変わっただろう。希望的な悟りで「待つ」ことができるに違いない。

  • 春樹作品の中で、唯一の存在感。
    かわいくて仕方ない!

  • 恐らく20年とか昔、読みかけで放り出して忘れてたのだと思う(多分当時の僕は読書より音楽仲間と連む時間を優先してたし)けど、後半の記憶が全くなかったおかげで読み終えた今、新鮮な気分…

    すみれが素敵。ハードカバーで欲しくなりました。

  • 不思議な感覚を味わえる小説。

    昔の小説は、正直感性がイマイチピンときません。
    それは、僕自身が言葉と表現力が乏しいのだと思います。

    この小説の世界には言い表せない曖昧で複雑なものなのだと思います。
    時間が経ってから読むとまた違った感想を言えるのでしょうか・・・

    自分の成長を楽しみに読む機会を待とうと思います。

  • 比喩表現が唯一無二。独特過ぎて的を得ているのかよく分からない暗喩や比喩だけれども、何かこうそうなのかもしれないという「分かった気にさせられる」感じ。とにかく知識量が膨大。知らない作家の作品やアーティストの楽曲や知らない俳優や監督の映画が出てきてはググってみるけど、いまいち要を得ない。だからこの表現が正しいのかどうかは分からないが「妙な説得力がある」という感じ。内容がどうこうよりも審美眼を要求されるように思えるが、重荷に感じないのは読み易さからだろう。ある種笑いを取っているような感じもある。感覚的に感覚で感じるしかない感じがする。

    『1Q84』を読んでからというもの、2作目がだいぶ経った。あの頃と比べて面白さの許容の幅は広がったとは思うが、やはり村上文学の独創性には手が焼ける。マグマ。

  • スプートニクの恋人
    著者:村上 春樹

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    **内容説明:**
    22歳の春、すみれは生まれて初めて恋に落ちる。それは、まるで広大な平原を突き進む竜巻のような激しいもので、行く手にあるすべてを巻き上げてしまうかのような恋だった――。村上春樹が描く、奇妙で幻想的なラブ・ストーリーが展開される。

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    **感想:**
    村上春樹さんの作品は、「騎士団長殺し」「海辺のカフカ」「ノルウェーの森」「1Q84」なども読みましたが、この『スプートニクの恋人』も彼独特の世界観が際立っています。性的な表現や時空を超えた感覚、斬新で思いもよらない比喩表現が散りばめられており、すべてを理解するのは難しいですが、それこそが村上文学の魅力なのかもしれません。

    物語の進行にハラハラするミステリーやラノベも好きですが、このように考えても解き明かせない部分を持つ村上作品にも引き込まれます。スナフキンのような名言が登場する点や、旅行に行ったような気持ちになる描写も個人的にお気に入りのポイントで、時間をおいて再読したくなる作品です。

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    「どんなことでもそうだけれど、結局いちばん役に立つのは、自分の体を動かし、自分のお金を払って覚えたことね。本から得たできあいの知識じゃなくて」


    「長いあいだ一人でものを考えていると、結局のところ一人ぶんの考え方しかできなくなるんだということが、ぼくにもわかってきた。ひとりぼっちであるというのは、ときとして、ものすごくさびしいことなんだって思うようになった。」


    「君のいないぼくの生活は、『マック・ザ・ナイフ』の入っていない『ベスト・オブ・ボビー・ダーリン』みたいなものだ」

  • 後半は、このまま出口のない迷路みたいな感じで、もやもやと終わるのかな…と思ったけど、ラストすみれが無事に戻って来て、元気そうでよかった!!
    ぼくとすみれの会話はなんだかほっとして安心感があって、運命共同体みたいな関係でいいなぁと思いました☆

  • あちらとこちら

  • 「僕」のすみれに対する想い、出会えた喜びが真っ直ぐに伝わってくる。
    成就するとかしないとかはともかく、こんなふうに人を愛せたら、幸せなんだろうなぁ。
    これはミュウとすみれの物語ではなく、確実に僕とすみれの物語だ。

    地中海に浮かぶ、ギリシャの小さな島の風景や、ミュウの観覧車の話は、まるで映画のワンシーンのようだった。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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