おんな飛脚人 (講談社文庫 て 8-9)

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  • 講談社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062732338

感想・レビュー・書評

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  • 飛脚といえば佐川急便のかつてのマーク、髷に赤ふん姿で挟箱を担いで駆ける姿が懐かしい。トラックに描かれたあのマークに触れればいいことがある、などと囁かれていた。佐川疑獄でそんな噂も消えたが、飛脚を知ったきっかけではあった。この物語は庶民の味方の著者らしく、人馬が宿駅を継ぎ遠路を行く高額な飛脚便ではなくて、江戸町内に書簡を運ぶ町飛脚が誕生する模様を描く。同業他社とのちょっとした諍い、依頼主の胡乱な思惑、そして主人公たる女飛脚人まどかの出生の謎解き。いずれも人情を欠かさずほのぼのと語りが進むので、心温かくなる。

  • 軽いですね。悪く言えば軽薄。でもなんだか明るくて、スピーディーで良いです。
    著者・出久根さんは古本屋のご主人。どちらかと言えば、ちょっと重い感じの作品が多かったと思うのですが、これは妙に軽い。飛脚問屋を舞台にしたせいでしょうかね。
    何も残らない作品だとは思いますが、爽やかな一気読みでした。

  • 偶然同じ日に飛脚問屋で働き始めたふたりの飛脚。
    ひとりは珍しい女飛脚。

    江戸の町を駆け抜けて手紙と人情を運びます。
    読みやすく、爽やかな読後感。
    おもしろかった♪

  • 01年2刷本

  • NHK金曜時代劇の原作本
    http://www.nhk.or.jp/drama/archives/ninjyou/index.html

    NHK版は原作のパロディなのでしょうか


    原作とは設定がガラリと違うようです



    さて、

    おんな飛脚人


    すばらしく江戸

    内容も江戸

    会話も江戸

    江戸江戸江戸づくし

    しかし

    「テヤンデェベラボーメ!!!」ではなく

    なんでしょうね

    "品がよい江戸"

    勢いはあるけども、同時に美しさも備える江戸情緒とでもいいましょうか

    時代小説、特に江戸が舞台ですと
    男臭い物が多いのだが
    こちらはとても品がよい印象をうけました


    それと同時に、この本の文


    非常に爽快感のある文章です
    何分主人公が飛脚なものですから
    疾走するシーンが多い

    その描写がなんとも爽やか
    (しかも主人公は女ですから爽やかさも増すというもの)

    江戸を走り回る飛脚

    あ、そこ知ってる
    え、そこも知ってる

    東京人には読み応えあります
    浅草、上野、日本橋、葛西
    (葛西については現在の葛西と同一なのか不明だが)

    とにもかくにも、
    作者の描く江戸の町並みが大変みずみずしい

    わたくしこんなに江戸が身近に感じたことは初めてよ

    で、すっかり忘れていましたが
    内容ですね


    主人公と飛脚仲間の恋"未満"物語


    寸止めですよ寸止め

    なに純情物なの?
    この先は?
    いい雰囲気だったじゃあないか!

    これで終わり!?

    いい意味で中途半端
    ”あとがき”にて
    「またこの二人(主人公達)を書きたいな、書くつもり」
    と、作者の将来性を感じる文で〆られます

    そう実は"おんな飛脚"第二弾もあります
    第二弾で恋物語に発展するのでしょうか

    してほしいな

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著者プロフィール

出久根達郎(でくね・たつろう):1944年茨城県生まれ。中学卒業後、上京、古書店に勤務する。73年から古書店・芳雅堂(現在は閉店)を営む傍ら、文筆活動に入る。92年『本のお口よごしですが』で講談社エッセイ賞、93年『佃島ふたり書房』で直木賞を受賞する。2015年には『短篇集半分コ』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。著書に『おんな飛脚人』『安政大変』『作家の値段』など多数がある。

「2023年 『出久根達郎の古本屋小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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