雪が降る (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.64
  • (75)
  • (143)
  • (194)
  • (14)
  • (2)
本棚登録 : 1010
感想 : 125
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062731768

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 藤原伊織の短編集。

    各話其々良かった。
    うまく言えないけど、じんわりと来る得体の知れない良さがあった。
    中でも「台風」「雪が降る」「紅の樹」が好き。

  • 前回読んだ表題作がかなり好みだったのでその作品も入った短編を読んだのだが、他の短編もめちゃくちゃ良かった。頭がしびれる作品が多く、特に「台風」と「紅の樹」が最高だった。前者は淡々と語られるモノローグとラストの余韻が素晴らしい。後者は純粋なヤクザものハードボイルド。これが傑作で、ありがちなプロットながら台詞まわしがとことんに粋。それがうすら寒くならずグッとくるのは藤原さんの余計なことを書かない文章に見事にマッチしているからだと思う。まだ半年あるが今年のベスト短編集はこれで決まりだ。

  • ハードボイルド短篇集。やはりヤクザ物が多い。しかし、短篇集だからか内容に厚みを感じられなかった。中でもやくざ物として面白かったのは紅の樹でした。

  • テロリストのパラソルで、江戸川乱歩賞と直木賞を同時受賞した藤原伊織さんの小説。
    作風として大人のファンタジーという趣。ビリヤードの勝負がきっかけで利き手を潰されたピアニストや足を洗い身を隠す元ヤクザ、トマトを食べたくて一時的に人間になった人魚など、非現実的な設定で起こる人情話に、クサさを感じながら思わず涙します。
    表題の「雪が降る」が特に優しい気持ちになる良い話でした。

  • 毎度同じ感想ですが、大人のハードボイルドだなあと思う。
    体制に反抗したり、反社会的な過去があったりするのに、能力が高く、女性にももてるのにクールに対応する、非現実的な主人公の存在はある意味オトコの夢なんだろう。
    たまにはこんな作品を読んで妄想するのもいいかも。

  • 再読。
    やはり「伊織」作品は読み応えがある。構成がしっかりしている証だろう。
    新作が読めない事の無情を感じる。

  • 6話の短編からなる1冊。
    いまはサラリーマンとなった男が、かっての部下が上司のいじめに耐えられず刃傷沙汰になったのをきっかけに思い出すプールバーの息子だった時の事件を描く「台風」

    かつて、同僚とその男は一人の女性を争ったが彼女は同僚と結婚した。その後偶然に再会。雪が降ったためホテルに投宿した二人だった。
    彼女は男に「次に雪が降った時に待っている」と言う。
    次の降雪の日、男はホテルで待つがとうとう彼女は来なかった。雪のためスリップ事故を起こしたのだ。
    ある日送られてきた(母を殺したのはあなたですね)という同僚の息子からのメールで思い起こされる愛を描く「雪が降る」

    6話の中で特に心に残ったのはこの2話だった。

  • 短編集
    ・台風 主人公の記憶を辿り、人生で一度だけ出会った殺人を犯した人との出来事が静かに語られて行く。ラストで物語が繋がり、安堵のような気持ちに。

    ・雪が降る 主人公の男性視点で物語は進むが、お相手の女性の心理描写が良い。初めに息子がキーマンとなり話が進み、ラストの男同士の会話が私は好きだ。

    ・銀の塩 中盤まで物語の大枠が掴めずに進んだ印象。本書の中では普通の評価。

    ・トマト 短編、最後までよくわからなかった。

    ・紅の樹 手のひらの闇シリーズのモチーフとなっている短編との印象。短編なだけに、それぞれの人物描写がそれほど描かれていないと感じてしまった。

    ・ダリアの夏 人物の繋がりは面白いが、こちらも手のひらの闇第一部と似た筋書きのように感じた(女性とそのパートナー)。

    短編の良さもあると思うが、私は作者の長編に比してこの評価にしました。

  • ヤクザの話が多い、好きではないジャンルだ。。



  • たまらない。
    私のお胸のきゅんメーター振り切れました。
    そうか、私は気付いた。
    男の哀愁の裏には必ず「いい女」がいる。
    その「いい女」のために、どこまで行動出来るのか。
    心と身体をどこまで使うのか。
    その度量が男を「いい男」たらしめるのだ。

全125件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1948年大阪府生まれ。東京大学仏文科卒。85年「ダックスフントのワープ」ですばる文学賞を受賞。95年「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞、同作品で翌年直木賞を受賞。洗練されたハードボイルドの書き手として多くの読者を惹きつけた。2007年5月17日逝去。

「2023年 『ダナエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤原伊織の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×