ザ・対決 (講談社文庫 し 31-23)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062732321

感想・レビュー・書評

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  • 「もし対決したら」というジョーク小説10番勝負

    どんな対決なのか、どんなオチなのかもそれぞれ異なるので、マンネリ化せずに最後まで読める

    描かれてるのは以下10作
    ソクラテスvs釈迦
    シェイクスピアvs近松門左衛門
    ロビンソン・クルーソーvsガリヴァー
    コーヒーvs茶
    桃太郎vs金太郎
    ラーメンvsカレーライス
    楊貴妃vsクレオパトラ
    空海vs最澄
    大岡越前守vs遠山金四郎
    紙vs火薬vs羅針盤


    ・ソクラテスvs釈迦
    オチがなんか、日本の悪しき風習というか、滑稽さを揶揄する感じで昭和チック

    ・シェイクスピアvs近松門左衛門
    言われてみれば確かに確かにこの二人は歴史と悲劇という似たような傾向はある
    でも、僕がそんなに詳しくないので、そんなに楽しめなかったかな

    ・ロビンソン・クルーソーvsガリヴァー
    まぁ、ロビンソン・クルーソーからしたらガリヴァーはそう見えるわなぁと思う
    ま、一般的にはそんな評価の方が正しいんだけどね

    ・コーヒーvs茶
    一地方で飲まれていたからといって歴史が古いわけではないか
    作中の思想はヨーロッパ中心主義っぽいものを感じるけど、20年前から既にそんな傾向は崩れ去っていたと思うけどね
    ただまぁ、お茶が歴史に様々な影響を与えてきたのはよくわかる

    っていうか、最後のオチがネットでよく落ちてるあのセリフを思いおこされる

    ・桃太郎vs金太郎
    この話が一番好きかな
    桃太郎の話が地方によっては犬猿雉関係ないところとか、桃すら意味不明な由来というのにウケる

    ・ラーメンvsカレーライス
    「おせちもいいけどカレーもね」が正義じゃないのか?(笑)
    ってか、そんなにラーメンとカレーで意見が食い違うんだったらそれぞれ別のものを食べればいいじゃないと思う

    ・楊貴妃vsクレオパトラ
    楊貴妃とクレオパトラは一切関係ない
    それにしても、学校の先生はたいへんですなぁ

    ・空海vs最澄
    この二人の対決だけでなく、現代に置き換えた形の話が描かれてあるのでわかりやすかった

    ・大岡越前守vs遠山金四郎
    最澄と空海もそうだけど、歴史の検証小説っぽくなってる
    でも、最後のところは面白く読める

    ・紙vs火薬vs羅針盤
    トリなのにそんなでもなかった
    コーヒーとお茶の二番煎じっぽいかな
    個人的には他の2つに比べれば羅針盤は一段劣る
    そして紙は活版印刷あってこその評価じゃなかろうかとは個人的に思う
    火薬も人類にもたらしたものは争いの部分が多くなってしまうからなぁ

    オチはコーヒーとお茶と同じようなものを想像したけど、なんだか肩透かしを食らった感じ

  • ううむ。なんとなくオチが聞いてなくて、べったりしてて、意外に面白くなかった・・・。清水義範なのにつまんない本もあるんだなー。

  • 期待していたより面白かった。
    自分は「ラーメンvsカレーライス」が好き。「楊貴妃vsクレオパトラ」は対決感は薄いけど嫌いじゃない。

  • さすがは清水義範、面白すぎる。後書きにあるように、色んな物を対決させたらどっちが強いのか?と言う発想は子供っぽいが皆が一度は考えてみる普遍的な問であり、そこを清水流にたっぷりのユーモアで包みながら大真面目に取り上げている。またやって欲しい企画。編集者グツジョブ!

  • 対決の内容はしょーもなくどうでもよいのだが、手を変え品を変えといった書き方で飽きなかった。桃太郎vs金太郎、ラーメンvsカレーライス、楊貴妃vsクレオパトラ辺りが面白かったかな。

  • ロビンソン・クルーソー対ガリヴァーが一番面白かった。

    ロビンソン・クルーソーのことを公園にいるホームレスと呼んだりガリヴァーをサタデーと名付けるなど、小ネタが盛り込まれており、とても楽しい。

    それぞれの章で文体を変えていることも凄いと思う。

  •  日本語の使い手として、一種独特の存在感を持つ作者の作品は、ずっと楽しく読んでいた注目もしていたけど、この一冊もとても楽しく読むことができた。
     ライバルを勝手に想定して、その対決を描くという趣向の短編集だけど、一編一編がすべて違う文体、作戦で書かれていて、「こんな手でくるか!」って思うのもおもしろい。
     文芸雑誌の対談記事風の「シェイクスピア対近松門左衛門」は、最後についてくる近松脚色の「ハムレット」は興味深かった。意外な結末の「ソクラテス対仏陀」はかなり腰が砕けた。ホームドラマの「ラーメン対カレーライス」、夜中にラーメンやカレーを食べに走っていきたくなった。学園ドラマの「楊貴妃対クレオパトラ」では、「あるあるある」とうなずきながら、ちょっとぞっとしてしまった。などなど。
     今回はけたたましく笑い転げるというものではないかもしれないが、おもわずにやりとしてしまう、「技あり!」の本です。

  •  似通った物を対決させる。例えば、お茶vsコーヒーどっちが上か、桃太郎と金太郎どっちがNo.1か、ロビンソンクルーソーvsガリヴァーなどなど。身近にあるもの、似通ったものを独特の視点から清水義範が対決させる!
     清水義範は突拍子もないアイデアで勝負する作品が多いですが、これもその一つ。誰かが考えそうなことなんだけど誰もやらなかったようなアイデア、これは特にそうですね。なかにはソクラテスvs釈迦なんてのもあり、遊びすぎと言えなくもない。またもや清水義範の独特なセンスにうなってしまうのです

  • こういう本を書こうっていう発想力に乾杯。

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著者プロフィール

1947年愛知県生まれ。愛知教育大学教育学部国語学科卒業。1981年『昭和御前試合』でデビュー。1986年『蕎麦ときしめん』が話題となり、独自のパスティーシュ文学を確立する。1988年『国語入試問題必勝法』で第9回吉川英治文学新人賞を受賞。2009年、名古屋文化の神髄紹介とユーモアあふれる作風により第62回中日文化賞受賞。『永遠のジャック&ベティ』『金鯱の夢』『虚構市立不条理中学校』『朦朧戦記』等著書多数。また西原理恵子との共著として『おもしろくても理科』『どうころんでも社会科』『いやでも楽しめる算数』『はじめてわかる国語』などがある。

「2021年 『MONEY 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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