有限と微小のパン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (870ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062732949

作品紹介・あらすじ

日本最大のソフトメーカが経営するテーマパークを訪れた西之園萌絵と友人・牧野洋子、反町愛。パークでは過去に「シードラゴン事件」と呼ばれる死体消失事件があったという。萌絵たちを待ち受ける新たな事件、そして謎。核心に存在する、偉大な知性の正体は…。S&Mシリーズの金字塔となる傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • ついに森博嗣先生の傑作理系ミステリー『すべてがFになる』のS&Mシリーズ10冊を読破した。

    いまさら過ぎる読了であるが、真賀田四季をキーパーソンとした物語、堪能させていただいた。

    最終巻である本書であるが、そのボリュームもさることながら真賀田四季の人知を超えた考え方やそのセリフには脳天をゆさぶられる。
    個人的にはもっと犀川先生や西之園嬢との対決をみたかったのだが・・・。

    いろいろと未解決で終わってしまうのだが、犀川先生や西之園萌絵のその後などは別シリーズで語られていくのだろうか?

    それでは、S&Mシリーズの短編集『地球儀のスライス』を読んでからVシリーズに進んでみますか。

  • 最初から最終巻を想定して執筆している壮大さに驚いた

  • S&Mシリーズ最終巻、めちゃ分厚い!
    読み応えあるなぁと思いながら本を開くと、あっという間に読み終わっちゃった。

    今回は色んな意味で騙された…
    全ては装飾に過ぎない。
    トリックが壮大で、謎解きを読んでてもありえなく無い?って思った。

    真賀田四季博士が再登場し、萌絵たちを翻弄していた。
    ただただ凄い。存在感が文面からも伝わってくる。
    塙社長も天才だとあったけれど、真賀田博士に圧倒されて最後はフィードアウトして行った感があった。

    これでS&Mシリーズは最後だけれども。
    もっと萌絵の心理面での安定や二人の恋愛面での進展を見たい。
    面白かったから、まだまだ続いて欲しかった!

  • S&Mシリーズ最終作!
    キーワードは“すべては装飾”。
    ぶ、分厚すぎる(汗)けど、なんだかいろいろ消化不良(泣)

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    日本最大のソフトメーカー・ナノクラフトが経営するテーマパークを訪れたお嬢様大学生・西之園萌絵ら3人。
    しかしそのテーマパーク内で殺人事件に遭遇する。
    そしてその背後には、かつて対峙した天才プログラマーの姿がちらつき…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    この物語展開に、この原稿量は必要だったのだろうか…?と思うくらい、話が進まず。

    犯人は判明するものの、“すべては装飾”というキーワードのもと、トリックについてはそういう展開にしてしまうと、もはや何でもありになってしまいませんか?という感じで、消化不良でした。
    また犯人がなぜ、犯行を犯したのかについては明確にならず、情報も不足な中で読者の手に解釈をゆだねられてしまい(いや、著者は解釈をゆだねてはいないのかもしれない。理由など、その人の中にあるものだから、本当の理解などできないというスタンスだから)、もやもやが募りました。
    シリーズ中、一番もやもやした作品かもしれません(泣)

    1作目と類似した雰囲気もあるのですが、お話としては1作目の方が断然おもしろかったです。

  • S&Mシリーズのラストを飾るに相応しいスケールと緊張感だった

  • S&Mシリーズ最終巻。
    860ページ。とにかく分厚い。これまでで一番分厚い。
    電車での持ち運びに一苦労でした。
    そして、なぜか帯がついてなかった。最終巻なのに…泣

    物語は、日本最大のソフトメーカが経営するテーマパークで過去に起こった「シードラゴン事件」を発端に、
    新たな事件が起こります。

    大きなテーマパークの中で、
    誰が味方で誰が敵(というか犯人?)なのかもわからないまま、萌絵と犀川先生は謎に挑みます。
    そして、姿を現す真賀田四季博士。

    途中からは、怖くて続きが気になって、
    読み進める手が止まりませんでした。

    作中に、演劇は一時的にでも相手(観客)の感情をコントロールする、支配欲を刺激する、というようなことが書かれています。
    以前のマジックがテーマの作品でもそうでしたが、虚構の物語のなかで相手を意のままに操ることができる、というのは快感なのでしょう。
    そして間違いなく私はコントロールされる側です。笑

    消えた死体と、残された腕、
    真賀田博士の居場所、
    隠された研究所、
    ゲームの結末。

    読み終わった後、
    そっかあ、これで終わりなのかあ、
    最後に萌絵は出てこないのか、となりました。苦笑

    森博嗣さんの他の作品も気になりますが、
    読み始めると止まらないことがわかったので、
    しばらく控えようと思います。苦笑

    そして森博嗣さんの作品は、
    表紙がかわいい、素敵なものが多く、
    読み終わった後にブックカバーを外して
    物語の余韻に浸りながら、表紙を眺める時間も良きです。

