文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)

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  • 講談社
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レビュー : 534
  • Amazon.co.jp ・本 (1376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062732475

感想・レビュー・書評

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  • 禅をベースとしたミステリー。Whydunit(動機)が秀逸でした。

    若干のネタばれですが、私は宗教的な人間ではないものの、その単純な動機には意外にも納得てきました。それだけそのことを考えて、忘れて、真剣に生きてきたと思えばこそですね。

    四冊に渡ったものの、総合的に、ボリュームの多さを例によってあまり感じさせない良作ミステリーでした。

  • 坊主入り乱れ

  • シリーズ第4弾「京極堂、結界に囚わる」

    この作品の雪山世界にもう1度浸りたくなり、4年振りに本棚から引っ張り出して読んだ。
    ページ数は1,341(文庫本の限界突破!!)、辞書と見紛うほどの極厚本である。

    謎の巨刹・明慧寺を舞台に、僧侶が次々に惨殺されていくという異様な事件。
    意外な真犯人と驚きの犯行動機もさることながら、本作で僕が特におもしろい(知的な意味で)と思った箇所がいくつかある。

    まず、宗教に脳科学の立場から解析を加えることができるか、という議論。
    事件記者・中禅寺敦子が「修行の成果は機械などでは測れないものかもしれない」と考え、古物商・今川雅澄もまた「悟る悟らぬと云うものは、医学的な脳の状態とは無関係ではないか」と述べたのに対し、医師・久遠寺嘉親は「仮令それがどんな状態であっても、凡ては脳の中の変化でしかない」と反論する。
    さらに、もし測定されたとしても「結果如何に依っては、修行なんかしなくても同じ状態が造り出せると云うことになり兼ねない」という問題が生じる。
    却説、京極堂の見解は…
    「数万倍も情報量が豊富な筈の言葉でも伝えられないものが一本の波線で判るか」
    まさに見事な領解だ!

    次に、京極堂が科学に対する自身の明確な立場を述べていること。
    「この世に科学で解明できないものなどないよ」
    「妖怪変化—怪異と云うのはそもそも理解不能のものを理解するための説明として発生したものなんだぞ。云ってみれば科学と同じ役割を持ったものなのだ」

    禅寺の庶務を分担する主事職―知事と呼ばれる―には主に4つのものがあるということ。
    監院(かんいん・総務人事、和田慈行)
    維那(いの・風紀教育、中島祐賢)
    典座(てんぞ・賄い方、桑田常信)
    直歳(しっすい・建設担当、小坂了稔)

    「悟り」についての今川雅澄の説明。
    「解っていても、解った気になった途端にそれは解っていないのと同じことになってしまう、つまり解った気になると云うのは、解ったこと自体を自分自身に説明している状態な訳です。本当は解っているのに、説明された段階でそれは本質ではなくなっている。だから解った気になっているうちは解ってはいるが解っていないのと変わりないのです。説明抜きで、解ったことそのものを、生きること自体で体現して、それで初めて解ったと云うことになるのでしょう」

    禅宗(日本には臨済宗、曹洞宗、黄檗宗という3つの大きな宗派がある)が唐から日本へ齎された経緯が京極堂の口から淡々と語られるが、何のことやら珍紛漢紛だった。
    膨大な量の参考文献が作者の宗教に対する造詣の深さを示している。
    こんな重い(中身も、物理的な重量も)小説、京極夏彦でなければ絶対に書けない。

    「この世には――不思議なものなど何ひとつないのだよ。関口君」

  • 最初の最初にいきなり、「拙僧が殺めたのだ」なんて言って犯人登場。

    今回は犯人が予想できるのではないかと思いながら読んでたけど、結局わからなかったw
    お坊さんがいっぱい登場するから登場人物をイメージするのが大変だったw
    姑獲鳥の夏で名前だけ出てたあの人が登場して、ワクワクドキドキした。
    後、鈴が怖かった。

    禅とか公案はとても難しかった。

    「し――釈迦も弥勒も彼の下僕に過ぎない――さあ云ってみよ――彼とは誰か――」
    「ぼくだ」
    榎木津さん最高!!!

  •  読むのに結構な体力を要する京極堂シリーズ。それはたぶん、文庫本の割にあのボリュームも一つの理由だと思われる。弁当箱。風呂敷に包んで持ち歩けば完璧かな(笑)
     今回の舞台は箱根でした。以前の事件に出てきた人物が出てきたりするので、京極堂シリーズはやっぱりシリーズ追ってゆくのが一番いい読み方だな、と改めて実感。今回は木場修が出てこなかったのでちょっと残念だった。木場修と榎木津の絡み好きなんです。榎木津の軍隊時代の部下が出てきた。榎木津が上官とかマジで疲れそうだ。榎木津さん、海軍だったんですね!海軍!榎木津は絶対海軍の白い制服似合うだろうなー。
     こうしてみると小説の本筋の感想全然書いてない…。さまざまな出来事が最終的に一つに集約される形、はいつもながら凄いな、と思った。そして珍しくいつも余裕綽々の京極堂の余裕のない感じは見ものでした。最後までなんとなくすっきりしなかったのは振袖の大禿の存在。強いストレスによって成長しなくなることってあるのかな?読んでていろいろなことが起こるから、途中で迷子になりそうになるけど、京極堂が最後にすべてをつなげてくれたので、ちゃんと真相が理解できました。憑き物を落とす、というのはごちゃごちゃになった糸をきちんと整えるみたいな作業なのかな、と思った。読みながら、読者もきっと、憑き物落としを疑似体験しているのではないだろうか。

  • 京極作品の中でもかなり好きな1作。
    百鬼夜行シリーズは普通とは違う状況下におかれた人間の心理状態にこそ妖怪の元があり、殺人のロジックよりも動機に焦点を当ててその妖怪を表現していく作品、と勝手に解釈しているが、中でも今作の動機は常軌を逸していて衝撃的だった。
    悟ったから殺すって。
    異世界過ぎて逆にすんなり受け止められてしまった。

    結界をはって下界とは違う世界を作り出すというテーマも、舞台設定やその描写が相まって本当に自分が異界にいるような気にさせられた。
    文字の上で結界とか書くだけでなく、本当に読者をそんな気にさせてしまうのはさすがといったところ。

  • 【本66】宗教をミステリーとして書いた大作。禅を題材とし、読後は一定のレベル以上に禅についての理解が深まる。生きながらにして脳の呪縛から解き放たれようとする法が禅であり、呪縛=檻にいる者は鉄鼠は蝕まれる。しかし、宗教体験が人を殺すのか、といったところは私の理解を越えており、改めて熟考したいと思う。

  • 禅の勉強になった。

  • なんというか、集中して読まないと理解出来ない(なんとなくしか理解は出来ないんだけど)
    とにかく読んでいる間、私自身が無になっていられるというか…京極堂のせかいに、ぽんっ。って入っていける気がする。
    仕事とか人間に疲れてくると、無性に読みたくなる。私だけか?

  • 読みきれなくって一旦返却して、もう一回借りたのにまた読めなかった。次こそは読みきりたい。あとちょっとだったんだ、読了まで。

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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