室の梅 おろく医者覚え帖 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062732451

作品紹介・あらすじ

奉行所検屍役・美馬正哲。身投げや殺し、首縊(くく)り……。屍の末期の無念を解き明かす彼を、ひとは「おろく医者」と呼ぶ。武器は、遠く紀州は花岡青洲に学んだ最新の医術!江戸の「法医学者」は恋女房、産婆のお杏とともに、八百八町の底に渦巻く愛憎に立ち向かう。人の生と死に触れる夫婦を描く傑作事件帖。

感想・レビュー・書評

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  • 2020/4/5
    江戸時代の検視官のお話。
    そんな言葉はないからおろく(=死体)医者ですって。
    おろく医者の正哲も妻で産婆のお杏も愛すべき人たち。
    江戸時代のお仕事小説かも。
    仕事に対する姿勢がかっこいいです。
    お互いの仕事を理解して労わる姿も。
    赤ちゃん生まれてよかった!

  • 江戸に専門の検死医がいたかどうかは不明だそうだが、検死ばかりしている医者一家の三男坊とお産婆の妻の話である。彼女の作品の女性主人公はみな職業持ちで、内助の功を誇ってばかりではない。勝手に作り上げられた大和撫子の型にはまらない主人公たちを見ているのはいい気分だ。夫婦としてのバランスもとてもいい。武家や大店はいざ知らず、一般庶民はほとんど共働きだったというし、こちらが本当の江戸の生活かもしれない。獣の肉を食べると出るものが臭いと笑わせて始まる山くじらは寄生虫で終わる悲しい話だった。表題になっている室の梅も暗さやつらさを乗り越え明るく、常套でもいい終わり方だった。

  •  宇江佐真理「室の梅」、おろく医者覚え帖、2001.9発行、連作4話。この作品はテンポが悪く、相性が悪かったです。斜め読みして終わりました。

  • 2021.10.28

  • 米屋の仙台屋に押し込みが入った。たまたま
    難を逃れた美代次は評判の好人物。しかし…。
    近代日本医学の夜明け、奉行所検屍役・美馬正哲と、
    その妻で産婆のお杏。人の生と死に立ち会う
    夫婦が難事件を解き明かす。

  • 隅田川に女の水死体が上がった。これは自殺か、それとも・・・? 「死人はただ死に顔を晒しているだけじゃねェんだぜ。ちゃんとな、手前ェはこんなふうに死にましたと言っているのよ」 ・・・そう嘯くのは、容貌魁偉だがどことなく愛嬌のある江戸八丁堀の検屍医、人呼んで“おろく医者”美馬正哲。産婆の女房・お杏とともに殺しの痕跡を解き明かす!

    *
    なんてね、久しぶりに虚構を読みましたな。

    山で死んだ人を“おろく”というのはなぜ・・・なんてぇことを調べているうちにたまたま行き当たった本なんでござんすが、なかなか面白うござんしたよ。人物も立ってますし、時代の風俗や検屍の目のつけどころなんかもしっかと描かれておりましてな。
    それにたまにゃあこう、カナがほとんど出て来ない本もよござんすね。

    著者のことは知らなかったんですが、1949年生の函館の人だてぇことで。

    *
    で、おろくてぇのは、別に山で死んだ人に限ったことじゃあなく、南無阿弥陀仏の6字のこと・・・つまり死人全般に使った俗語のようでござんした。へぇ。

  • 副題が付いていたのでシリーズ物かと思ったのですが、どうやら1巻物のようです。
    おろく医者はどうも実在の職業ではないようですが、美味い設定ですね。不自然さが無く物語りに入っていけます。
    しかし、この作品は宇江佐さんにしては情感が低い作品です。確かにお杏と正哲の絡みの場面では、少し「らしさ」が出るのですが、全体にしっとりとした感じがありません。流石に大きな破綻は見せませんが、やや平俗な捕り物帳です。

  • 季刊歴史ピープル1997年盛秋特別号、1998年新春特別号、1998年陽春特別号、1998年盛夏特別号な掲載の4つの連作短編を1998年8月講談社より刊行。2001年9月講談社文庫化。おろく医者の正哲も、妻のお杏も魅力的なのだが、展開に今一歩感があり、江戸の仕事、捕物、江戸人情ものとして、やや中途半端感有り。

  • 江戸時代でいう検死官と産婆さん夫婦の話。
    宇江佐さんの話は安定していて、読みやすく面白かった。
    謎解きと、人情が上手いこと絡んで良かった。

  • 検死官ものミステリー、として読むと謎解きはさすがに弱いと思うけど、その分人間関係や生活の様子などが興味深く読めた。

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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