船上にて (講談社文庫 わ 18-3)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 154
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062732017

感想・レビュー・書評

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  • 好きな著者だったので。

    短編集。
    文庫版あとがきで、著者は「いまのわたしなら」こうは書かないと、
    いろいろ書いているが、
    キレッキレの短編集。

    「てるてる坊主」も「かさねことのは」も全然だまされていたが、
    印象的なのは「優しい水」。

    モノローグという単語は、
    自分にとっては陰鬱さや後ろ向きさをまとっているが、
    この主人公のモノローグにはボジティブさと明るさと支離滅裂さがあふれていて、
    三階建てのビルの屋上から落ちて、
    隣のビルの隙間に倒れているとは思えない。

    その楽しい独り言をうきうきと読み進めていて、はたと気がつく。
    このパターンは著者の必殺パターン、
    後からしっぺ返しをくらうパターンだ。

    いや、自分は何も悪いことをしているわけではないので、
    知っぺ返しはおかしいか。
    ただ著者の腕に踊らされているだけで、
    それは私の落ち度ではない。

    京王線沿線に住んでいて、
    ミステリー好きで、
    ツインピークスをビデオで見ている途中の彼女には、
    助かってほしかった。

  • ミステリーの短編集。
    トリックがわかりにくかったり、結末がはっきり書いてなかったりするのでちょっとモヤっとすることがあるかな。
    表題作【船上にて】のOヘンリーの短編集に関する謎が驚いた。髑髏消失の真相は大体予想通りだった。

  • 1992年から1997年の間に書かれた8つの短編を加筆修正して編まれた短編集。
    20年以上前の作品でありながら、すでに若竹七海の片鱗がある。コージーミステリなんだけど、しっかりと毒がある。短編の中にもしっかり黒い底流があって、それは「葉村晶シリーズ」にも脈々と受け継がれている。
    この黒さが好きなんだよな〜。
    どの話も最後の最後にオチがあって、ニヤリとしたり、ゾクリとしたり、とにかく上手い。

  • 短編集なので一気読み。
    イヤミスばっか
    イヤミス苦手なんです、優しい水なんて
    読みながらイヤな予感しかしませんて(ToT)

    でも凄く読みやすくて、グングン入ってくる。
    そして簡単に騙されてしまういい読者でありました。

  • ミステリー短編集。著者の作品は何度か読んだことがある。今回もそう思ったけど、シンプルじゃなくて面白いと思うんだけど、ひねりが複雑だったりトリックや結末がはっきり書かれてなくて読み終えると印象に残ってない感じ。これは私側の問題かもしれませんが。表題にもなっている「船上にて」はOヘンリーが登場、ストーリーに絡んでいて面白かった。

  • *ナポレオン三歳の時の頭蓋骨”がなくなり、ダイヤモンドの原石も盗まれた。意外な盲点とは―表題作「船上にて」。屋上から突き落とされたOLのダイイングメッセージの皮肉を描いた「優しい水」。五人が順繰りに出した手紙の謎に迫る「かさねことのは」など8編を収録。著者自らが選んだミステリー傑作短編集*

    ブラックユーモアと、皮肉と、真綿に包んだ悪意が炸裂する短編集。面白過ぎて一気読み。個人的には読後感は「にやり」の一言。

  • いやもぅ、後味悪い悲しい話が多かった!
    ホラーを書く人だもんねぇ。
    でも、面白かった!


    2015-09-13再読。
    やっぱり悲しい話だったなぁ。
    でも優しい水、手紙嫌いはユーモアがある。
    船上にてはもう少し読みたい。

  • 3+

  • 表題作は秀逸。短編は個人的には物足りないので。

  • やっぱりシビアだ。「タッチアウト」「優しい水」の結末、特に最後の一行の皮肉さがとっても好き。相当皮肉でひどい話なのに、後味は悪くない。さすがにすっきりとまではいかないけれど。
    物語として一番好きなのは、「黒い水滴」。そういえばこれ、「製造迷夢」の一条刑事が出てるんだな。
    ところで、「かさねことのは」にあった「最近の本が分厚くなっている理由」には、なんだか妙に納得。これがすべて真実、というわけじゃあないだろうけど、妙に信憑性のある説だなあ……。

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著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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