私が彼を殺した (講談社文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062733854

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    加賀恭一郎シリーズの、「読者マターの謎解き小説」第2弾!
    前作の「どちらかが彼女を殺した」では辛うじて犯人がどちらなのか辿り着きましたが、本作は読んだだけでは全く分かりませんでした。。。
    前作ほどややこしくて難しいトリックじゃなかったにも関わらず。
    加賀刑事が探りあてた真相に、読者の私は到底迫ることができませんでした。。。

    読み終わって感じた事として、被害者の穂高誠は、兎にも角にもクズ野郎だったの一点ですね。
    そんな男が殺された事に対して、またその謎の究明に対して、なぜ神林美和子はあそこまでムキになったのか?
    誠の新妻という立場上、気持ちが分からないでもありませんが、そのあたりが一番の謎でしたね。
    美和子目線での描写がなかった為かもしれませんが、読んでいて正直なところ、誠と美和子の2人のどこにも「愛」があったとは到底思えなかったので・・・

    本作の謎解きが出来なかったという敗北感に対し、腹いせ・妬みも少々ありますが(笑)、この作品はちょっとばかし欠落した要素が多かったんじゃないかな?
    神林美和子と高明の関係性から考慮して、最後でもう少しドンデン返しがあるのでは?と期待していたのですが・・・・

    また、加賀恭一郎の痺れるようなキザな台詞も少なくて、読んでいて物足りなさに拍車がかかりました。
    辛口が続きますが、期待していただけに、加賀恭一郎シリーズでは一番肩すかしの作品だと個人的には思いました。


    【あらすじ】
    婚約中の男性の自宅に突然現れた一人の女性。
    男に裏切られたことを知った彼女は服毒自殺をはかった。
    男は自分との関わりを隠そうとする。
    醜い愛憎の果て、殺人は起こった。容疑者は3人。
    事件の鍵は女が残した毒入りカプセルの数とその行方。
    加賀刑事が探りあてた真相に、読者のあなたはどこまで迫れるか。



    【メモ】
    p174
    身体の中から湧き上がってくるものがある。それをどう発散していいかわからず、あたしはただ拳を握りしめた。
    あたしは蘇った。穂高誠によって、心を殺された雪笹香織が、今日生き返ったのだ。
    あたしはやったのだ。あたしが彼を殺したのだ。


    p197
    長い1日が、ようやく幕を閉じようとしていた。
    俺の中に罪悪感はなかった。俺は、しなければならないことをしただけなのだ。
    ガラスに映った猫の顔に浪岡準子の顔を重ね合わせ、こころのなかで呟いた。
    準子、仇をとってやったぞ。
    俺が穂高誠を殺してやったぞ。


    p385
    「封筒には」神林は答えた。
    「ビニール袋が同封されていました。そこにはカプセルが一つ入っていました。白いカプセルです。それを穂高誠が常用している鼻炎薬に混入させろ。指示はそういうものでした」
    がたん、と後ろで音がした。見ると美和子が床に膝をついていた。顔を両手で覆っている。

    無理もなかった。あたしも心底驚いていた。そういうからくりが潜んでいたとは夢にも思わなかった。あたしは駿河に殺させようとした。そのチャンスを与えた。だが駿河は違った方法で、別の人間を操ろうとしていたのだ。

  • 女たらしの小説家 穂高誠(新郎)が、売れっ子詩人 神林美和子(新婦)との結婚式の最中に毒殺される。容疑者は、美和子の兄の神林貴宏、穂高のビジネススタッフの駿河直之、美和子の担当編集者の雪笹香織、の3人。美和子と男女の仲だった貴宏には美和子を穂高に奪われた恨みが、駿河には片想いの女性が穂高に弄ばれ服毒自殺たことの恨みが、雪笹にも穂高に弄ばれ捨てられた恨みがある。

    容疑者3人のうち真犯人は誰なのか。事象が入り組んでいて、新事実が明かされる度に容疑は二転三転。袋とじを読んで真犯人は分かったが、3人ともに動機があり、それぞれが殺そうと試みていたこともあって、結局誰が犯人でもいいじゃないか、という気にさせられる。真犯人に固有のドラマがないので、あまり楽しめなかった。

  • シリーズ物だから買った一冊。

    この本も犯人は書かれていなくて読者が推理して当てるものだった。

    こうゆうのは嫌いだ
    しっかり結末まで小説に書いて欲しい

    結末以外の話しはすごく面白かったので犯人が自分で推理とは残念だ。

    この結末のせいで犯人がわかった後の登場人物のそれからがわからない。

    犯人は読者が推理しての小説は勘弁して欲しいと思った小説でした。

  • ラストが消化不良
    袋とじを参考にって
    こういう結末きらい

  • 全部推理してくれない推理小説は好まないです。
    普段読む推理小説の3倍くらい読むの疲れた気がする。
    真相が明らかになる過程は面白いけど、もっとサクサク読み進めたい。

  • 悪意のように容疑者のそれぞれの視点別で章立てされている。悪意は時系列についていくのに苦労したが本作は時系列通りに章立てされており配慮されていた。
    内容としては、被害者の性格がどうも好きになれないかつ、容疑者への感情移入もできなかったため、読んでいて少し疲れたというのが正直なところ。

  • 歪んだ愛が主に描かれてるので、あまり入り込む事はできなかったけど、推理は面白かった!
    でも,最後までわからず調べてやっと理解した。
    そういえば、ということが多々あり。笑
    勘ぐり過ぎて、根拠なく美和子が犯人と後半はずっと疑ってましたが全く違うカッター
    答えが出せなかったナゾナゾ問題のような気持ちで終わった。

  • 再読のつもりだったけど、実は初見かもしれない。。。
    そのくらい内容を覚えていませんでした。
    「謎を解く」行為が好きな人からしたらとてつもなく面白いのかもしれない。。。が、寝不足で連勤中の身には存外きつかったw
    考えることを放棄したいときに読む本じゃないな。

    強いて言うなら、加賀さんが前作よりずっと鋭く野心家然とした描き方をされているところが、脂の乗った社会人になってきた頃なんだなぁと、感動したってとこはいいよね!好きだw

  • 犯人探しを読者に委ねる形だと思わなかったので、消化不良。袋とじには「あなたです」と指名されたあと、犯人はどんな反応をし、どのように罪を認めるのか…という、物語の続きを書いて欲しかった。

    美和子は、誰からも嫌われる穂高氏のどこを好きになったのかな。本当に好きだったのかな。

    個人的には、美和子が兄にも語っていない深い深い闇を抱えていて、どの容疑者たちよりも重い動機により犯行を計画し、それを実行するための結婚だった、という展開を期待していた。

  • 謎すぎる‥
    私には犯人がわからなかった。解説読んでふむふむと思ったけど ものすごく消化不良〜

著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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