文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.73
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本棚登録 : 5989
レビュー : 532
  • Amazon.co.jp ・本 (1376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062732475

作品紹介・あらすじ

忽然と出現した修行僧の屍、山中駆ける振袖の童女、埋没した「経蔵」…。箱根に起きる奇怪な事象に魅入られた者-骨董屋・今川、老医師・久遠寺、作家・関口らの眼前で仏弟子たちが次々と無惨に殺されていく。謎の巨刹=明慧寺に封じ込められた動機と妄執に、さしもの京極堂が苦闘する、シリーズ第四弾。

感想・レビュー・書評

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  • やっと四作目。
    主治医おすすめではあったのだけど、好みとしては「狂骨の夢」の方が好きだったと思う。

    「禅」「寺」「僧」次から次と新しいことが起き、関口や鳥口ではないがついていくのにやっとという感じだった。
    珍しくいつもの中野から場所が箱根へと移り、動きのある、というよりむしろ上へ下へと動いてしかいないのだが、場面展開で面白かった。
    平素が動かなさすぎるのだと思う。(本屋の中のシーンが長い)

    山下警部補の心境の変化は見ていて面白いというか、哀れでもあるのだけど、あの状況下ではこう成らざるを得ないのだろうなぁというか、山下ではないのだけれどすっきりしたような心地だった。

    まちこではないが、わかった気になってわかったふりをするのも違うし口にした途端に立ち消えそうなので、鉄鼠の檻の本質の感想はまだ書かないでおきたい。

    いつも思うのだけど、よくもこの顛末をこれだけ永く書けるなぁと思う。そしてまたこの長さ故なのか、わかったようなわからないような、夢だったような心地が残る。
    だから、またあの永い頁を再び繰りたいと思う。
    読んでいる時から姑獲鳥の夏を再読したかったが、暇を見てまた順番に読み戻り読み進めながら「鵺の碑」を待ちたい。

  • 2012.7.1
    百鬼夜行シリーズ第4弾『鉄鼠の檻』
    『姑獲鳥の夏』『魍魎の匣』『狂骨の夢』と読んできたけど、一番面白かった。作品の「出来」という面でいえば『姑獲鳥の夏』に劣るかもしれないが、1300頁を超える本作は本当に読み応えがあった。過去の作品に登場した人物が登場することもその一因であると思う。
    「禅」がテーマの本作は箱根の旅館の庭に立つ柏の木の上から、突然凍死した僧侶が落ちてくる。そして明慧寺の僧侶たちに憑いた憑物を陰陽師の京極堂が落とす。
    京極夏彦の知識の豊富さには脱帽せざるを得ない。また文章も本当に巧い。

  • 明慧寺という閉鎖された空間内での坊さんたちの様々な感情が渦巻いているところや、仁秀の動機、そして
    京極堂ですら敗北を認めざるを得ない「禅」という概念に恐れを感じ、そうしたところがこの作品の雰囲気を漂わせている。
    山下が常信の言葉の意味をようやく解った気がすると言ったところはなんだかじーんとくるな。

  • 京極堂再読シリーズ4冊目。
    面白かった。
    どう言葉にしても、うまく言葉にならない気がする。
    文章も内容も読みやすいのに、
    分厚すぎて物理的に読みにくかった(笑)

    堅苦しいセリフが散りばめられているようで、
    内容はわかりやすくすっと入ってくる。
    いろんな視点からでないとわからない複雑な内容なのに、
    『あとから聞いた話である』の枕詞で関口くんが1つの視点(=読者)にしてくれていて、だから読みやすいのかと思う。
    それから雪景色やそこに浮かぶ黒い僧、映える着物の赤、炎。
    まるでそこにいるかのように色彩が浮かび上がって、
    人の嫉妬や想いが自分のことのように重なって見えた。

    これだから、すぐに次を読みたくなる。

    あと余談だけど慈行さんたまらなく耽美……
    榎木津との対峙はほんと身震いモノだった。

  • 前半を読むのに1ヶ月かかり、残りの後半をたった1晩で読んでしまった!
    前半の複雑な人間関係を理解するのにめっちゃ時間がかかり、理解してしまうと、あとはスピード感たっぷりで京極堂の解決待ちです。

