文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)

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  • 講談社
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レビュー : 534
  • Amazon.co.jp ・本 (1376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062732475

感想・レビュー・書評

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  • 僧、僧、僧。成長しない迷子、仏教、禅。変わらぬというか濃くなった世界観、厚さも進化したような…。良い意味でだらだらとしていて、こっちもついついだらだらと読んでしまいかなり時間を費やしました。前三作と比べるとぞわりとくる要素が弱めな印象も。京極堂の憑き物落としはこれまで通り「超すっきり!」といったのが感じられなかったなぁ…。気に入ってないというわけではなくて、これもこれで普通に好きなんですが。宗教という檻に囚われてしまった人ならではの動機は衝撃的。シリーズを通し読みしようと思っていたのですが、体力が^^;

  •  ものすごく面白かった!
     冒頭で昔を懐かしみながら楽しそうに旅行へ誘っていた京極堂が、最後には時を止めた人を豪く憎いとまで言ったのがなんだか胸に残る。
     いろんな凝り固まった檻の、見出されて開かれていくのを読んでいるとスッとした。それぞれ克己していて嬉しくなる。
     山下さんが好きだなあ。最初は大分苛立たしかったけど、ちゃんと物事を受け止めるようになって格好良かった。山下さんをそこへ導いたのが、ついその前まで悩んでいた常信さんだったのも良い。菅野に最後の一押しをしたのは榎木津だったけど、久遠寺さんも、久遠寺さんの立場から言葉を紡いでいて素敵だった。
     榎木津さん今回特に優しかった気がする。ほんとにとても面白かった。

  • 難しかった。一つだけ浮かんだ言葉は「思惑」。惑わされてはいけない、考えていることはみんな違うということ?
    重くて(実際の本の重量)て長くてまどろっこしくて集中力を終盤失ったので要再読。

  • 今回が一番面白く、読みやすかったです。
    いつも机上で事件が展開しているイメージがあったが、今回は箱根という舞台に移動していて、いつもよりも全体的に能動的な巻です。
    鳥口がよく頑張っていました。
    何を以て異常とするのか、自分の常識が本当に常識と言えるのか等、認識の相対が問われている作品であると感じました。
    禅宗や寺院経営などが詳細に書かれており、面白かったです。
    敦子や慈行の行動や描写で、伏線かなーと思った箇所があったのですが、回収されなかったので何でもなかったようです(笑)
    様々な人がかわるがわる憑物落としされていく箇所は『水戸黄門』が頭をよぎりました。

  • 読もう,読もうと思ってなかなか読み始めることができなかったが,夏休みの旅行のお供として持っていき,読み終わった。京極夏彦の作品は,読み始めると,一気に読み終えてしまうだけの中毒性がある。鉄鼠の檻は,禅宗をテーマとした作品だが,謎の作り方がとてもうまい。この作品における最大の謎は,連続殺人事件の犯人が誰かという点ではなく,中善寺秋彦ですら知らなかったという明慧寺という寺がどういった寺なのかという点である。「この明慧寺が真言宗の寺だったからですね。」という部分は,ミステリを読んでいて,久しぶりに心底驚いた。臨済宗,曹洞宗といった禅宗についての話が進めた上で,「真言宗の寺だった。」という真相は,ガツンとくる真相である。もっとも,この真相で驚くためには,ある程度禅宗についての知識が必要である。この作品では,761ページから40ページ程度を使って禅の歴史と禅についての解説がされており,この部分を読んで,受験勉強の際に覚えた日本の宗教史が整理され,復習できていたことが生きてくる。この作品には,明慧寺の正体以外にも,連続殺人の犯人は誰か,その動機は何か,見立ての真相,謎の少女の正体は何かなどの謎がある。真犯人は,ミステリを読みなれていると,「こいつは何者?犯人なんじゃないの?」と想定してしまう人物であり,意外性は少ない。しかし,「悟ったものを悟った順番に殺していた」という動機,鉄童という真犯人の育てている子が,禅の公案の見立てを行い,仏となった被害者を,いわば供養していたという部分は,十分な意外性だった。もっとも,動機・見立ては,力のない作家だとバカミスになってしまう程度のアイデアとお思えるが,筆力があるとそれ相応の意外性と読み応えになるということか。謎の少女である鈴の正体については物語内で合理的な解釈はされない。鈴子の子どもではなく,鈴子本人であったという描写だが,どうして鈴子が13歳の少女のままであったのかは謎のままである。また,最後の火事の際に,仁秀老人と鈴子の死体が出てこなかったという部分も謎のまま。もともと,榎木津という論理的には解明されないものが存在している世界観であり,割り切れない謎がのこってしまうのも仕方がないのだろう。禅というテーマで,知的好奇心を十分に満たすことができるうんちく,明慧寺の正体という意外性,割り切れない部分は残るが,それを十分にカバーできる作品全体の雰囲気。なかなか満足できる作品だった。

  • 白と黒の世界が目の前に現れるような描写に引き込まれます。

    何層ものベールを丁寧にはぎとって、核心に迫っていく、じわじわとした話の展開がもどかしくていいように作家さんの手のひらで転がされてるような。。。かなり分厚い本ですがどんどん読み進めてしまいます。

    このシリーズの中で一番好きの作品です。

  • 京極堂シリーズ。日本の宗教、特に禅宗について深く学べたようなよく分からないような。結果的によく分かってない。
    1300頁を越す文庫本はさすがに読み応えがあり、さらに宗教についてということで、沢山湧いて出てくる坊さんの名前も誰が誰か把握するのに一苦労。
    ミステリィとしては若干物足りないが、おどろおどろしい雰囲気の、雪の山中の禅寺での奇怪な事件は、非現実的で楽しめた。

  • 前作の真言立川流に続き、今作では北宗禅なる仏教譚に及ぶのだけれど、いくら丁寧に読んだところで理解の外だ。それでも京極堂が披露する解説の欠片を分かった気になるだけで喜ばしい。禅が開花したのが禅発祥の印度ではなく、育まれた中国でもなく、日本であるのは、日本語に起因する。禅は言葉では表しきれず、日本語はその難しいものを伝えるのに比較的適している。というより、日本には高度な抽象化を日常的に受け入れる文化があったからだなんて、誠に筋のいい解説だ。相変わらず榎木津は愉快であって頼もしい。

  • 山の中に建つ不思議な寺の中で起こる連続僧侶殺人。
    彼が創った檻の中でまた一人、悟りを開き、また一人、殺されていく。
    悟りとは何なのか。
    禅とは何なのか。
    誰もが心に秘密を持ち、それは澱となって心に溜まっている。
    榎木津がそれを暴き、京極堂が秘密を解体する。

  • 喝!
    禅のお勉強になる。あと益田がかわいい。文庫本が重すぎて腱鞘炎悪化です。

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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