  • S&Mシリーズも遂に全冊制覇してしまった……というのが今の正直な感想。

    毎回毎回このシリーズの謎解きには驚かされてばかりだったのですが、今回の真相は流石に今までで一番凄かったですね……これはちょっと……普通に読んでても思いつかない、というか考えついても却下するやつだ……。
    そして最終巻というだけあってストーリーもボリュームがあったし登場人物も多かったですね。

    個人的にまだ犀川先生と四季博士のやり取りを見ていたかったし、犀川先生の日常を見ていたいという気持ちもあったので「えっこれで終わりなの?」感が凄いのだけれど、それは別に大団円とかじゃなくてあくまでも日常の中に起こった非日常を覗いていたという感覚が強いからなのだろうか。
    個人的にこのシリーズは何でもない生活の一部が切り取られている感覚があったので、だからこそこの物語に終わりを感じないのかもしれない。

    あーいやでも最後まで読んで驚いたのは四季博士の多彩さ!
    あれをやってたの?四季博士が???と考えた所でその姿を想像して思わずにやけてしまった……いやでもあれはみんな考えると思う。

    そしてやっぱり最後まで読んでみて、犀川先生と四季博士はお似合いなのではないかと思ってしまう私なのです。

  • いろんな意味で衝撃的すぎた作品。

    2日で読み上げたけど、
    怖すぎて2日間とも満足に眠れなかった…。

    作風としては最初に戻った感じを受けました。
    それはもちろん、当たり前なのかもしれないけど、
    読んでいる時の、自分が受けた感覚さえも最初に戻った感じ。

    眠れなくなるくらい怖いのに、読まなきゃいられない本は
    今のところ、この著者の作品以外はない。

    それくらい面白いのだけど、私の好尚としては
    自分も一緒に推理して解いていきたい!!なので、
    今作品もそれには当てはまらず、満たされず、でした。

    逆に、これを予想できた人っているのでしょうか??
    私がシリーズ中、一番好きなのが2作目なのも自分で頷けた。


    喜怒哀楽と善と悪、正と偽と明と暗。
    これらを表現できて、判断できて、自分じゃない相手のそれを、
    見分けられる特異さを持っているのが唯一人間なのではないかと思う。

    だからこそ、自分じゃない相手の想いを汲めるわけだし、
    それに対処して何かを出来るのも、人間だからこそだと思う。

    中庸を求めるのが天才のすることではないのなら、
    天才なんかにはなりたくないなぁ…。

    技術に伴う、人の中身の根本の変化がリアルで怖かった。
    この人は、本当にすごい!と最終巻で再確認。

    次のVシリーズも楽しみ。

    そいういえば…
    私の解釈でいくと、先生は結局あの人に惹かれていた…
    うーん、違うか。「先生は…」というよりも「お互いに…」かな。
    もしくは、今回先生がそれに気づいた…ということでいいのだろうか??

    ズルズルと引き伸ばしたけど、
    結局、彼女にハッキリ『NO』と言ったと解釈しているのは私だけ??

    その解釈でずーっと引っかかっていたので、
    私は犀川先生は好きではありません。

    前述した、天才云々でいくと先生もそれにカテゴライズされると思う。


    追記:
    直後にまた最初に戻ると、全てに納得がいく。
    あぁ、そういうことなのか…みたいな。

    そこにまたゾクッとした。
    そうだそうだ。それがこの著者の作品の面白さだった。

  • S&Mシリーズ10作目
    集大成とも言える話。800ページを超える超大作にも関わらず、一気に読んでしまった。真賀田四季の世界観が凄い。

  • 天才として人格のどこかでは孤独を感じる真賀田四季と、同じく天才の犀川・両親の死から天才としての成長に歯止めがかかっていた天才の萌絵、という構図でいいのかな。
    犀川と萌絵は「出会ってしまった天才同士」として二人寄り添って生きていくんだろうな。キテレツな萌絵に振り回される犀川という構図がこれまでの典型だったけれど、「もう懲りただろう?僕に」というセリフで実は犀川の方が凡人のわたしたちから見てはちゃめちゃな人だったっていう…?でもいつでも犀川は萌絵の危険を察知しては思考を放棄して飛んでいってるし、萌絵も「いいえ」と答えているから、お互いの存在が飛躍して分裂していく思考をとどめてくれる安全装置となっているのかも。とにかく、性愛に縛られない魂のつながりをもつ男女といういかにも理性的で人間らしい愛の形を描写しきってしまう作者の頭の良さがすごいかも。
    あと、この作家さんは死生観だったりノスタルジイを少し匂わせることが多いけど、「有限の生と微小の死」という単語がこれまたいい。また始めから読み直したい〜❗️

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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