    プロットも相変わらず冴えていて、真犯人も「そうきたか!」という感じ。
    そして、あえていくつかの謎は残して、いつか解決される日がくるかも?
    という期待もありました。

  • 内容は相変わらず面白い。
    特に長台詞の押し問答や掛け合いが好き。

    犯人の動機についてピンと来なかったから間違いなく私は普通の人。禅の考えにピンと来なかったから、巻末のあとがきにネタバレと書かれてもどこからどこまでがそうなのかちっともわからなかった。

    段々人間の登場人物が少なくってる気がする。
    次作はもっと置き去りにされやしないかと不安だ。

  • 「レールの先の先を読め」というようなコピーのゲームが昔あったはずだが、これは「レールの元の元の更にその元を読め」といった本であった。
    いや、ミステリーって大概そういう物なのかもしれぬが。

  • 白と黒の世界に閉じ込められているような、そんな感覚に陥った。ちゃんと世界に色はあるのに、白黒で再生されている。
    この話の舞台になった寺の秘密に、そうきたかとおどろいた。今回の京極堂の蘊蓄は主に仏教、というか禅宗の話だったのだけど、なかなか興味深い話だった。理解できたかといわれれば、できてないんだろうけど。犯人の動機には理解できないところがある、ひとはいるんだろうなあ。わたしはすとんと落ちてきたのだけど。
    結界の中で生きつづけたひとたちは、ようやく結界から解放される。ただ最後の最後まで、縛られてしまうひともいた。その、執着の赤は白黒の世界の中でひときわ哀しみを放っていた。
    キャラ読みすれば榎さんがすてきすぎた。榎さんがかっこよかった。久遠寺翁とあのひとの再会シーン、ぐっときた。こう、深いところをえぐられた。

    (1376P)

  • 文庫本なのに厚さ5cm。
    重い。
    通勤途中で読んでたから、鞄が重かった。
    やっと開放される。
    意地と根性で読破!

    禅宗について
    少し詳しくなった気がする。
    坊主が何人か死ぬわけだが、そっちには
    あまり興味が沸かず
    その舞台となっている特異な寺の設定に
    脱帽。

    「不立文字」ふりゅうもんじ
    禅は文献を重んじない。

  • ヤバい!! かなり好きだこの巻!前作がいまいちノリきれなかったから高揚もひとしお。人物相関図も定着してきて、京極堂の不機嫌の度合いが親→親戚→町内会→東京全土ww…と仏頂面のキャパが拡張していってるのも楽しみな見所になってきました。今回は木場修が影薄の代わりに前作の雪辱を果すかの如く序盤から榎木津節全開のご活躍!!! 榎さん神回といっても過言じゃないかな!? 回を追う毎にこの方の破壊力の降り幅もレベルアップしてるのも魅力の1つです。
    今回は禅寺が舞台なだけに兎に角坊主多しで名前覚える迄大変でした。 どうも私は美貌の容姿で冷酷な目というものに滅法弱いらしい。慈行和尚が榎木津と対峙する所なんて想像するだけで…(♡)。それだけに末路が無念でなりません。
    人は誰しも囲われた空間に生きている。家庭、会社、 学校…その檻の中で悩み迷いながら光を見出だしていく。日々修行なんですね。京極氏の書籍は知識が豊富に詰め込まれ読了後自分も少し高尚になれた気がしてしまいある意味麻薬です。

    • imuzak12さん
      今のところ、この本が京極作品中の私のお気に入りです。いろんな怪しい坊主たちが出てくる辺りが楽しいのです。ディーン・クーンツのオッド・トーマス...
      今のところ、この本が京極作品中の私のお気に入りです。いろんな怪しい坊主たちが出てくる辺りが楽しいのです。ディーン・クーンツのオッド・トーマス・シリーズの3冊目、「オッド・トーマスの救済」にも(違った意味で)怪しい坊主たちが出てきて、何故か両方好きなのですw
      2013/05/18
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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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